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攻略完了!

「この階段を降った先はついに未到達階層です。気合を入れていきましょう。もしかしたら先ほどのギガマンティスのようなモンスターがうじゃうじゃいる可能性もありますから」


 テリアがまた怖いことを言っている。あのレベルのモンスターがたくさんいたら俺とユウナしか戦えないじゃないか。


「そんなことが起こったら、ユウナとセンヤ以外は全滅しちゃうかもね」


「センヤが守ってくれるから平気だよ! だってセンヤはめちゃくちゃ強いんだからね」


 そんなに期待のまなざしで俺を見られても…………できる限り頑張るけどさ。


「私がいるんだから平気よ。任せときなさい。いざとなったら最高火力で一気に吹き飛ばしてあげるわ」


「それだと、ダンジョンの崩壊に巻き込まれて誰も生き残れませんよ。それだけは絶対にやめてください」


 本当に冗談じゃない。ユウナの全力なんてダンジョンが持つわけがない。それなら俺が頑張ったほうがまだましだ。


「皆さん、あまり心配しなくてもほんとにやばいと思ったら私が転移魔法を使って脱出しますから大丈夫です」


「その手があったな。じゃあ、俺たちの命はテリアが握ってるようなもんだな。任せたぞ」


「私だけ置いてけぼりにしたりしないでよ」


 ルリはそんなことまで心配してるのか? いくらテリアでもそんなことするはずないだろ。とんでもないド畜生じゃねぇか。


「あ、階段の終わりが見えてきたわよ」


 まだ頑張って自分で歩いているユウナが階段の終わりを見つけたようだ。それにしてもユウナの体力は大丈夫なのか?


「ほんとだ、これからは私も戦えるようなモンスターが居ればいいんだけど」


「あんなレベルのモンスターがポンポンいてたまるかよ。これの階層からはさっきまでと同じようなモンスターしか出ないだろ」


 俺たちが階段を降り終わると、今までとは打って変わって通路と扉があった。前回のダンジョンの最下層と同じような感じだ。と言うことはもしかしてここが最下層なのか?


「この感じなんだか見たことあるような気がするよ。また魔王の手下がいるんじゃ…………」


「またジャミングがかかってて扉の向こうの様子はわかりません。またあのレベルのモンスターがこの向こうにいるんですか? もういい加減にしてほしいです」


 テリアの言う通りだ、さっき強敵を倒したばかりなんだぞ、こっちは。もう少し休む時間をくれてもいいと思うんだが…………まあ、ダンジョンには俺たちの都合なんて関係ないか。


「とりあえず、開けてみるわ。三人は下がってて頂戴」


「ユウナ、俺が開けるからお前も俺の後ろにいろよ」


 魔法しか取り柄のないユウナにはいきなり不意打ちされたりしたらきついはずだ。ここは俺のほうが適任だ。


「わかった、任せるわ」


「それじゃ、行くぞ」


 俺はゆっくりと扉を開いた、すると扉の向こうは、今までの広さとは比べ物にならないほど狭い部屋だった。部屋の真ん中には宝箱が一つぽつんと置かれていた。


「なによ、モンスターなんていないじゃない。なんだか緊張して損したわね」


「いいじゃないか、モンスターがいないのはいいことだろ。それにこれは宝箱だよな。きっとダンジョンを攻略したものに与えられる財宝が入ってるに違いない」


 先に部屋に入った俺とユウナが二人で話していると、後ろから三人も入ってきた。


「モンスターはいなかったみたいですね。とりあえず、これでこのダンジョンは攻略完了ですか」


「ほんとによかったよ。またやばいモンスターが出てくるんじゃないかってびくびくしてたから」


「なんだか拍子抜けだよ。もっと戦いたかったなぁ」


 一人だけ物足りなさそうにしているモエナはどんだけだよ。ちょっと怖くなってきたんだが…………。


「この宝箱開けてもいいかしら? この部屋に到達した私たちの物よね」


「いいんじゃないか。流石にその宝箱からモンスターってこともないだろうし」


 そこまで正確の悪いことはしてこないだろう。行くらなんでもそれはやりすぎだ。


「開けるわよ。…………うん? あれ? びくともしないわ」


 ユウナが開けようとしたが宝箱は全く開く気配はなかった。どんだけ力弱いんだよ。


「待ったく、何やってるんですか? ちょっと変わってください」


 テリアに代わり、テリアが力いっぱい開けようとしたがそれでも宝箱は空かなかった。


「これ本当に開きませんよ。嫌がらせでしょうか?」


「私もやってみたい!! 行くよっ」


 今度は貧弱な二人ではなくかなりの強さを持つ、モエナに代わった。それでもまったく駄目だった。


「これは無理。あきらめたほうがいいかも」


「流石にあきらめるのは勿体ないだろ。俺に任せとけって」


 モエナにどいてもらい、ついに俺が宝箱を開ける番がやってきた。


 宝箱の境目に指をあて、試しに軽く開けようとしてみたが本当に硬い。まるで鍵でもかかっているみたいだ。そうか、鍵がかかってるのか。そりゃ開かないわな。ここまで来る途中に鍵なんて見てないし、鍵穴もない。これはこじ開けるしかないな。次は全力で力を込めた。


 バキッ!! 


 俺が力を入れた瞬間、宝箱が壊れふたの部分が吹っ飛んだ。


「よし、開いたな。思ったよりも硬くてびっくりだ」


「やりすぎよ、蓋がぶっ飛んでんじゃない。中身は無事なんでしょうね?」


 俺が宝箱をこじ開けると同時に全員がこっちに駆け寄ってきた。


「見てください、これは金貨じゃないですか? それもこんなにたくさん。大金持ち確定ですよ」


「でもこれ今の金貨とは違うね。昔使われていたものかな」


「そんなの関係ないわよ、金には違いないんでしょ。これで本当にあの一番高い家も帰るんじゃない?」


 まさか金貨が大量に入っているとは。これは報酬よりも全然おいしいだろう。


「それではこの金貨はひとまず私の収納魔法に直して帰りましょう。もうすでに外は夕方くらいでしょうしね」


「持って逃げたりするなよ」


「そんなことしません」


 そんなことするような奴じゃないか、テリアは。でもこれでこのダンジョンの攻略も終わりか。魔王の手下なんて出てこなかったな。そりゃ出てこないほうがいいんだけど。


 こうして俺たちはテリアの転移魔法で王都へと帰還した。

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