天使降臨
前に投稿してたものをいじりました
俺は昔から決断力がなかった。何を選ぶにしても自分で決めることができない。病的なまでに優柔不断なのだ。それがまさかこんなところに影響を与えるとは夢にも思わなかった…………。
「俺はどうしようかな? 今日は気分的にはこっちのビックバーガーなんだけどなぁ……あれ、でもこのチキンバーガーもおいしそうだなぁ」
学校帰りに友人とハンバーガーショップに来たのだがいつもの如くぐだぐだとレジの前で考え込んでしまう。
「おい……まだ悩んでんのかよ。毎度のことだけどお前本当になぁ………そろそろ自分でハンバーガーくらい決めれるようになろうぜ。待ってるのもめんどくさいから今日のところは俺が決めてやるよ。それでいいか?」
横から友達の晃司が話しかけてきた。
結局いつも晃司に決めてもらってるよな……まあ今回もこのまま考えてたら決まるのはいつになるか自分でもわからないしお願いしとくか。
「いつも悪いな晃司。まかせていいか?」
「しょうがねえな、じゃあ今日はもう俺と一緒のレンコンバーガーな。俺は注文してくるから千弥は先に席取ってくれ」
そういうと晃司はレジに行き、慣れた感じで注文をしてくれた。まあ実際によく寄っているので慣れたものではあるのだろうが。
俺は結局悩んでたのと全然違うハンバーガーになっちゃったな。好き嫌いとかもないし別にいいんだけど。
俺はどの席にしようか少し悩んだが流石にこんなところで悩んでもしょうがないので窓際の席にすることにした。もしかして今日初めて自分で決めることができたかもしれない。なんかちょっとうれしい。
「おお!いい席取れたな。やっぱ窓際が一番だよな」
少し待っていると、晃司が二人分のハンバーガーを持ってきた。
晃司のやつめちゃくちゃポテト買ってやがる。
「なあ、今更なんだがなんで千弥はこんなに優柔不断なんだ?」
「本当に今更だな。前にも言わなかったっけ? そうだな……なんかこう……なんて言うか…………そう、この瞬間も一度しかないわけだろう。だから一つ一つの決断も一度きりの選択なんだ。その選択がこの先どんな影響を俺の人生に与えるのか、もっといい選択もあるんじゃないかとか深く考えちゃうんだよ。でもこんなのは言い訳に過ぎないけどな。実際のところはただただ決断力がないだけなんだろうな」
と若干恥ずかしいが晃司に話した。こんなことを話す友人は今のところ晃司ぐらいしかいない。恥ずかしいので家族にも言っていないようなレベルだ。
優柔不断なことを除けばどこにでもいるような高校生であると個人的には思っている。そこは除いちゃいけないような気はするが…………。まあそんなこんなでハンバーガーを食べ終え店を後にした。
「俺は暇だから本屋に寄ってから帰るよ。最近買ったマンガ全部読み終わってたんだ」
「わかった。俺はバイトあるからもう帰るわ。また明日」
「また明日。今日もありがとな」
俺はそのまま本屋に向かった。本屋までは少し距離があるのでしんどいが自転車通学というわけでもないので歩くしかない。
どのマンガを買おうか考えながら歩いていると前から自転車が走ってきた。
おいおい、こっち左側だろうが。普通に逆走だぞ……迷惑な奴め。仕方がないので横に避けた。
「あぶなーーーい!!!!」
「え…………」
前からくる自転車をよけたのはよかったのだが後ろから来ていた自転車に気づかずに撥ねられてしまった。実に間抜けな話だ。
「………うぅ…………」
でもこれ本気で痛い。……どうする?
しかし、俺の意識はそのまま途切れてしまった。
あれ、俺どうなったんだ? いまは病院のベッドの上か? なんだかどこも痛くないな。そんなに長いこと眠ってたのか? といろいろ考えていると急に前から声がした。
「やっと目を覚ましたのね。なにを考えてるのか知らないけどあなたは死んだのよ。起きたんならさっさとこっちに来なさい」
声のした方を見ると金髪の天使がいた。比喩とかでなくもろに天使だ、羽が生えていて頭に輪っかまである。あまり機嫌がよろしくないのか少し顔が怖いがすごい美少女だ。
でも天使なんかいるはずないし…………コスプレか!! でもそうなるとなんだこのコスプレ天使は……なんでこんな奴が病院にいるんだ? 新しいサービスか? いやなんかこいつ言ってたな死んだとかどうちゃら。
「ちょっと……聞いてるの? 貴方は死んだのよ」
また言ってるな。マジかこいつ……病院で縁起でも無い。でも自転車に轢かれてどこも痛くないのもおかしいな。状況が良く分からないので少し話を聞いてみることにするか。
「コスプレ天使さん。いま俺が死んだとか言ってたけどここ病院だよな?」
「誰がコスプレ天使よ! 私は本当に天使なんだから! それに私はユウナっていう名前があるの! しかも貴方は死んだって何回も言ってるじゃない!! 人の話聞きなさいよ。ここは天国で貴方は自転車に轢かれて死んだの」
「おい………うそだろ?! 俺さっきの自転車に轢かれて死んだのか?」
俺まだ高校生なんだけどまだいろいろやりたいことあったんだけど……なんでおれがこんな目に遭わなくちゃならないんだよ……。
「そうよ、でもまあそんなに気に止むことはないわ。貴方のような可哀想な人には救済措置として異世界でセカンドライフを楽しむことができるから。まあ普通にモンスターとかはいるけど」
「なんだそれ?」
急な話すぎて思考回路が追いつかなかった。
「簡単に言うと、貴方は今のまま違う世界に転生することができるの。しかも、一つだけどんな能力でも与えてあげるわ。どう、すごいでしょ」
転生とかいきなり言われても……元の世界のほうがいいんだけど。
「もう転生するしかないのか? 元の世界には帰ることはできないのか?」
「残念ながらそれは無理ね。そう言う決まりだから。さあ、どういう能力にするの?」
「いきなりそんなこと言われてもすぐには決められないだろ。ちょっと考えさせてくれ」
そういい俺はどんな能力にするか考えはじめた。
どんな能力がいいんだ? 普通にモンスターも出るって言ってたよな。だとすると戦える能力がいいのか? でもそれだと生活に困るかもしれないな。家事万能になるスキルとかも使えるんじゃないか? あとはお金を無限に精製できるとかかな? でも一つだけかぁ悩むなぁ…………。
「早くしてもらっていい。もうだいぶ待ったわよ。私はそんなに暇じゃないんだから」
「いいだろ少しくらいもうちょっと待ってくれ」
といい俺はまた考えはじめた。
このやり取りを繰り返すこと数回…………なんだかユウナの機嫌が悪くなっているような気がする。流石に待たせすぎかと思うのだが決まらないのでどうしようもない。
それからさらに数回繰り返したところでついにユウナが怒ってしまった。
「いつまで待たせるのよ!! もう限界! もう待てない!! そんなに決まらないんなら能力なんかいらないわよね!…………いやもうあげないわ」
「なに言ってるんだよ………もう決めるから……もう少しだけ待ってくれ」
しかしユウナはもう俺の訴えなんか聞いておらずぶつぶつとなにかの呪文のようなものを唱えていた。
「せめてもの情けに身体能力だけは高くしておいてあげたから。すぐには死なないはずよ。寛大な私に感謝することね。それじゃあバイバイ。あなたの顔はもう見たくないわ」
すると俺の周囲が発光し景色が変わった。




