表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朝の連続ホラー小説 大正あおい日和  作者: 泉水遊馬
第7章「四神の楔と震える大地」
64/79

第5話「西の白虎・影のモガの群れ」

路地裏の石碑前に着く。

菊乃が静かに言う。

「西方白虎……虎の気を集め、楔を打ち込む。

葵、中心に」

葵は頷き、石碑前に立つ。

紅い線が光り始め、金色の瞳が開く。

低く唱える。

「西方白虎、青葉の血を以て、楔と成せ……」

儀式が始まる。

だが——。

周囲の瓦斯灯が、一斉に赤黒く変わった。

影が地面から這い上がり、

影のモガの群れが現れる。

ボブヘアーのシルエット、膝上丈のスカート、

だが顔は溶けた蝋のように歪み、

口紅の代わりに黒い血が滴り落ち、

目は赤黒く輝き、無数に瞬く。

ハイヒールのような足音が、**カツカツ……**と不気味に響く。

群れは百体近く。

カフェーから漏れるジャズが、歪んだ不協和音に変わる。

菫が声を上げる。

「大量よ……影のモガ!

葵、急いで!」

菊乃が浄界七曜陣を展開し、結界を張る。

「耐えなさい!」

葵の瞳が完全に金色に。

表情が消え、低い抑揚のない声で。

「……浄化を開始します」

葵は一歩踏み出す。

沸魂業湯・紅蓮浄化・極。

紅い炎が爆発的に広がり、影のモガの群れを包む。

ジュゥゥゥ……グチュゥゥ……

肉が煮え溶ける音が連続し、

ボブヘアーが一瞬で炭化し、頭皮が剥がれ落ちる。

溶けた顔の皮膚が垂れ下がり、

露出した眼球が煮詰まって白く濁り、

**ポトッ……ポトッ……と地面に落ちて潰れる。

口から黒い血が噴き出し、

喉の奥からゲェェェ……という、肺が焼ける湿った悲鳴が漏れる。

膝上丈のスカートが炎に食われ、

太ももの肉が剥離し、筋繊維が一本一本焦げて縮む。

骨が露出し、白く光った大腿骨がパキン……**と折れ、

折れた断面から髄液が滴り落ちる。

数十体の影のモガが一斉に崩れ、

黒い肉塊と骨の破片が路地に散乱し、

腐臭と焼け焦げた肉の臭いが充満する。

残りの影のモガが密集して襲いかかる。

葵は無表情で避け、

光針穿刺・極。

金色の針が雨のように降り注ぎ、

影の体を貫く。

ズブズブズブ……

針が腹部を貫通し、内臓が串刺しに。

胃袋が破裂し、酸性の黒い液体が噴き出し、

腸が引きずり出されて地面に垂れ下がる。

ドロォ……

心臓を貫かれたものは、胸が陥没し、

肋骨が内側から突き破って飛び出し、

黒い血が噴水のように噴き上がる。

ハイヒールが折れ、足首が180度逆方向に捻じ曲がり、

腱が千切れる**ビリッ……**という音が響く。

赤黒い瞳が次々と潰れ、

眼窩から眼球が押し出されて転がる。

最後の群れが密集。

葵はさらに、

圧縮封魔・五芒星崩壊。

五芒星の陣が展開し、圧縮。

グシャァァァァァ……

肉と骨が一瞬で内側から潰れ、

頭蓋骨が粉砕され、脳漿が飛び散る。

ベチャァ……

圧縮された体が爆ぜ、

黒い血と臓器の破片が周囲に飛び散り、

壁にべっとりと張り付く。

骨の粉が舞い上がり、

肉の残骸が地面で蠢きながら溶けていく。

最後の影のモガが、

半分潰れた顔で**アァァ……**と途切れ途切れの悲鳴を上げ、

完全に沈黙する。

戦いは、激しくも短く終わった。

葵の金色瞳が消え、柔らかな色に戻る。

紅い線は指先だけ。

弱々しく息を吐き、5秒以内に笑顔。

「……あらあら〜、終わりましたわね。

ふふっ、ちょっと賑やかでしたわ〜」

菫が娘を支え、

「葵……無事でよかった」

菊乃が儀式を完了。

石碑に白い光が宿り、脈動が静まる。

三人は急いで青葉堂へ。

店先で待つ茂さんが、灯りを灯して迎える。

みーちゃんが飛びつき、

茂さんは家族を抱きしめるように。

「……おかえり。

羊羹、温めてあるぞ」

葵は父の胸に寄りかかり、

「お父様……ありがとうございます。

西の白虎、打ち込めましたわ」

夜の銀座は、まだ遠くでジャズが響く。

だが、地鳴りは少しずつ、強く、近づいていた。

残る南と北、そして地獄門への道が——。

葵は空を見上げ、微笑む。

「えへへ……次は南の朱雀ですわね。

みんなで、がんばりましょう♪」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ