戦闘和歌解説 「足引沖風」の編
☆風系複合魔法「足引沖風」の解説 (75話目参照)
あしひきの 江の山二つ ひきあいて 打ちて別るる 沖のたつ風
現代語訳
江の島の険しい崖の山二ツ、そこに沖でわき立った風がぶつかり合い、引き合い別れていく。(これは、なんと荒々しいさまであろうか……)
呪術的解説
「あしひきの」:山や峰にかかる枕詞。
「足引き」と書くこともある。
「江の山二つ」:江の島の景勝地「山二ツ」のこと。
「ひきあいて」:風景を詠めば「引き合いて」だが、掛詞でターゲットを拘束する「引き相手」の意味を持つ。
「打ちて別るる」:「ぶつかり合って別れる」だが、呪術的仕掛けでは「撃つと二つに別れる魔法」となる。
「沖のたつ風」:「沖でわき立つ風」だが、掛詞で「沖の龍風」となり、召喚する「龍」の存在が隠されている。
シャイニング・ピンクはこの魔法の前に「打別二山」とつけたことで、この術式が「撃つと二つに別れる魔法」であることを、明確に表している。
結果、一つの戦闘和歌で、風の龍(緑色に輝く龍)の息攻撃「沖風」と、敵の足を捕まえるトラップ「足引」の、別々の魔法が同時に発動した。
ピュア・シャイニングの力の元である「龍体素子」のエネルギー使用量としては、大魔法に匹敵するのだが、二つに分けたことで、それぞれの魔法は、中規模に見える複合魔法となった。
☆おまけ
ちなみに、普通に「江の島の山二ツ」を詠むと、こうなります。
あしひきの 江の山二つ ひきあいて 打ちて別るる 沖つ風波
現代語訳
江の島の険しい崖の山二ツ、そこに沖でわき立った風と波がぶつかり合い、引き合い別れていく。(これは、なんと荒々しいさまであろうか……)
余談ですが、江の島で「沖つ風」といえば、与謝野晶子の短歌
沖つ風 吹けばまたたく 蝋の灯に 志づく散るなり 江の島の洞
が有名で、岩屋内にこの歌の歌碑があります。
「志づく散るなり」は、「雫が落ちて散る」となり、江の島岩屋の冷たく神秘的な情景を詠んだとされます。
でも私はつい「なぜ、[雫]ではなく、わざわざ[志づく]という漢字を当てて書いたのだ?」と、疑問に思ってしまいます。
もしかしたら、「強い風(世間の逆風など)を受けて、私の[志]が蝋燭の灯のように揺れ、散った」なんて哀しい寓意が、実は隠されているのではないか? などと、深読みしてしまいます。
ま、私の考え過ぎ、ですかねぇ……
✾本編はこちら
新江の島縁起
〜なぜかイタリア出身の怪人として戦うことになった僕は、魔法少女に恋をした〜
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