究極の三択
疲れた、肉体的にじゃなくて精神的に疲れた。そろそろ俺も休憩させてほしいんですけど…………。もう俺だけずっと休ませてもらえてないです。俺以外は順番に休憩してるのに。
「テリア、ちょっと休憩しないか?」
「なに悠長なこと言ってるんですか? 時間は有限なんですよ。休んでる暇があったら修行しないと」
俺のことも少しくらいは気遣ってくれてもよくない? びっくりするほどスパルタだな。俺は別に修行なんてしなくてもいいのに。もう素直に疲れたって言おう。
「すまん、俺は疲れた。一旦休憩するからルリかモエナに修行付き合ってもらってくれ」
俺がそういうと、テリアが少し不満そうにほっぺたを膨らませている。
「モエナの時はずっと一緒に修行してたのに私は途中でほったらかすんですか? ひどいです」
「休憩したら付き合ってやるから、それにある程度実力の近いほうが修行にはいいんじゃないか」
「仕方ないですね。わかりましたよ」
少し不機嫌にさせてしまったようだがこれでやっと休憩できる。俺はテリアの持ってきていたシートに寝っ転がった。このシートいい感じだな。思ってたよりもくつろげそうだ。
「ちょっと、起きなさい、センヤ。何、休憩とか言ってずっと寝てるのよ」
耳元でユウナの声がする。あれ? いつの間に寝ちゃってたんだな。
「…………悪い、思ってたよりも疲れてたみたいだ」
「今日の修業はもう終わりよ。すぐに起きるかと思って起こさなかったけどまさか最後まで寝てるとはね。おかげで私が三人の修業に付き合う羽目になったわ」
修行に付き合ってた割にはなんかご機嫌なような。もしかしてまたルリの時みたいにストレス発散してたんじゃ?
「あの子たちにハンデをあげて三対一で戦ってあげたのに全然ダメだったわ。あまりにもひどかったから最後に軽い魔法をお見舞いしたら全員気絶しちゃってね。それで今日はもう終わろうかなって」
よく周りを見てみると、三人がばらばらに転がっていた。ユウナの魔法の直撃を受けたんだ、気絶は仕方ないか。
「やりすぎだよ。下手したら死んでるところだろ」
「そこまで私もあほじゃないわ。どれだけ私が加減したと思ってるの? 軽い脳震盪くらいなもんよ」
はあ……、何やってるんだか。でも俺が寝てたせいってのもあるからあんまり強くは言えないか。
「とりあえず、三人を起こすぞ。大体、俺を起こす前に三人を起こせよ」
「私の優しい気づかいでしょ、気づきなさいよ。だから、センヤに起こすのは譲ってあげるわ。でも興奮して変なところとか触るんじゃないわよ」
なんの優しさだよ。ちっともうれしくないんですけど。うん? これは役得ってやつか。美少女を起こすのを譲ってくれたってことか? それならそういえよ…………ありがとうございます。
「しょうがないな。俺に任せとけ」
颯爽と、三人を起こすために近づいていった。誰から起こそうかなぁ…………やばい、何してるんだ俺。考えちゃだめだ。一度考えてしまったら…………くそぉ、誰から起こすか決めれない。こういう時は何も考えずに普通は一番近くに行くだろ。何やってるんだ俺は。ああーー!!
「ちょっとセンヤ何してんの? あんたまさか誰から起こそうかとか悩んでるんじゃないわよね?」
「少し静かにしてくれ。集中したいんだ」
「嘘でしょ。もうほんとに駄目ね。まさかこんなところでも優柔不断を発揮するなんて…………」
ユウナにばれた。早く決めないとまた馬鹿にされてしまう。どうすればいいんだ? 考えれば考えるほど泥沼にはまってる気がする。
「あれ? 私、なんでこんなところに転がってるんだろう?」
悩んでたら、モエナが起きちゃったよ。いや、プラスに考えろ俺。これで二人に絞れるじゃないか。どちらか決めるくらい俺でも余裕だ。
「あーあ、モエナが起きたじゃない。ほんと早くしないと二人も起きるわよ」
そうだ、早くしないとせっかくのイベントが台無しだ。
「そういえばユウナの魔法食らったんだったね。まだおでこ痛いよ」
「…………ふぎゅ、は!? わ、私生きてる。絶対に死んだかと…………流石は私の強化魔法です。耐久力も見違えるほど上がってます」
テリアが飛び起きた。起きた途端に自分の魔法の強さに満足してるよ。でも耐久力上がってるっていったって普通に気絶してるけどな。いやいや、そんなことを考えてる場合じゃない。これで、あとはルリしかいない。急げーー!! あれ? ルリが転がっていた方向を確認したらすでにルリの姿はなかった。
「ユウナーー!! ひどいよぉ、自分からは攻撃を仕掛けないっていってたのにぃ…………」
「三人があまりにも残念だからちょっとね」
ルリはユウナに泣きついていた。かわいそうに、そんな約束してたんだな。はあ…………結局俺は誰も起こせなかった。今回の反省を生かして次は考えないで行こう。
「そういえばそうだよ、約束してたのにユウナずるい」
「ほんとです。不意打ちじゃなければ避けれていたはずです」
「油断してたのが悪いのよ、まさか誰もよけれないとは思わなかったけど」
三人ともユウナの反論を聞いて黙ってしまった。よけれなかったのは事実だもんな。
「もう一回、ユウナに魔法を打ってもらえばいいんじゃないか? 不意打ちじゃなかったらよけれるんだろ?」
「そうね、打ってあげるから希望者は言いなさい」
あれ? 俺余計なこと言っちゃった? 三人とも俺をにらんでるんですけど。
「今日のところはやめておきます。強化魔法の効果が切れたみたいですから」
「私も今日はいいかな」
「そう? じゃあ、ルリだけってことね」
テリアとモエナの二人は自信ありそうだったのに、すぐに辞退した。タイミングを逃してしまったルリがもう一度ユウナの魔法を受ける流れになっている。
「え? 私もいいかな。まだ頭がくらくらするし」
「遠慮しなくていいのよ。もう私も打つ気満々なのよね」
ルリが俺のほうを涙目で見てきている。今回は余計なこと言った俺が悪いか。
「しょうがない、俺が受けてやるよ。三人がよけれないほどの魔法ってのも気になるしな」
「ふーん、でもセンヤなら手加減しなくてもいいわよね?」
あ、これ墓穴掘ったやつだ。




