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帰ってきたダンジョン

「なんで俺たちは歩いてダンジョンに向かってるんだ? テリアの転移魔法で行けば一瞬じゃないか」


「無理ですよ。転移魔法は相当魔力消費が大きいんです。そんなにポンポン使えるものじゃありません」


 そういうもんか、だよな。それだったらもっと前から使ってるか。でもほんとに転移魔法って便利だよな。完全にテリアちゃんはうちのパーティの生命線だ。


「あと出れくらいで着くの? わくわくしちゃってもう我慢できないよ」


「心配しなくてももうすぐ着きますよ。でも序盤の階層だと雑魚モンスターしか出現しませんからまともな戦闘はもう少し我慢です」


「そんなぁ…………」


 目に見えて落ち込んでいる。やっぱり憧れの冒険者になってからの初クエストだからか、気分も高揚しているんだろう。俺も森トカゲの時はテンション上がったもんな。



 そのまま歩いていると、ダンジョンの入り口が見えてきた。前に来た時とまったく変わっていない。


「これがダンジョン?」


「そうですよ、さっそく入りましょう」


「そうね、行きなさいルリ」


「わかったから頭たたかないで」


 ルリはおんぶしているユウナから急かされ、頭をポカポカ叩かれている。可哀そうに、それもユウナをおんぶする係としての宿命みたいなものだろう。もう慣れてもらうしかない。あ、俺はルリのおかげで誰もおんぶしてません。ちょっと背中が寂しいかも…………いや、そんなことないか。



 今回のダンジョン攻略も前回と同じようにテリアの指示した方向へ進むだけの簡単な作業だった。五階層までは到達しているので、遭遇するモンスターもすべて一度は戦っている。しかも先頭を歩くルリの背中に装備されている移動式砲台ユウナがすべてのモンスターをよくわからない衝撃波魔法で一撃で倒してしまう。


 俺とテリアはドロップアイテムの回収をしながらついていくだけでいい。モエナは少し退屈そうにしているが、こんなモンスターと全員で戦うのも馬鹿らしいので我慢してもらっている。


「これから六階です。大したモンスターはいないと思いますが、安全に行きましょう」


 一つの階層差で極端にモンスターが強くなることは無いだろうけど…………俺も少し周りを警戒しながら進もうかな。でもこのダンジョンの最高到達階層は二十三なんだろう? それまでは誰かが到達したことがあるはずだし、それほどやばいモンスターは出現しないよな。



 六階層からは低危険度モンスターの出現がかなり減った。遭遇するモンスターはほとんどミノタウロスと同じくらいの危険度だ。それでもユウナの相手にはならないようで相変わらず同じ魔法を永遠と打ち続けている。


「俺たちは後を着いていくだけでいいなんて楽なもんだな。この調子で二十四階層まで行っちゃうんじゃないか?」


「そう簡単にいけばいいですけど…………ユウナの魔法も威力を抑えないといけないですから。いずれ限界が来るんじゃないですか?」


「そうなれば私たちの出番ね。早く来ないかなぁー」


 モエナは呑気なもんだな。威力を抑えてるからといってもユウナの魔法はかなり強い部類だぞ、多分。それでも倒せないモンスターの相手なんて俺はしなくないんだが。


「なんで私がずっと前衛をしなくちゃいけないのよ。そろそろ変わりなさいセンヤ」


「だってユウナのほうが早く倒せるだろ、絶対。ルリにおんぶしてもらって楽してるんだからそれくらいは働けよな」


 ユウナのやつ、雑魚モンスターばかり相手にするのに飽きたのか交代を要求してきやがった。俺は嫌だ!! 戦闘なんてできる限りしなくないんだよ。


「センヤさんには私の護衛という仕事があるんです。前衛はユウナがやってください。ユウナじゃ、近距離の相手と戦えないですよね」


「そんなことないわ。私の魔法を甘く見すぎね。でも近距離だとテリアごとやっちゃうかもしれないわね」


 それは流石にまずいだろ。護衛の意味ないじゃん。


「私のことも気遣ってもしいんだけど…………ギルドからずっとユウナをおんぶしてるんだよ。休憩させてほしいかな」


「仕方ないわね。モエナ私をおんぶしなさい」


「い・や」


 即答だった。モエナは一瞬の迷いもなくユウナの命令を断った。


「私はこれでも王女だよ。パパにユウナをおんぶした何て言えないよ」


「モエナもこう言ってることだし、ルリには最後まで耐えてもらうしないわね。私はちゃんと気は使ったわ」


 ルリがあまりにも可哀そうだ。しょうがない、俺が変わってやるか。モエナとルリが居ればテリアの護衛も問題ないだろう。前からのモンスターは俺とユウナで倒せるしな。


「俺が変わってやるよ。いいだろ? ユウナ」


「いいの? ありがとうセンヤ」


「私はまだいいって言ってないわよ」


 ユウナの声はもうルリには届いていないようですぐさまユウナをおろし、一息ついていた。よっぽど疲れてたんだろうな、そんなに疲れる前に一言言ってくれればいいのに。


「文句言うなら、おんぶしてやらないからな」


「悪かったわよ…………私もこんなとこに置いていかれるのは御免よ」


 そういうと、しゃがんでいる俺の背中にユウナが乗っかった。なんか久しぶりにユウナおんぶしたかも。やっぱり役得だよなぁこの状況。


「早く進みなさい!」


「わかってるって、叩くなよ」


 奇しくもダンジョンに入るときのルリと同じ状況になってしまった。はあ、痛くはないんだけどな…………おんぶしてやってるのに叩かれるのは理不尽じゃないか?


 こうして俺とルリのポジションを入れ替え、ダンジョン攻略が再開された。一体いつになったら二十四階層につくことやら…………。

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