国王の提案
俺たちはギルドマスターに少しここで待っておくように言われた。なんでも今から国王に連絡するらしい。わざわざギルド本部へ立ち寄らされた意味が全く分からない。いつ来るかわからない訪問者を待ってられるほど国王も暇ではないってことか。
「ついにお待ちかねの報酬ですよ。一体いくらもらえるんでしょうか? 期待してもいいはずです」
「こんなに面倒くさいことばっかりさせられて報酬少なかったら本気で私は城を爆破するわよ」
このやり取り前にも見たような……。ユウナが怒ったら俺が抱えて全力で逃げよう。魔法を打つ暇は与えないからな。
「待たせたのう。国王への連絡は済んだぞ。さっそく今から来ていいそうじゃ……と言うか早く会いたがっておったわ」
なぜ早く会いたがるんだ? 国王は金をばらまくのが好きなのか? それならそれで俺たちはうれしいけどな。
「それじゃあ、行ってきます。この三人……特にユウナが国王に無礼を働かないように私がきっちり見張っておきます」
ルリができもしないことをギルドマスターに言ってるぞ。でもルリにもそろそろ役に立ってほしいもんだ。もう今の段階で横に立っているユウナはすごい不満そうな顔をしている。この調子で大丈夫か?
国王がもう待っているとギルドマスターに言われた俺たちは急いで城へと向かった。城への道はわからないがこの街にいればどこからでも見えるので呆気なく到着した。まあ、普通にルリは道知ってたけど。
城の門の前には見るからに手練れの騎士が門番として立っていた。当然だろう。国王の城の門に雑魚を配置したところでまったく意味をなさない。逆に侵入してくれって言ってるようなもんだし。
「私たちチームセンヤなんですけど、通してもらえますか」
「はい、隊長から話は聞いています。すいませんが念のため冒険者カードを見せてください」
さすが城の騎士だ。情報が伝わるのが早い。まだギルドマスターから連絡が行って十分そこらだ。とりあえず全員のカードを見せ、中へと入れてもらった。
遠くからでもわかるほど巨大な城だったのだが、近くで見るとさらに、こう迫力がある。流石は王城だ。権力の象徴にもなるんだろう。
門番の騎士に案内されて中へ入ると、ただならぬ雰囲気を発する騎士が待っていた。
「隊長、チームセンヤの皆さんがお見えになりました」
この人が隊長か。それならこの雰囲気にも納得だ。門番ですら一目見るだけで手練れだとわかるほどの部隊の隊長ともなればそれはものすごいはずだ。
「おお、わかった。後のことは俺に任せてお前は持ち場に戻れ」
隊長からの指示にすぐさま了解ですといい、門番は俺たちが来たほうへと戻った。
「お待ちしておりました。国王がお待ちなので、どうぞこちらへついてきてください」
「わかりました」
とりあえず返事をしないのは失礼だと思ったので反応はしておく。
そのまま隊長についていき城の内部へと入った。
城の中にはあちこちに高そうな壺や絵画が飾られていた。ちなみにめっちゃ広い。
「謁見の間はこの正面の大階段を上ってすぐの扉の向こうです」
俺たちはそのままついていき、謁見の間へと足を踏み入れた。
まず目に入ったのは巨大な玉座だ。明らかに必要以上の大きさである。少し距離があるが誰かがそこに座っているのがわかる。どう考えても国王だろう。逆に違ったら問題だ。
「チームセンヤの皆さんをお連れしました」
「ご苦労。お前はもう下がっていいぞ」
国王に命令された隊長はそのまま部屋から出て行った。しかし、今日は何回この恥ずかしいチーム名を呼ばれればいいんだ? なんかもう慣れてきたわ!!
「わざわざ王都まで呼び出して悪かったなぁ」
「とんでもないです。俺たちは国王様の命令だったらなんでもしますよ」
ちょっと馴れ馴れしかったかな? 国王思ったよりも全然若いんだが、さっきの隊長と同じくらいの年なんじゃないか。俺の見た感じだと四十いくか行かないかくらいだと思う。もっとギルドマスターくらいの爺さんを想像してたんだけどな。
「報酬を渡す前にちょっと話があるんだがいいか?」
「はい、なんですか?」
なにもやらかしてないはずだ。うん、心当たりはない。でもビビる。なんなんだ話って。
「実はな、最近俺の大事な大事な一人娘が冒険者になりたいとか言い出してなぁ…………」
は? 国王の娘ってことは王女様か。なんでそんな身分の人が冒険者に?
「適当なパーティに入れて万が一のことがあったら俺は…………この国を滅ぼしてしまうかもしれない」
訳がわからない。なぜ国を亡ぼすという考えに!?
「それでな、ちょうどいいパーティを探してたところでな。そしたらあのエンペラーゴーレムを単独で倒したパーティがあるって聞いたんだ」
あ、なんか面倒ごとの予感がする。
「俺は思ったんだ。そのパーティが娘を預けるに値するかこの目で見定めようと」
なんとなくわかってた。話の途中でこうなるなって…………。国王の娘? 冗談じゃないぞ!! ただでさえ面倒なメンバーばかりなんだ。これ以上の面倒ごとは御免だ。しかもなんで万が一のことがあったらとか言ってるくせに娘が冒険者になるのは止めないんだ? これどうやって断ればいいんだ?
「そこで君たちに俺が手配した冒険者と決闘してもらいたい。全員じゃなくていい、誰か一人を選んでくれ」
もう勝手に話が進んでる? 俺が困ってほかの三人の様子を見ると、三人とも唖然としていた。この状況は誰も予想できなったようだ。
「そういうことなら、私たちのパーティのリーダーであるセンヤがいいと思います」
あ!! ユウナのやつ、俺に押し付けやがった!! くそぉパーティ名がチームセンヤのせいで完全に俺がリーダーだと思われるよな。そうだ!!ここで俺がぼこぼこにやられればいいんだ。そうしたら国王もこんな雑魚パーティに娘を預けるわけにはいかないと考えを改めるだろう。
「わかりました。その決闘受けさせてもらいます」
俺がそう返事をすると国王は嬉しそうに笑った。
はぁ、なんで俺ばっかりこんな目に…………。




