閑話 序列二位の驚愕
儂の名はオージン。鬼族の魔人だ。これでも百年前の勇者との戦いのさらに前より魔王軍四天王をしている。魔王軍での序列は二位だ。だが、まあ、序列四位のバンダは力を隠しておるからな。
儂は魔王軍四天王で部隊を一つ預かってはいるが、魔王様が勇者に敗北して以来帰っていない。だがしかし、風の噂で魔王様が復活し、魔王軍の強化を行なおうとしているらしいではないか!
儂もただ自由気ままにくらしておった訳では無い。百年前の勇者達による魔王城への襲撃以来、儂はただひたすらに強さを求め世界を歩き回った。あの時の様な気持ちはもう二度と感じたくはない。
ビート大陸からヒュプノへ帰還した時、そこで儂はウルと出会った。一目見た時に気付いた。この子が尋常ではない力を持っていることを。それも、魔王様をも上回る程の力だということを。
この世界には特殊技能というものがある。それは変身、家事、採掘など、様々なものだ。それら特殊技能はステータスにはうつらない。が、取得した時に『告げる声』によって取得したことを知らされる。
『告げる声』とはレベルが上がった時やスキルを取得する時などに聞こえる声であり、世界の声だという説もある。
特殊技能に話を戻すが、儂は第六感という特殊技能を持っている。これは任意発動ではなく、自動で発動する。これはいわゆる外れることのない勘である。勘は外れることもあるだろう。だがしかし、この第六感は外れることはない。
故に、ウルを見て驚き、こちらに近づいて来た時には動揺を隠すのに精一杯であった。儂は儂自身でもわからんがつい、ウルにある提案をしてしまった。
「なんなら一緒に行くかい?」
今考えても何故かわからない。物心ついた時から第六感に頼って生きてきた。魔王軍に入るのを決めた時も、勇者パーティの剣士と一騎討ちをしたのも。全ては第六感によるものだ。そんな自分が第六感が発動するよりとはやく、口から声が出ていた。
ウルと一週間だけの旅をしていると、何度も魔物が襲ってきた。が、ウルはそれの全てを儂にも見えない速度で葬ってみせた。儂に見えない速度の攻撃など魔王様と龍王様以外はじめてであった。
魔物を倒すたびにウルが成長していくのを第六感で感じた。尋常ではない成長速度。こんな者がいたのか。と、自身の世界の狭さを感じた。
魔王城につくと儂はすぐに魔王様に会いに行った。そうしたら突然に審査員をしてほしいと頼まれた。儂は魔王様の頼みなのでもちろん了承した。
審査をしていても、よさそうなものはおらん。む、ウルの番か。む?ユリスとバンダが何やら構えておるな。
その後、儂は勝負を、いや、勝負にもなっておらんかったな。それを見ていた。儂では勝てんことはすぐにわかった。ウルが所属するのは魔王様の親衛隊になった。
魔王様のあとについて行くウルを見て、私は世界が変わる様な気がした。




