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八十五、伝承の続き
男は掟を破った。
仲間の分の魚を、自分1人で食べてしまった。
男は喉が渇いた。
川の水を33夜飲み続けた。
男は龍になった。
女は思い上がった。
己の美貌に気がつき、それを保つことを願った。
女は喉が渇いた。
泉の水を飲み続けた。
女は龍になった。
少年は絶望した。
救われない現実に、理不尽な世の理に、全てを諦めてしまった。
全てを手放してしまった。
少年は心が渇いた。
少年は水を飲みはしなかった。
『悪意』という名の濁流に飲まれたのは、彼自身だった。
そして少年は、龍になった。




