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俺のために争わないでくれ

「ご飯も食べたことですし、ギルドに向かいますか」

 

 めんどくさい。もう明日でもいいんじゃないかと思ってしまう。


「しょうがない、行くか」


 俺たちは何とかめんどくささに打ち勝ち、ギルドに到着した。よく頑張った、俺。ほんとになんで今日行かなくちゃいけないんだ? 明日になれば新しいクエストを受けるために絶対ギルドに行くだろうに。まあ、明日行ってから報告してたら、時間はかかると思うが…………。


「報告はテリアに任せた。俺は椅子に座って休んどくから」


「駄目です、センヤさんは一緒に来てください。ユウナもです。ルリとモエナは休憩していていいですよ」


 俺も今日は大分働いたと思うんだが、確かに戦闘はしてないけど。あれ? よく考えたら俺が一番何もしてない?


「センヤはまだしもなんで私まで行かなくちゃいけないのよ」


「あのガーゴイルを倒したのはユウナじゃないですか? 当たり前だと思います」


 あいつと戦ったのは俺とユウナだしな。説明も俺たちがしたほうがいいってことか。


「クエストのクリア報告に来ました」


「チームセンヤの皆さんですか。ダンジョンの攻略はもう終わったんですか? 流石ですね」


 お姉さんは少し驚いていたが、毎度のことにもう慣れてしまったようですぐに落ち着きを取り戻していた。


「あのダンジョンですけど、二十五階層で終わりでした。でもそこに魔王の手下のガーゴイルが居てですね。まあ、ユウナが倒しましたけど」


「魔王の手下? そんなモンスターがなぜあのダンジョンに? とりあえずわかりました。このことは一応本部へも報告しておきます。すいません、報酬は一旦保留でもいいですか?」


 出た、報酬の保留。お金に困ってるわけじゃないからいいけどさ。こんなことが何回もあっていいのか?


「わかりました。その代わり報酬は期待してもいいですよね?」


「もちろんです。魔王の手下を倒したとなればそれはもう大手柄ですから。ほかには何かありましたか?」


 大手柄だって、しゃべるくらいだしな。あいつもそれなりのすごいモンスターだったんだろう。もしかしたら、賞金首とかだったりして。


「そうですね……他は特にありません。情報になかったモンスターはその一匹だけでした」


 今日あったことをことを思い出すように一瞬考えた後テリアはそう報告した。

 俺も少し思い出してみるが特にこれと言ってイレギュラーなことは無かったな。最後のあいつ以外。


「そうですか。では報酬が決まり次第、声を掛けますね」


 また王都に呼び出されたりしなけらばいいんだが…………。あの国王のことだ、娘の顔が見たいからって俺たちを王都に呼び出しかねない。ギルドマスターも国王には報告しないでくれよ。


「これで終わりよね。帰りましょうよ」


 終始気だげな表情で突っ立っていたユウナが口を開いたかと思うと、もう帰りたいようだ。でもまったくもって同感だ。俺も帰りたくてたまらないからな。


「そうですね。二人を呼んで帰りますか」


 テリアが酒場の椅子に座っている二人に手を振る。二人もこっちに気が付いたようで歩いてきた。


「もう終わったの? 以外に早かったね。どう? 報酬はどれくらいだった?」


 ルリもやっぱり報酬が気になるようだ。残念だったな、お預けだ。


「報酬なら保留になりましたよ。なんでも魔王の手下を倒したのが大手柄みたいです」


「私は初クエストで魔王の手下を倒したことになるんだよね? パパも私のことを認めてくれるといいなぁ」


 あの国王がモエナの冒険者を認めることなんてありえないと思うな。どんなにモエナが強くなろうが冒険者が危険なものであることには変わりない。それにあの決闘だって一ミリも勝たせるつもりなかったみたいだし…………。まあ、勝っちゃたけどさ。


「また王都に来いとか言わないわよね。流石にめんどくさいわ」


「もしそうなっても私の魔法があるじゃないですか。戦闘しないとわかっていれば魔力も温存する必要もありませんしね」


 テリアは逆に役に立てる機会が増えて喜びそうだな。テリアの転移魔法で一瞬で行けるってなったら行ってもいいか。次は違うSランク冒険者連れてきたりしないよな? あの親バカっぷりからしたら本当にやりかねないからマジで怖い。次決闘って言われたらユウナに城ご吹っ飛ばしてもらうか。


 

 俺たちはどこにもよらずにまっすぐ宿へと帰った。


「今日は誰がセンヤと同じ部屋で寝るの? もちろん、毎日交代よね?」


 そういえばそんなのあったな。俺は一人でゆっくり寝たいが、聞いてはもらえないだろう。


「そうなの? ユウナが負けたからずっとユウナだと思ってたけど私は」


 モエナが不思議そうにそう言った。


「毎回じゃんけんするのはめんどくさいですし、ずっとユウナでいいじゃないですか」


「うん、私もそう思う」


 テリアの発言に乗っかり、ルリもユウナに押し付けた。そんなに俺と同じ部屋は嫌か? みんなで押し付け合わないでくれよ。ここはみんな俺と同じ部屋がいいって争うところじゃないの? 二回もされたら心が折れそうだ。


「そんなに嫌なんなら俺が一人で部屋使うから女子は四人で仲良く一部屋使えよ」


「別に嫌とかそういうわけじゃないですよ。ただ、少し恥ずかしいだけです…………」


 テリアが少し顔を赤くさせながら、弁明してきた。そうか、男と二人きりで同じ部屋って恥ずかしいよな。しょうがない。みんな恥ずかしがってたってことか。かわいいなぁ、もう。


「そうだよな。恥ずかしかったらしょうがないか」


「私はセンヤと同じ部屋ってことに身の危険を感じるけどね」


 俺がめっちゃ欲望を抑えて我慢してるっていうのに……なんだよこの言い草は。実際何もしてないだろうが。ほんとに襲ってやるぞ。


 その後は、結局三対一の状況になってしまったユウナが負け、昨日と同じ部屋分けとなった。


 襲ってやろうかと思ったが俺にそんな度胸もなく、考えるだけの未遂に終わった。


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