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災いの爪  作者: 豆粒
大陸騒乱編
32/75

閑話 復活の魔王

ふむ………


 やあ!我だ!え?誰かって?わかっておるくせに!魔王である!ここは魔王城!それで我は魔王!我が勇者に討伐されたのは百年前らしい。らしいというのはあれじゃあれ。討伐されてから復活するまでの記憶がないんじゃ。


 その間は序列一位のユリスと四位のバンダが協力して魔王軍を支えていたらしい。しかし、バンダの奴め百年前と序列が変わっとらん。見たところ内包する魔力は二位や三位の者達より明らかにでかい。実力を隠しておるのか?困ったやつじゃ。


 ところで今、我は玉座の間にてユリスを待っておる。なんで待っておるのか?それはユリスが来ればわかるんじゃ。我が復活してから一週間。我は戦力の増強を図ろうと思った。我自身も力が以前より衰えておる。これがヒントじゃ。お!ユリスが来たようじゃぞ!


「魔王様。魔王軍に参加希望者は五万人程度です。入口の広場に集めておりますのて激励を飛ばしてやってください」


 とのことだ!よーしよし!我頑張っちゃうぞー!バルコニーに出て、希望者達を見下ろす。うむ!皆やる気に満ち溢れた顔付きをしておる!強者達がそろったよ―――――んん!?なんじゃあそこの白髪の幼子!内包する魔力が尋常ではない!


 あやつ……終局の山の頂上にいる龍王と我が協力しても勝てるかどうか……あのような者がいるのか……


 激励を飛ばし終わり、どの部隊に入れるかを決める時に各部隊の長の前でアピールして、長が気に入ったら手をあげる。手をあげられたらところに配属されるんじゃ!複数から呼ばれたら希望者が選択できる。


 部隊とかなんとか言っておるが、部隊とは序列一位から十一位の者達が長を務めておる。それとは別に我直属の新鋭隊があるんじゃが、我はどの者を入れるかはもう決まっておる。


 お!あの白髪の幼子じゃ!む?ユリスとバンダが戦闘態勢に入ったぞ?何でじゃ!我が止めねば!あ!あやつら全力で斬りかかっとる!あ、我力が衰えてて間に合わん!


 と、思ったんじゃが、幼子は受け止めておった。まあ、よくよく考えれば我と龍王で勝てんのだからあやつらじゃ足下にも及ばんか。む?どうやらあやつらユニークスキルを使うようじゃ。って、え?ここで使うのか?マジで?あとで直すの我よ?あいつらそれわかっとる?


 まあ、よいわ……ユリスのユニークスキルから説明しよう。ユリスのユニークスキルは因果応報と言う。魔力を消費して敵の攻撃をそのまま返す技じゃ。まさに無敵の技じゃろう。しかし、意識外の技は返すことはできん。


 次にバンダじゃが奴のユニークスキルは魔力補強と言ってな、魔力を使って身体能力を高めることが出来るんじゃ!百年前は五倍までしかあげられんかったが今は何倍なのじゃろうか?


 む!幼子もスキルを使ったようじゃ!身体中から闇のオーラが迸っておる!左手が消えた?な!なんと!!左手が消えたと思ったらユリスのうしろに左手が現れてパンチしおった!我はパンチ三発しか見えなかったがもっとパンチしておるな?


 ユリスはここでダウン。まさか意識外の攻撃をすぐさまに放つことが出来るものがおるとはの……む?まてよ?何故意識外から攻撃したのじゃ?ショートカットして相手に攻撃出来るならうしろからだけでなく、全方位から攻撃した方が早かろうに。まさか……奴は解析持ちか?


 おおっと!それは置いといて、バンダと真正面から殴りあっておる。バンダが何発か受けておるな。我以外はもはやあの速度は見えておらんじゃろ。いや、我でもたまに幼子の動きが見えんくなる。


 む!幼子の足元が光ったと思ったら幼子が消えたぞ!?逃げたの――――な!!?!?全方位から様々な属性の魔法が襲いかかっておる!バンダは魔防が低いんじゃ!あれでは死んでしま…む?バンダが魔力を解放して半分程度の魔法を打ち消しおった!じゃが………むうん…バンダも倒れてしまったか……あの幼子は……無傷じゃ……強すぎるじゃろ。


 我は広場に沈黙が降りた中、静かに手をあげた。我は最初からあの幼子を我の新鋭隊に入れるつもりだったのだ。それに、このような実力を見せられてはな……


 一週間後、我はあの幼子―――ウルにある密命を与えた。その密命とは、あれは百年前の話になる。勇者が我を討伐した時の話じゃ。勇者は仲間達に背後から刺されたのじゃ。そして、最後にこう言った。


「は、なしが違う。魔王を倒、せば、魔王がもって、い、る送還の魔、法書で、俺は、地、球に帰れるんじゃ、なかった、、の、、、か」


 薄れゆく意識の中で勇者のその言葉と、勇者の仲間だった者達の嘲笑を聞いて我の意識は暗くなった。送還の魔法書。そんなもの我はもっとらんし、ちきゅう?などと言うものも知らん。百年前に勇者を召喚したのはヒューマ聖国。


 あの国はどうもきな臭い。百年前我らは平和に暮らしておった。人族や獣族とも多少は交流もしておったのだ。なのにヒューマ聖国は姿が違い、力も強いというだけで、我らを忌み嫌っておったのだ。それだけなら問題はなかった

 しかし、奴らはあろうことか自分達の王が病で亡くなった時。それを我らのせいにして死因が病によるものではなく、呪いによるものだと言った。


 それから、我らと交流していた人族と獣族の者達は交流をやめた。信じられなかった。当時の我はそれが許せなかった。故に、魔王城で飼っていた獣達を人族の大陸の中央にある森に放した。我の大罪の力を分け与えて。ダンジョンには二つの大罪をもたせた悪魔を住まわせた。


 今でも我は憎い。ヒューマ聖国が。他の国にも我らのことを信じなかったと多少は恨んではいる。しかし、ヒューマ聖国だけは許せない。我を討伐し、故郷に二度と帰れなくなった先代勇者の分も。我はヒューマ聖国を叩き潰さねばならない。


 それを伝え、ウルにはヒューマ聖国での調査を依頼した。ついでに送還の魔法書の在処も。在処を見つけたら我が手に入れ、我が今召喚されたという勇者達を故郷に送り返す。先代勇者もそう願っておるはずだ。


 我は必ず先代勇者の無念を晴らし、我の復讐を成し遂げる。たとえ、なんと呼ばれようとも。

ふぉんふぉんふぉーーん

ウルフ強すぎィ!!

次の回ではウルフの視点に戻りまして!四天王と六魔将をチラホラ登場させ!魔王様のステータスを公開しちゃいますよ!

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