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俺らのパーティ強すぎないか?

 テリアの探知スキルのおかげでリザードマンがこちらに気が付く前にモエナは戦闘態勢に入ることができた。


 昨日買ったばかりの剣を二本とも抜き放っている。すでにいつでも戦闘可能なモエナとは違いリザードマンはまだゆったりと部屋の中をうろついている。この状況を見るだけでもモエナが有利なのは言うまでもない。


 俺たちは息を潜め、モエナがリザードマンに斬りかかるのを今は今かと待っている。それにこれで、モエナの実力が大体把握できるはずだ。今後のためにもしっかり見ておかないといけない。モエナに万が一のことがあったら、国王に殺されてしまう俺はいつでも割って入れるようにしておく必要がある。いろんな意味でこの戦いは目が離せない。


 モエナが動いた――――。


 リザードマンがこちらに背を向けた瞬間を見逃さなかった。振り返る暇も与えず接近し、右手に持っていた剣をリザードマンの首をめがけて薙いだ。何も抵抗することのできなかったリザードマンの首はそのまま刎ねられ、ぼとっと嫌な音を立て地面に落ちた。


 モエナに首を落とされたリザードマンは体から力が抜けたように倒れた。


 ――――まさに一瞬の出来事だった。


「危険度Bだから少し期待してたのに、拍子抜けだね」


 危険度Bのモンスターを瞬殺する王女様ってどうなの? 王家の血筋っていったい何? これこそ、チートじゃないのか?


「やるじゃない、モエナ。これならルリよりも強いんじゃない?」


「私は超初心者のモエナよりも弱いの? もうやだ…………」


 ルリをいじめるなよ。ルリだって一生懸命頑張ってAランク冒険者になったんだぞ、たぶん。


「私の見立てですと、モエナの身体能力はルリの強化状態と一緒か少し下だと思います。でもモエナには、魔法もありますから総合的にみると、モエナの勝ちですね」


 前半だけでやめとけよ、ちょっとルリをフォローしてるのかと思ったら、普通にモエナのほうが上とか言ってるし。


「そんな…………私のとっておきと同じなの? なんなのモエナって? 普通の王女様じゃんないの?」


「知らないの? 王家の血をひくものは神の恩恵によって、とてつもないステータスを持つんだよ。なんでもランジニア初代国王はこの世界を魔王から救った英雄らしいからね」


 初代国王は転生者なんじゃ? 流石にないか。それにしても神の恩恵とかチートすぎる。ルリが可愛そうだ。


「魔王とかいたんだな。それにしてもすごいな初代国王。魔王討伐とか正真正銘英雄だな」


「そうでしょ。その子孫なんだよ、私。そう考えると、私もすごくない?」


 すごいけどさぁ、自分でそんな自慢気に言うことか? ほんとにすごいのはご先祖様だろ。


「ずるいよ、そんなの…………私にもそういうのがあれば…………」


 ルリが現実逃避をはじめた。こんなの王族だけの特権みたいなもんだろ、気にすんなよ。


「なんの訓練もなしこれはすごいです。モエナもこれで私たちのパーティの戦力になることがわかりました」


「テリアもすごいよ。転移魔法なんて初めて見たしね」


 こっちは二人で褒めあっている。もう進んでもいいか?


「モエナは気が済んだ?」


「この辺のモンスターだと相手にならないし、ユウナに任せるね」


 頼もしいな。もう少ししたら頑張ってもらおう、俺の代わりに。


 二十階層につくまでは危険度Bのモンスターが出現するだけで、結局今までと変わらず、ユウナの魔法で一発だった。モンスターの出現頻度は上がったような気がするが、魔力に関してならユウナは無限だ。いくら打っても疲れた様子はない。ほんとにこれで体力も人並みにあればいいんだが…………それはないものねだりでしかないか。


 二十階層につくと、さらにダンジョンは神殿のような神々しさを放っていた。もう地面の中だとは思えないほどだ。それほどに綺麗かつ、豪華だ。


「やっと着きましたね。ここからは危険度Aのモンスターが出現するようになるみたいです。ルリとモエナはしっかり私を守ってくださいよ」


 このパーティで唯一戦闘能力が皆無なテリアからしたら、ここは相当怖いだろう。俺たちとはぐれれば最後すぐにモンスターに襲われ殺されてしまう。


「危険度Aともなると、ルリと同じくらいの強さってことか?」


「一概にそうとは言えないよ。確かに私はAランク冒険者だけど、その中でも順位があるようにモンスターたちにも同じ危険度の中にも優劣はあるんだ。最初から私と同じくらいのモンスターは出てこないはず」


 言われてみればそうだよな。危険度Aのモンスターがすべて同じ強さかと言うと、そんなわけないもんな。ピンからキリまであるだろう。そうなると、危険度Aのモンスターでもルリより強いやつはいるってことだろうか? 厄介だな、それは。モエナと二人なら何とかなるか。


「どんなモンスターが来たって同じよ。今まで通り私の魔法で一発なんだから」


「それで終わってくれれば楽なんだけどな」


 ユウナの魔法で倒せなくなってからが勝負だ。そうなると、俺とルリ、それにモエナが戦うしかなくなる。その際に、俺以外が勝てないモンスターが出てくると、本当に厄介だ。と言うかめんどくさい。ユウナの魔法が全く効かないってことは無いだろうから、弱った敵を攻撃することが主にはなるだろうが。


「あ、この先にいます。今までで一番の反応です。一応気を付けてください」


 前方の通路で何かがうごめいている。まだちょっと遠くてよく見えない。


「あれ、キングスネークだよ。危険度Aの真ん中くらい。私でも倒せるから、まだ大丈夫かな」


 よく見えるなルリは。俺にはまだ見えないんだが。


 少しずつ近づいてようやく見えた。巨大な蛇が地面を這っている。俺の見たことのある蛇の中で間違いなく一番でかい。普通に怖いんですけど。


「私、蛇ってあんまり好きじゃないのよね」


 そういい、ユウナがいつもの魔法で蛇の頭を吹き飛ばした。頭を失った蛇はじたばた暴れたが、すぐに動かなくなってしまった。危険度Aのモンスターですら、威力を抑えても一撃だ。もう心配しなくていいかな。


 こうして俺たちは特に苦戦したり、迷うこともなく二十四階層へとつながる階段の目の前まで来てしまった。

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