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ライトニングボルト

「ちょっと待て、いや、待ってください。俺にもテリアたちに食らわせた魔法を頼む、しっかり手加減してくれよ」


「なんでよ、センヤなら余裕でよけちゃうじゃない。そんなの面白くないわ。いい機会だしどっちのほうが強いかはっきりさせましょう」


 なんか話が飛躍してる。ただ魔法を一発撃つだけのはずだよな。


「それは今度の大会でのお楽しみにとっておいたほうがいいだろ。会場もしっかりしたものが用意されるはずだ。そこでならユウナも魔法を全力で撃てるかもしれないし」


「一理あるわね。しょうがない、今日のところはスピードをマックスにするだけで許してあげるわ」


 大丈夫か俺? ユウナの魔法よけれるんだろうな? 威力は抑えてくれるみたいだから、死にはしないだろうけど…………何としてもよけよう。


「俺はいつでもいいぞ、どこからでも撃ってこい」


「当たってもしびれるだけの雷魔法にしてあげるわね」


 そういうと、ユウナが右手を俺のほうに向けてきた。


「ライトニングボルト」


 ユウナが詠唱した瞬間――――小さな雷が俺に向かって飛んできた。俺のあほほど強化されている動体視力ですら、動きをとらえられるぎりぎりの速さだ。ほとんど反射のような感じで俺は上半身を右にそらした。


 ゴオォン!! 


 なんとか避けた俺の耳には一瞬遅れてユウナの魔法の音が届いた。音速を超えていたらしい。化物かよ。


「正直絶対にあてるつもりで撃ったんだけど、まさか避けられるとは思わなかったわ。やっぱり来るとわかってる時点でハンデあるわよね」


「体が勝手に動いただけだ。避けた俺自身も驚いてるよ」


 どこまで飛んでったんだよ,着弾した音が聞こえねえよ。絶対あれ当たってたらしびれるだけじゃすまなかったよな。


「今何が起きたんですか? ユウナの手が光ったのしか見えませんでしたよ」


「ほんとだよ、あんなの撃たれたら勝ち目ないよ」


「私にもその魔法教えてユウナ!! 必殺技だね」


 モエナは向上心あっていいけど、これはさっきのライトニングボルトが強いというより、ユウナが強いんだと思うんだが。


「ライトニングボルトよ、雷魔法の基礎魔法の一つね。雷魔法の適性さえあればだれでも使えるはずよ」


 基礎魔法ってマジかよ。半端ねぇな。


「あれがライトニングボルトって嘘だよね、ユウナ。私、前に見たことあるけど全然違ったよ」


「使い手が悪かったんじゃないの? それに私と比べるなんてその人が可哀そうよ」


 ルリも唖然としている。俺も一般的なライトニングボルトを見てみたいもんだ。どれだけの違いがあるのか気になるし。それよりもなんだかんだ言って、ユウナがまともに詠唱したの初めてじゃないか?


「なんで今回は詠唱したんだ? いつもはしてないだろ」


「詠唱したほうが威力とか上がるのよ、本気で撃つっていったじゃない」


 詠唱したほうが強い魔法になるってことか。と言うことは、今までのユウナは全然本気じゃなかったんだな。ユウナの戦って勝てるビジョンが全く浮かばない。あー、大会辞退したい。


「私も今日は満足だわ、もう帰りましょう」


 ユウナを満足させるためになぜ俺は危険を冒さなければならないのだろうか? 結局今日一日修行をしていたのだが、果たして効果はあったのだろうか? テリアは新武器を披露しただけで、モエナとルリに関してはただ戦闘しただけだ。まあ、実戦経験は大事か。そういうことにしておこう。


「私も疲れました。センヤさんが寝ている間も私たちは真面目に修行してましたから」


 さっきほったらかしたのをまだ根にもってやがるな。明日は付き合ってやるから勘弁してくれよ。


「テリア、私も歩きたくないわ。転移魔法で帰りましょう」


「そうですね、今日はまた魔力に余裕があるので行けますよ」


 この距離を転移魔法で帰るとか贅沢だな。俺もそっちのほうがいいけど。





 テリアの転移魔法で城へと帰った俺たちはモエナの一言で重大なことに気が付いてしまった。


「もう晩御飯の時間だね。そういえば修行に集中しててお昼食べるの忘れてた」


 そうだ、なんか腹が減ってると思ったんだ。昼飯食べてねぇじゃん。そりゃ腹も減るに決まってる。


「これは夜は豪華にいかなくちゃだめね。モエナ、私は肉が食べたいわ」


「いいですね、私も食べたいです」


「オッケー、ちょっと行ってくるね」


 ユウナが肉と言えば、肉になってしまう。さすがはユウナ様だ。俺にはとてもそんな真似はできない。ましてやここは国王の城だぞ。



 モエナが帰ってくると、すぐに料理が運ばれてきた。どれも高そうな肉がふんだんに使われている。メインはこの分厚いステーキだろう。


「おいしいわ、モエナ。さすがはお抱えのシェフね。私の専属にしたいくらいよ」


 ユウナ様はお肉にご満悦のようだ。俺はと言うと、ステーキを半分くらい食べたところでもうきつい。よくこのでかいステーキを食えるもんだ。


「センヤさん、手が止まってますけどもういらないんですか?」


「もう俺は食えそうにないから、いるんならやるよ」


「え、いいんですか? それではありがたくいただきます」


 本当よく食えるよな。肉でテリアの機嫌が直ったのはいいことだ。いつまでも根に持たれてるとめんどくさいしな。

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