第48話 時を繰り返す街編
つぐみ達が化物に注意して息をひそめている頃、別の瑠奈達の方では突然、逃げ出した少年の後を追いかけていた。
こんなところをうろちょろしてなにかあったら困るから保護しようと追いかけているのだが。
「あいつ、ここに詳しいようだな」
「うん、それにわたし達がついてきてるか確認しながら走ってる」
輝が走りながらつぶやくとふうかも走りながら同意する。
「でも、なんでわたし達がついてきてるか確認する必要があるのかな」
初音は疑問を持ちながら少年の後を追いかける。
こればかりは瑠奈達にも理解不能だった。
「教えたいものがあるのかも」
「それってなんだろう?」
走りながら瑠奈は予測するとふうかは問いかける。
その問いに首を横に振り、わからないとだけ告げるのだった。
「追いかければわかるんじゃないかな?」
「もとよりそのつもりだろ」
ふうかと輝は走る速さを早めた。
それに続いて瑠奈達も足を動かすのだった。
しばらくして行き止まりにたどり着くとさきほどの少年がこちらを見ていた。
どうやら、こちらを待っていたようだ。
「やっと追いついた!」
「なんで、逃げたか聞かせてもらえないかな?」
瑠奈が息をきらしていないようで近寄ろうとすると、ふうかに手で制されてしまう。
そしてふうかが問いかけると。
「どうか、僕らを永久に眠らせてほしいんだ」
と、真剣な顔でそう言ってきたのだ。
彼の言いたい意味が彼女達には理解できないでいた。
なぜ、そんなことを頼んできたのかわからないからだ。
「なにを言ってるんだ? それだとお前らはまるで」
「そのとおりだよ、お兄さん。 僕らはこの街で長い月日のなかで永遠に繰り返されているのを知り、絶望した」
輝が眉間に皺をよせて言うと少年は苦笑を浮かべて答えた。
遠くを見るような目を見せながら。
「そんな、暖かいのに」
「死んでいることさえも生きてるように見せるために、生前の日を繰り返させているからね」
ふうかの瞳が驚きで揺れていた。
信じられることじゃないからだ、それはここにいる全員が思ったことだから。
「だから、お願い!
お姉さん達・・・外からきた人にしかこんなこと頼めないんだ」
懇願するように瑠奈達を見上げて少年は告げる。
目には涙がたまっており、苦痛が垣間見えていた。




