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今日の宿はここだ!!

「終わった? それならさっさと宿探しに行くわよ。もう私は疲れたからゆっくりしたいわ」


 ユウナの中には城に泊まるという考えはないようだ。俺もテリアに言われるまでは考えもしなかったし、しょうがないだろう。


「待ってくださいユウナ。城に泊まればいいじゃないですか、モエナもいることですしオッケーもらえるはずです」


「その発想はなかったわ。……そうしましょう。変な宿よりもよっぽどいいわ」


 二人で話を進めているが、肝心のモエナはどうなんだろう? ここでモエナが嫌がった時点でこの案は消えるからな。


「パパに聞いてみるよ。たぶん大丈夫だと思うけどね」


 モエナが頼んでくれるんならまあ大丈夫だろう。あの父親だ、娘の言うことは基本なんでもオッケーのはずだ。


「私たちみたいな普通の冒険者が城に泊まるとか…………大丈夫なの?」


「モエナは私たちのパーティのメンバーですよ。メンバーの家に泊まるだけです。何も悪いことなんてないじゃないですか」


 テリアの言い方だと全然問題ないように感じるが、実際にはモエナは王女様である。そんな簡単な問題でもないような…………。



 こうして俺たちは泊まる場所を求めて、城へと向かった。


 

 城に着くと、いつも通り門番の騎士が立っている。


「ご苦労様です、頑張ってください」


「ちゃんと働くのよ」


 ユウナとテリアの二人はなに様のつもりだろうか? こっちにモエナがいることに気が付いている門番は敬礼したまま二人のことは無視していた。内心は何だこいつらとか思われてるんじゃないのか?


 二人はそのまま自分の家のような気安さでどんどん進んで行っている。あほだろう、この二人。


「モエナ、どこに国王がいるんですか? さっさと会って事情を説明しましょう」


「今の時間なら自分の部屋にいると思うけど……とりあえず行ってみるね」


 誰かに見つかったら普通に怒られそうだな、これ。いやだなぁ。誰とも出会いませんように…………。


 モエナについて歩いていると、不意に部屋の前で立ち止まった。


「ここだよ。それじゃあ、ちょっと説明してくるね」


「任せたわよ、今日の宿はモエナに懸かってるんだから」


「お願いします。できれば大きい部屋で」


 ユウナは城を宿とか言ってるし、テリアは図々しい。ルリなんて緊張して固まってるのに、この二人は何なんだよ。


 

 モエナが部屋に入ってから待つこと数分。すぐにモエナが戻ってきた。


「よくわからないけどパパすっごい機嫌よかったよ。いくらでも泊まっていきなさいって。ご飯も用意してくれるみたい。ご飯まだだったからちょうどよかったね」


 数日ぶりに娘の顔が見れてテンションが上がっちゃったんだなきっと。それにしても流石は国王。ご飯まで出してくれるとは気前がいい。ちょっと見直したぞ。


「どんな豪華な料理が出てくるか楽しみです」


「良い心掛けね」


「まさか城でご飯まで食べることになるなんて…………」


 ユウナだけセリフがおかしい。ほんとは天使かもしれないがここでは普通の人間という扱いだろ。


「それじゃあ、案内するね」


 モエナの後を着いて行き、見たことあるような光景の部屋に入った。長いテーブルに椅子がたくさん並んでいる。でっかいシャンデリアがいくつも天井から下がっている。この部屋だけでも相当な額のお金がかかってそうだ。うっかり置いてある壺とか割らないようにしないと。俺たちの稼いだ金が一瞬で吹き飛んでしまいそうだ。


「すごいわね。こんなに大人数でご飯食べてるのね」


「いつも私とパパとママの三人だよ。椅子はパパが雰囲気出るからっていっぱい並べてるの」


 無駄なことしてんなぁ。椅子なんていっぱいあっても邪魔なだけだろ。それにしても広いな。


「好きなところに座っていいよ。パパたちはもう食べたみたいだから」


 好きなところと言われても困るんだよな。俺はいったいどこに座ったらいいんだ? 


「それなら私はここにするわ。この椅子だけなんか豪華だし私が座るべきね」


 ユウナは見るからに国王のであろう椅子に腰かけた。なんて言うかユウナはやっぱりユウナだな。流石のテリアでもその椅子には座らないだろう。


「センヤさんはどうせどこに座るか悩んでいるんですよね。私の横に座っていいですよ」


 テリアが自分の横の席をポンポンたたきそう言ってきた。気が利くなテリアは。


「助かる。どこに座ればいいかわからなかったんだよ」


 俺もお言葉に甘え、テリアの横に椅子に腰かけた。ルリはモエナの横にしたみたいだ。これで俺の前にルリ、テリアの前にモエナ、そしてテーブルの横に一つだけある豪華な国王の椅子にユウナが座っている。


 椅子に座ると、すぐにどんどん料理が運ばれてきた。――――めちゃくちゃうまかった。



 

 ご飯を済ませた俺たちはモエナに部屋へと案内された。俺以外野四人はモエナの部屋で、俺は一人で別の部屋となった。一人で使う部屋とは思えないような広さで少々戸惑った。


 いつもは誰かと同じ部屋だったのでなんだか少し寂しかったがここ最近で一番ぐっすり眠ることができたと思う。そう考えると一人も悪くないな。

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