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論文工場 3870 ~元検事ハン・ユンジェは、偽造論文で頂点に立った3,870人の特権階級を狩る~ 【韓国NAVERミステリー1位記録】  作者: ソルビョル


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第32話. カウントダウン

第32話 「カウントダウン」 をお届けします。


17階の法務チーム待合室から地下へと続く、息つく暇もない脱出劇。ユンジェが仕掛けた「二重の罠」がテヨン・メディカルの全システムを麻痺させる中、運命の歯車は予想だにしない方向へと動き出します。果たして地下1階の暗闇で二人を待っているのは誰なのか。


緊迫の瞬間を、どうぞお楽しみください。

17階まで階段を駆け上がった太ももが熱く燃えていた。

ユンジェは荒い呼吸を飲み込みながら、廊下の突き当たりを凝視した。エレベーターの前、マスクをつけたA-12がゆっくりと近づいてきていた。


「IT保安チームのチェ・ミンホさん。トイレで意識を失って発見されたという報告を、たった今受けましたよ」

落ち着いた声が、かえって威圧感を放っていた。


ユンジェの肩が微かに震えた。彼に対する怒りのせいだった。

「ハン作家さん、筆が立つので演技もお上手かと思いましたが。変装が余りにもお粗末ですね」


ガードマンたちが徐々に距離を詰め、ソヨンがユンジェのシャツの裾を強く握りしめた。

退路はなかった。

後ろは17階の高さの強化ガラス、前は猟犬たちがひしめき合っている。

「ソヨンさんを解放してください。これは私とあなたの取引ではありませんか?」


A-12がさらに二歩近づいた。ユンジェは彼の瞳の奥で、冷徹な計算が流れるのを感じた。

「取引? あなたはすでにその線を越えました。テヨン・メディカルのサーバーを麻痺させたあの知的な『エラー』たち……。あなたが仕掛けた時限爆弾を、我々が気づかないとでも思いましたか?」


ガードマンたちが一斉に踏み込んできた。

瞬間、A-12が手を挙げた。獲物を追い詰める熟練の猟師のような仕草だった。

「チェ・ミンホのカードキーも役に立たないでしょう。我々はすでに彼の権限を停止させました。30秒前にね」


その時だった。

ユンジェの腕時計が振動し始めた。ネットカフェでB-07と約束していた「連鎖反応」の開始時刻だった。

「わかっていないのは、あなたたちのほうだ」

ユンジェが腕時計を掲げて見せた。

画面の数字が「00:00:00」に変わる瞬間、17階全体の照明が明滅し始めた。


ピー、ピー、ピー――。


機械的な悲鳴が廊下を満たし、天井のスプリンクラーから水が降り注ぎ始めた。

ユンジェが仕込んだ『毒薬』がセキュリティサーバーを越え、ビル管理システムまで感染させたのだ。


「俺が仕込んだのはサーバーのエラーだけじゃない。この建物のすべてのセンサーが、今や俺の嘘を真実として読み取っている」


[保安室無線:全区域で火災警報発生! マグネティック・ドアロック解除! 全階エレベーター緊急停止!]


ゴォォォ――。


建物のすべての非常扉が強制的に開放された。システムが『人命救助モード』に切り替わったのだ。

狼狽したガードマンたちの視線が天井へと向く。


A-12までもが不意を突かれ、一瞬怯んだその隙だった。

「貨物用エレベーター……あそこよ!」


ソヨンが廊下の反対側を指差した。

記者の本能が働いたのか。非常口の表示灯の横、普段は目立たない古びた鉄扉。

「よし、行くぞ!」

ユンジェがソヨンの手を引いて走り出した。ガードマンたちが遅れて反応したが、スプリンクラーの激しい水しぶきが廊下を遮った。

「捕まえろ!」

A-12の叫びと共にガードマン二人が水を突き抜けて襲いかかる。しかし、ユンジェはすでに貨物用エレベーターの前に到着していた。


チェ・ミンホから奪ったカードキーを端末に差し込む。

ピッ、ピッ、ピッ――。

赤色のランプ。

アクセス拒否。


「言ったでしょう。あなたの小細工は見抜いていると」

A-12の声に勝利の余裕が混じった。


ガードマンたちが5メートル先まで迫る。


その瞬間、ユンジェの指が端末へと伸びた。

「だから、プランBを用意しておいたんだ」

ユンジェがカードキーを裏返して再び差し込んだ。

同時に隠し持っていたもう一つのカード、B-07から渡された『マスター・バックドア・チップ』を重ねて挿入した。

IT保安チームの権限ではない、システム管理者の緊急アクセス権。


ピッピッ――。

緑色のランプ。

ガチャン。

重厚な鉄扉が開いた。


ガードマンたちが手を伸ばしたが、ユンジェとソヨンはすでに中へ飛び込んでいた。

扉が閉まり、ガードマンたちの追跡を遮断した。


「地下3階だ!」

ユンジェがボタンを連打した。

火災警報システムが誤作動している間、貨物用エレベーターだけは独立電源で稼働していた。

非常時にサーバー室へアクセスするためのバックアップ経路。

狭く暗いエレベーターの中に、激しい呼吸音だけが響いた。


ソヨンが濡れた髪をかき上げながら尋ねた。

「私たち、助か……助かるんですよね?」

ユンジェは答えの代わりに天井の換気口を見上げ、ポケットからスマートフォンを取り出した。


画面には依然として『D-99』という赤い数字が浮かんでいた。その下に、B-07からの新しいメッセージ。

[地下2階機械室。マンホール通路確保完了。5分以内に来てください]

「まだ終わっていません。奴らは地下駐車場のすべての出口を封鎖するはずです。俺たちは……」


まさにその瞬間、エレベーターがガクンと停止した。

地下1階で。


予定より二階上で。

ユンジェとソヨンの視線が同時に階数表示灯に向かった。B2ではなくB1で点滅していた。

ガチャン――。

扉が開き始めた。


廊下には誰も見えなかったが、ユンジェは感じ取っていた。

あの暗闇のどこかで、誰かが待ち構えていることを。


A-12は予想以上に緻密だった。地下3階ではなく1階で止まったのは、偶然ではない。

システム管理者の権限をも突き抜けて介入してきた別の命令。

「出なければ。今すぐに」

ユンジェがソヨンの腕を掴んだ。


扉が完全に開いた。

暗闇の中から、微かな足音が聞こえてきた。

第32話、お楽しみいただけましたでしょうか。


17階の緊迫した脱出劇から一転、地下1階の暗闇で待ち受けていた絶望的な状況。そして、絶妙なタイミングで現れた謎の車両。物語はさらに加速し、ユンジェの仕掛けた『毒薬』がどのような結果を招くのか、目が離せない展開となってきました。

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