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通りすがりの陰陽師2  作者: チャーハン・神代
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九、半妖

「っはぁっ…ここまで来れば、暫く大丈夫じゃない?」


 私たちはいったん走って山を降り、麓の町まで逃げ帰ってきた。

 狒々に雫と呼ばれていた、見るからに大人しそうな少女。彼女は、紡さんが『混血』という言葉を口に出した時から、悲しげだった表情がより一層暗くなり、小さく震えていた。


「い…行かなくちゃ…。助けに行かなくちゃ。」


「え?」


 雫ちゃんは震える体を無理矢理動かし、山の中へ戻ろうと足を踏み出しだそうとした。すると拳心さんが、雫ちゃんの腕を掴んだ。


「だめだ。お前、あの狒々に食われそうになってたんじゃないのか?山ん中入ったらさっきの状況に逆戻りだぞ。」


「おじさんは本当はそんな悪い人じゃないんです!!!」


 元々小さな声を精一杯振り絞り、雫ちゃんはそう叫んだ。


「違う…のに。本当は…いい人なのにっ…。」


 雫ちゃんは再びぽろぽろと泣き出し、その場に蹲み込んでしまった。

 その様子を見て、紡さんがやれやれとため息をつく。


「泣いたって何も解決せぇへんで。単刀直入に掻い摘んで言うと、ウチらはあの狒々に憑いとる悪霊を退治しにここにきとる。あの狒々ごと退治されたなかったら、事情説明しぃ。」


 雫ちゃんは再び、ビクッと肩を揺らした。


「そういえば紡さん、先程『混血』とおっしゃっていましたが、どういうことでありますか?ハーフだと何かあるんでございますでしょうか?」


「それは俺が説明する。」


 紡さんの代わりに、影が薄くなっていた仙太郎さんが答えた。


「恐らくこの子供は、単なる多人種間の混血ではない。」


 仙太郎さんは雫ちゃんの元へ歩みより、目線を合わせるように片膝をついた。


「人間と妖怪との混血。」


 仙太郎さん視線の先には、左右で違う、人間離れした色の瞳。


「半妖…なのだろう?」

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