↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/106

少し休憩

 これでユウナ以外の一回戦が終わり、今のところは無事全員が勝ち残ることができている。ユウナが負けることなんてまずありえないだろうから、もう全員が一回戦を突破したようなものだ。


「なんで戦士部門が先で魔法使い部門が後なのよ。もう待ちくたびれたわ。早く私を戦わせなさいよ」


「しょうがないだろ、魔法使いのほうが人数が少ないんだから。それに俺たちは早く一回戦が終わるだけで、そのあともあるから待つ時間は一緒だろ」


 いちいち面倒な奴だ。これで本当は天使なんだからなぁ…………もうちょっと神様は厳しくした方がいいと思う。もしかして天使は全員わがままとか言わないよな? 


「ところで今日は何回戦まで進めるんですか? この調子だと、三回戦くらいでしょうか?」


「いつもはそのくらいかな。参加者の人数で少しの誤差は出るけど」


 毎年国王とこの大会を見に来ていたモエナは流石に詳しいな。そうか、今日は最低三回戦まで進むのか。後二回も戦わないといけないと思うと、しんどいな。


「皆さん、おなかは空いていませんか? そろそろお昼の時間ですよ」


 唐突にテリアが昼飯の話をしだした。もしかしておなか減って我慢できないとかか? 何それかわいい。


「そうだな、俺も腹減ってきたかもしれない。どうする、会場の外の出店にでも昼飯を買いに行くか?」


「それも魅力的ではありますが、きっと並びますよ。用意の良い私がお弁当を持ってきてるんですよ」


 そういうことか、自分の有能さをアピールするために昼飯の話をしだしたんだな。でも弁当か。外の店に並ぶよりも断然いいな。お金もかからないし。


「流石テリア。私もおなかすいてたんだよねぇ」


「私も試合の前に腹ごしらえしときたいわ。お腹が減ってるのに試合しないといけないとか嫌だもの」


「テリアはやっぱり気が利くね」


 三人ともテリアのことをべた褒めだ。本当、テリアはこういうところでしっかり役に立ってるんだから無理して戦闘でまで役に立とうとしなくてもいいのにな。それくらいは俺たちが何とかしてやるのに。


 褒められて上機嫌になったテリアが収納魔法から大きな弁当箱を取り出した。


「今日の朝、城の料理人さんに作ってもらってすぐに収納魔法に直したのでまだまだ出来立てです。それと、飲み物が欲しい人は言ってください。しっかり持ってきましたので」


 まさか飲み物までもってきているとは…………もう言うことなしだな。


 弁当はいつものシェフが作っているということもありすごくおいしかった。



「あ、魔法使い部門の試合が始まっていますよ。なんだかユウナの魔法をいつも見ているせいかすごいしょぼく見えますね」


「私と比べるなんて可哀そうよ。次元が違うわ。あの程度の魔法で試合に出てくるなんて滑稽ね。私が本物の魔法と言うものを見せてあげるわ」


「おい、やめろよ。対戦相手が死ぬどころかこの会場が消滅しちまうだろうが」


 ユウナの魔法に耐えられるのかまだ実験はしていないが、まあ、おそらく無理だろう。それにこんな大勢の人が集まる会場で本気の魔法なんて撃てば大量殺人で国家指名手配だ。連帯責任でパーティメンバーもとかもあり得る。


「ユウナの魔法がすごいのはわかってるから、ちゃんと手加減しないと大変なことになるよ」


「冗談よ、それくらいわかってるわ。軽ーく撃ってあげるわよ。あーあ、私が本気出せるような相手と当たらないものかしら」


 そんなやつとこの会場で戦ったりしたら、もうそれは王都が滅びるとかそういうレベルの話になるだろうな。そうなったら俺は全力で逃げよう。


 つまらない話をしていると、ユウナの順番が近づいてきていた。


「それじゃあ、私は行ってくるわ。と言いたいところだけど、待機場まで歩くので無駄に体力を使うのはよくないわ。ルリ、私をおんぶして連れて行きなさい」


「ええ? それくらいは歩けるよね?」


「今日だけでも少なくとも三往復はしないといけないのよ。それにこの会場までだって自分で歩いてるわ。今日は行けても日を重ねるごとに疲れが蓄積していくじゃない。私が疲れて戦えなくなってもいいっていうの?」


 何て横暴な。まさかこの距離を連れて行けと言い出すとは…………ルリだって自分の試合があるというのに。


「まあまあ、ユウナ。ルリにだって自分の試合があるんです。ルリがそれで疲れたんじゃそれもだめです。そこで、体力お化けのセンヤさんに連れて行ってもらってください」


「え? 俺?」


「いやよ、この会場の人たちから変な目で見られるじゃない。ルリならまだセーフだけど。男におんぶさせて、試合に行くとか恥ずかしいわ」


 驚いた、ユウナに恥ずかしいとかいう感情があるとは。その状況だと俺もすごい恥ずかしいんだけどな。だって、女の子の足として試合に連れていくとか俺ダサすぎだろ。


「お願い、ユウナ。私も試合頑張るから」


 ルリも自分の試合に集中したいのだろうか、今回は結構本気で俺に押し付けようとして来ている。


「そうだよ、自分の試合のことも心配なくて体力もあるのはセンヤしかいないよ。どうしてもっていうならセンヤに連れて行ってもらうべきだと思うな」


「モエナまで…………わかったわよ、センヤ連れてって」


 ここはいつもならセンヤで我慢してあげるわ。感謝しなさいとか言ってくるところなのに今日は素直にお願いしてきたぞ。まあ、かわいいしいいか。しょうがない俺が連れてってやろう。


「しょうがないな。その代わりちゃんと勝てよ」


「ふん、私が負けるわけないでしょ」


 言葉通り、ユウナは一回戦を今大会最速記録で勝利した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。