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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
六章 女神軍

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163 蒼き群雄の戦場


 プーシーユーの次の現場は間に合うかどうかの距離。すでに半日以上のロスがあるから、宿泊できる村跡を飛ばして、できるだけ距離を稼ぐ。

 太陽がずっと出ているからまだまだ行けるが、馬が持たないので夜の時間になったら野営。食事の場で作戦の概要を説明すると、ヤコビーネは知ってた。シモンの影の中から覗いてたんだって。


 シモンは参謀が悪口を言わなくてよかったと肝を冷やしてたよ。


 ここは女神軍が魔獣を押し返していると言っても、寝るには危険な場所。シモンは見張りを交代しながら立てようとしたが、ヤコビーネが1人でやるとのこと。

 基本的に睡眠は必要ないんだとか……したがって、ヤコビーネが夜にナニをしているかシモンは怖くなっていた。あと、お昼寝の件は騙されたと気付いてた。


 かといって、人間は寝ないと生きられない。明日も馬車を走らせないといけないからお言葉に甘えることにする。


 翌朝、シモンはやや寝不足だったが、血の匂いがしたけど、移動を急ぐ。今日も馬車を飛ばして宿泊できる施設も通り越したら野営だ。

 ヤコビーネ以外の皆で野営の準備をし、食事をしたら就寝。しかし今日のシモンは、なかなか焚き火の前から動かなかった。


「なんじゃ。緊張しておるのか?」


 今日の見張りもヤコビーネのみ。シモンの顔が強張っているから、痛いところを突かれてしまった。


「まぁな~……」

「フッ。前回より楽な仕事じゃろうに」

「それは関係ない」

「……勇者か??」

「それもどうでもいい」

「なんじゃと言うのじゃ」


 予想が(ことごと)く外れるから、ヤコビーネは怒った顔だ。


「蒼き群雄だよ……久し振りに会うから緊張する! 冷たくされたらどうしよ~~~??」


 でも、シモンがぶっちゃけたらズルッと滑った。他にもバタバタと倒れる音が聞こえたよ。


「ちょっと~。笑わさんといてや~」

「慰めようと思ったのに失敗どす~」


 プックとユーチェだ。シモンが馬車に入って来ないから覗いていたのだ。


「俺が悩んでるのに何が面白いんだよ」

「乙女か!」

「うむ。乙女じゃ」

「乙女のシモンさんかわいいどすえ~」

「うっ……」


 シモンの悩みは、乙女という一言でバッサリ。プックには「変態乙女野郎」とか笑われたからシモンもムカついてた。


「3年だぞ? 3年も会ってないから、何を話していいかもわからねぇんだよ」

「蒼き群雄なら大丈夫でっしゃろ。誰にでもシモンはんの話をしてるんやで?」

「うむ。(わらわ)にも嬉しそうに喋っていたぞ」

「もう会わなくていいんちゃいます? ウチがおるんやし」

「なんでだよ」


 プックとヤコビーネは嬉しいことを言ってくれたけど、ユーチェは嫉妬してるから思わずツッコンじゃったシモン。


「そうだよな。アイツらなら大丈夫だよな」

「せやで。シモンはんも、よう蒼き群雄の話をしていたから相思相愛や」

「離れていても想い合っているとは、いい仲間だったんじゃな」

「いい仲間だったらクビにしないんちゃいます?」

「ユーチェは黙っててくんない??」


 ユーチェのせいで感動が台無し。しかしシモンは2人の言葉だけを心に刻んで立ち上がる。


「うん。明日が楽しみになって来た。さってと、明日も早いから寝るぞ~」

「どうせ楽しみ過ぎて寝れへんのちゃう?」

「ウチが子守歌うたってあげるどす~」

「フッ……」


 これがいつものプーシーユー。ワイワイと喋りながら馬車の中に消えて行くプーシーユーを、ヤコビーネは微笑みながら見送るのであった……



 翌朝……


「シモンってまだ来てないの?」


 ここは女神軍が野営している場所。本部のテントではアールトに質問しているカティンカの姿があった。


「みんなに言うけど、何回聞くの? 僕、連絡が来たら教えるって言ってるよね??」

「「「「たはは」」」」


 いや、蒼き群雄の全員から何度も同じ質問をされて迷惑そうにしているアールトの姿だったね。


「そもそも呼び寄せるの、ちょっと遅過ぎたかも?」

「「「「えぇ~~~」」」」

「仕方ないだろ。トウンさんが邪神の使いの報告を忘れてたんだから。勇者パーティも戦わせろってうるさいし」


 それと、アールトは板挟み状態になっているからかわいそうだ。


「まぁ昼過ぎには到着してるはずだ。あとからゆっくり話せばいいじゃないか」

「それもそっか」

「いまじゃ挨拶ぐらいしかできない」

「あ、元々、合流は戦闘が終わったあとになるから、ここに来るのは早くて夜だった」

「ちょっと~。早く言いなさいよね~」


 アールトもシモンに会えるのが嬉し過ぎて、少し報告が雑になっていたみたい。だが、時間は迫っている。アールトが立ち上がると、蒼き群雄はさっきとはまったく違う精悍な顔に変わった。

 そして外に出ると、整列する女神兵を横目に勇者パーティの下へと近付く。


「おはようございます。調子はどうですか?」

「ハッ。絶好調だっつうの」

「久し振りに勇者パーティが揃ったワケですが、連携なんかは大丈夫ですか?」

「うっぜぇ。母親かよ。心配しなくとも、暴れまくってやるよ」


 勇者ユウキの機嫌が悪くなって来たので、アールトはあまり声を掛け過ぎるのはよくないと察した。


「ははは。無駄な心配でしたね。すいません。最後にひとつだけ。昨夜、テントから消えたと報告があったのですが、どちらに行っていたのですか?」

「便所」

「噓つけ。娼婦がいるか探しに行っただろ?」

「バカッ。真面目に言うヤツあるか!」


 ユウキと拳聖トモノブが小競り合いするなか、アールトは品定めするように見ていた。


「それだけ元気があるなら大丈夫そうですね。今日はよろしくお願いします」

「フンッ」


 勇者パーティは返事らしい返事を返してくれなかったが、アールトは気にした素振りも見せずに蒼き群雄と共にその場を離れた。


「アレ、本当に大丈夫なの?」

「何か狙っているような気がする。サンデルさんたちには目を離さないように言っておいて」

「オッケー」


 カティンカに伝令を頼んだら、アールトは女神軍の前に立った。


「今回は少し手間を掛けるが、いつもとなんら変わらない! 僕たちは強い! 必ず勝てる!!」

「「「「「おお!」」」」」

「配置に付け~~~!!」

「「「「「おおおお~!!」」」」」


 ()くして、アールトに鼓舞された女神軍は、自信に満ち(あふ)れた顔で各々の持ち場に移動するのであった。



 それから数時間後のこと……


「「「「「ギャハハハハハ」」」」」

「ガハッ……なんであなたたちがここに……」


 重症を負って倒れている蒼き群雄を見下ろし、馬鹿笑いする勇者パーティの姿があった……


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