ギルドマスターからの指令
俺たちはいつものようにギルドへと向かった。今日もクエストを受けることが決定しており、どのクエストに行くか選ぶためだ。
ギルドについた俺たちはクエストボードの前に行き、よさそうなクエストを探し始めた。
俺も形だけは参加しているがどれもよさそうに見え、一つに絞るどころか候補をあげることすら難しい。情けなさすぎる。
「報酬が良くて、近くのクエストがいいわ」
「そんな都合のいいクエストなんてあるわけないです。ふざけてないでユウナもちゃんと探してください」
今のは間違いなくユウナの本心だろう。近くならまだ歩いていける可能性も残されているからな。そりゃ、近くのほうがいいに決まっている。
「私は、強いモンスターと戦いたいっ。そのほうが楽しいと思うんだ」
「昨日みたいなモンスターは私たちには荷が重いよ。今日は控えめのほうがいいんじゃ…………」
こっちの二人は真逆の意見を言っていた。モエナは強いモンスター、ルリは安全なレベルのモンスターと二人の間ですら意見の違いがはっきりとわかる。
「あ、チームセンヤの皆さんじゃないですか。今日の早朝にギルドマスターから報告があって、特別クエストを受けてほしいそうですよ」
いつもはカウンターにいるはずの受付のお姉さんから急に話しかけられたと思ったらなんだ? 特別クエストって?
「なんですか、その特別クエストって?」
「用するにギルドマスターがチームセンヤの皆さんを指名して発注したクエストってことです。この前の一件で実力も折り紙つきですし、何かあったのではないですかね」
指名クエストってことか。それにしてもなんでわざわざ俺たちに? 王都にも優秀な冒険者はたくさんいるはずだろうに。エンペラーゴーレムを倒したのがそんなに効いてるのか?
「ギルドマスターも私たちにクエストとはお目が高いですね。どんなクエストでもクリアしてあげますよ」
「頼もしいですね。それでは受理と言うことでいいですか?」
「もちろんです、それでクエストの内容はどんなのですか?」
全部一人で勝手に進めやがった。これですごいめんどくさいクエスト押し付けられたりしてたらどうするんだよ、テリア。
「はい、どうぞ。これがクエスト用紙になります。頑張ってくださいね」
そういうとお姉さんはテリアに紙を手渡した。
「えーと…………とりあえず王都に来いって書いてあります」
なんだよそれ? 詳細は直接話すってことか? めんどくさいことすんなよ。
「なんで内容も聞かないで受けるの? このクエスト明らかに変だよ。いきなり呼び出しとか、断られてたらどうするつもりだたんだろう?」
まったくもってルリの言う通りだ。断られてたらどうするつもりだったんだ? 断られないって確証でもあったのか? それよりもこのクエスト国王の命令だったりしないよな?
「めちゃくちゃ遠いじゃない!! テリアはもちろん転移魔法を使ってくれるわよね」
「仕方ないですね。私が勝手に引き受けちゃいましたし、今回は使います。その代わり戦闘でのサポートはあまり期待しないでください」
転移魔法万歳!! まさか当日に来るとは思ってないだろうし、絶対ギルドマスタービビるよな。今まで滞在してたのか疑われたりしてな。
「それじゃ、決まりね。ついでにダンジョン攻略の報酬もぶんどるわよ」
「それにしても一体どうしたんでしょうね? わざわざ呼び出すなんて」
テリアが不思議そうに首を傾げた。ユウナに関してはついでとか言いながら報酬のことしか頭になさそうだ。
「緊急自体でも起きたんじゃないのか? まあ、行ってみればわかるだろ」
「それもそうですね。もうこのまま行きますか? それとも何か準備しておきますか?」
一日で帰れるとは限らないしな。どうしたもんだろう? 俺は特に持っていくものとかはないからいいけどさ。
結局宿に一回戻り、店員に今日は戻るかわからないことを伝えておいた。
「それじゃあ、行きますよ」
そろそろテリアに転移魔法にも慣れてきた。周囲が少し光り、気が付けだ目的地についている。便利すぎるよなこの魔法。俺も使えたらいいんだけど、魔法適正ゼロの俺には無理な話か…………。
王都の入口へと一瞬で着いた俺たちはとりあえずギルド本部を目指した。
「相変わらずの人の多さね。歩きづらいったらないわ。倍疲れるじゃない」
「それはユウナにとっては死活問題だな。どうする? おんぶしてやろうか?」
人ごみにもまれへばりかけていたユウナに日ごろの仕返しをするためにそう問いかけた。
「冗談じゃないわよ。センヤにおんぶされるくらいならルリにしてもらうわ」
「それは悲しいなぁ。ユウナは俺のおんぶ気に入ってると思ってたのにな」
尚も続けた。ユウナもきつそうだし、今が攻め時だ。
「どこからそんな発想が出てくるのかしら? 一体何を根拠にそんなわけのわからないことを言ってるの?」
「だっていっつも必要以上にくっついてくるじゃないか」
「それは仕方なくよ、仕方なく。私の体力のなさは知ってるでしょ。別にあんたが好きだからくっついてるわけじゃないわ、本当よ」
この前は悟りを開いたとか言ってたがやっぱり恥ずかしいみたいだ。少し顔が赤くなっている。ユウナも意外とちょろいもんだな。
「何二人でいちゃついてるんですか? しっかりはぐれないようにしてくださいよ」
もうちょっと行けそうだったがテリアの邪魔が入ってしまった。しょうがない、今日はこれくらいにしといてやるか。珍しいユウナの赤面も見れたことだしな。
人ごみを何とか抜けた俺たちはギルドの本部へと到着した。俺も案外疲れたかも、こんな人込みは久しぶりだったから当然か。




