万能テリアちゃん再び
フォーリスに帰るということはまた寝ずにリザードランナーを走らせるなくちゃいけないのか。それにモエナがいるから今度は二匹じゃたりないな。めんどくさいなぁ、もっと楽な方法はないのかよ。
「それじゃあ、行くわよ。もうここに用はないしね。早く帰って家を買いに行くわよ」
「私たち全員の所持金を合わせればそこそこいい家が買えるはずです」
こいつらはフォーリスに家を買うつもりか? あの街に別段思い入れとかないんだけど。それで早く帰りたがってるんだな。
「それって私の貯金も入ってるのかな?」
「当たり前よ、ルリも私たちのパーティの一員でしょう。当然の義務だわ。おとなしく有り金をテリア銀行に預けなさい。そこらへんのところに預けるよりもよっぽど安全よ」
なんだテリア銀行って? あれか? テリアの能力でお金をしまっているってことか。でもこいつらに金を預けるの事態が不安でしかない。こっそり自分たちの武器だけ新調してそうだし。
「私のお金もいる? 自慢じゃないけどお小遣いはいつも貯金してたんだよ」
「足りなかったときはありがたく頂戴するわね」
「私たちには今回の報酬とルリの貯金がありますから、何とか足りると見てます」
ルリの貯金が結構あてにされてるな。災難だなぁルリも、あのタイミングでフォーリスのギルドに来てしまったのが運の尽きだったようだ。
「それよりも帰るんなら早くしようぜ。また丸一日かかるんだろ」
「それもそうね。あぁーまたあれに乗らないといけないの?」
「そうだね。この前は運よくリザードランナーを借りれたけど毎回借りれるとは限らないから。もしかしたら今回は普通に馬になるかも……」
げっ、馬だともっと時間かかるじゃないか。テリアの魔法で強化しても一日ではつかないだろう。余計憂鬱な気分になってきた。もういっそ帰らなくてもよくないか? 移動がこんなにめんどくさいとは、こうなってみると車や電車の便利さがよくわかるな。
「ふっふっふ、皆さんはどうやら私のことを忘れているようですね」
「どうしたんだ急に? 頭がおかしくなったのか?」
テリアがいきなり無駄に高いテンションでふんぞり返っている。
「失礼ですね。センヤさんは置いて帰っちゃいますよ」
「お前は一人じゃ馬にも乗れないだろ。どうやって置いて帰るって言うんだよ?」
「そうよ、テリアは私と一緒の体力ない枠じゃない」
まあ、テリアが一人で馬に乗れるようになってしまえばこの中で乗れないのはおそらくユウナだけになるだろうな。モエナのステータスで乗れないってことはまずないだろうし。
「別に私は普通の女の子くらいの体力はあります。それに誰が馬で帰るっていいましたか?」
いまだ余裕そうな表情で俺たちに問いかけてくる。無性に腹立たしいのだが、また余計に腹立たしいことにこの表情がすごい可愛い。
「ならどうやって帰るんだよ?」
「そうよ、ほかに方法があるっていうの?」
「もういいから早く帰ろうよ、テリア」
「私もリザードランナー乗りたいな」
馬鹿正直に聞いた俺とユウナがあほだったみたいだ。ほかの二人はテリアがあほなことを言ってるだけだと勘づいているようだ。
「悪かったよ、そんな方法ないもんな。強がってみただけだったんだよな。ごめんな気が付いてやれなくて…………」
「なんですかみんなして私を憐れむような眼で見て……ううぅ、本当において帰っちゃいますよ」
まだ強がりをやめない。ほんとに何かあるのか? どう考えてもそんな方法ないと思うんだが…………。
「わかりました。そこまでみんなが信じれないというのなら先に見せてあげますよ。和たちの近くに寄ってください」
いわれる通り俺たちはテリアを中心に固まった。
「それじゃ行きますよ」
テリアがそういうと、俺たちの周囲にどこからともなくキラキラと光りが集まってきた。そして次の瞬間――――
激しい光に少しの間視界を奪われたが徐々に回復してきた。目に映った光景は先ほどまでの王都の物ではなかった。
「あれ? なにしたんだテリア? 幻覚でも見せてるのか? さっきまでいたところと明らかに違うぞ」
「当たり前です、ここはフォーリスですよ。見覚えないですか? 私たちの止まっている宿の目の前です」
はい? ほんとだ。俺たちがいつも見ていた光景だ。
「もしかしてテリア転移魔法が使えるの?」
「おっ、流石にルリは察しがいいですね。その通りです。今までは隠してきましたが、私は一度いった場所ならどこでも一瞬で移動することができます。どうです? さっきまでの態度を改める気になりましたか?」
テリアそんなことまでできるのか。もうマジでテリアいないとクエストにいけないな。
「すごい!! リザードランナーにも乗ってみたかったけどこっちのほうがもっと新鮮でびっくりしたよ。さすがはセンヤのパーティの一員だね。そこらへんの冒険者とは比べ物にならないや」
「その通りです。私はすごいんですよ」
テリアがモエナに褒められて完全に調子に乗っている。でも今回はマジで助かったな。あの旅をもう一回するのはしんどすぎる。まったり旅をするんならいいんだがあんなに急いで走り続けるのはちょっとな。
「もう私はついていけないよ。なんなのみんな…………なんでAランク冒険者の私が一番使えない感じになっているんだろうか?」
「仕方ないさ。運が悪かったと思うしかない」
「え? ルリは使えないの? Aランク冒険者って聞いてたからすごい期待してたんだけど」
もうルリをいじめるのはやめてやってくれ。ちょっとマジ泣きしそうな感じだし…………。
「そんなことより帰ってきたことだし家買うんだろ?」
「そうだわ、こんなことしてる場合じゃないのよ。早くしないといい家が全部売れちゃうわ」
どんだけだよ。別に今空前絶後の家ブームが来てるわけでもないしいつ行っても一緒だと思うんだが。まあ、話題をそらせたんならいいか。
「ありがとうセンヤ。私何でこんなことになってるんだろうね? ちょっと前までは普通にエリートだったのに」
俺のほうに寄ってきたルリは少し弱気になりながら俺だけにしか聞こえないような声でつぶやいた。
「ユウナに目をつけられた時点で詰んでたんだよ。そこに関してはあきらめろ。でも、俺たちのパーティならランキング一位も夢じゃないんじゃなかったのか? 一緒に頑張るしかないんだよ」
「そうだったね。私だって少しは役に立ってみせるよ」
少しは元気が出たのか笑顔でそう言ってきた。




