表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】30万PV『誓いの光… ガールズバンド「NectarVow」の軌跡』  作者: 泉水遊馬
最終話 誓いの光 暁のステージ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

115/118

パート6 NextPage

フィンズベリー・パークの夜は、まだ熱を孕んでいる。

150万の溶岩ペンライトが静かに息を潜め、4000万のオンライン視聴者は画面の向こうで息を呑む。

焼けた鉄板のステージは、まるで生き物の皮膚のように脈打っていた。

桜の灰が舞い、業火の残り香が空気を焦がす。カノンは中央に立つ。

赤いストラトキャスターが、汗と炎に濡れて光る。

オレンジとピンクが溶け合った髪が、風に揺れて、まるで燃え残りの炎のようだ。

「まだ……私はやれる」

低く、掠れた声。

でも、その一言で、観客の胸の奥に残っていた火が、再び灯った。リンが、静かにスティックを握り直す。

ビートが、ゆっくりと、でも確実に、心臓の鼓動のように鳴り始める。

ユイのシンセが、星屑のような旋律を紡ぎ出す。

ヒナが、背中を向けて立つ。

ミヅキがベースを静かに抱える。

アオイが、マイクを握りしめる。そして、カノンが、一音だけ、鳴らす。タンッ。

それは、まるで「さよなら」の音だった。


アオイの声が、静かに、でも確かに響く。

今もまだふいに風の中 よみがえるのカノンの指が、弦を這う。

タッピングが、まるで記憶の欠片を拾い集めるように、細かく、優しく、でも確実に。

言えるな言葉達の奥 静かに揺れてるヒナが、背中合わせでレスポールを鳴らす。

ツインリードが、絡まり、解け、また絡まる。

まるで、過去と今が交差するように。でももう迷わないよ 涙は強さに変えてゆくリンのダブルキックが、静かに加速する。

シンバルが、星屑のように散る。

ミヅキの低音が、地面を這い、観客の足元まで届く。



さよならは次のページをめくる勇気


新しい空へと続く道カノンのソロが、炸裂する。

スウィープが空気を裂き、ハーモニクスが夜空に星を描く。

でも、それは怒りの炎ではない。

それは、別れの痛みを、優しく包み込む光だった。アオイが、カノンの肩に寄りかかる。

額を合わせ、髪が絡まる。

二人の息が、混じる。

汗が、飛び散る。

挿絵(By みてみん)


桜の灰が、まるで雪のように舞い始める。

観客のペンライトが、溶岩から、朝焼けの色へ。



カノンが、奇跡のソロを弾く。



それは、天才と呼ばれた過去の自分への、別れの音。

でも、同時に、新しい自分への、始まりの音。


そしてカノンのギターで曲を締める。


一礼。

そして、カノンが、静かに呟く。

「ありがとう……リナ」

バックステージ。

リナが、ギターケースを抱えて、涙を堪えている。

「カノン……あなたは、もう、過去じゃない」

ステージの光が、静かに消える。

でも、観客の胸の奥に、灯った光は、

決して消えることはない。


挿絵(By みてみん)


NextPage

【https://drive.google.com/file/d/1A5SG4dWK2Eoix4Xdp4AXOIidTDRZVgpJ/view?usp=drivesdk】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ