側に共に
ワンッ
貴女をお慕いしております
貴女が私を救ってくださったあの日から
もう十年になります
あの日の私はひどく小さくて
何も知らなくてただ震えていました
そんな私を貴女は拾い上げ
温かな場所へ連れて行ってくださいました
それからの日々は幸せでした
朝になれば貴女の声が聞こえ
夜になれば貴女の傍で眠る
それだけで私は幸せだったのです
だからこそ分かっていました
貴女が老いていき少しずつ冷たくなっていくことを
以前のように私の名を呼へなくなり
以前のように私を撫でてくれなくなりました
それから私は貴女の香りのする石の傍にいました
いいのです
私は待ちます
どれほど時間が経とうとも
どれほど遠く離れてしまおうとも
私は必ず貴女を見つけに行きます
そして私は旅に出ました
凍てつく村を越えました。
灼熱の荒野を越えました。
見渡す限り人で埋め尽くされた街も越えました
前も後ろも分からなくなるほど霧の濃い街も
ひとりで歩きました
何度も足が痛くなりました
何度も倒れました
それでも歩きました
貴女に会うために
そして私はようやく見つけました
そこにいた貴女は
私が幼かったあの日に拾ってくださった時よりも
幼く、けれど眼差しはあの時と何も変わってなかった
けれどいいのです
今度こそ最後まで私が貴女をお守りします
もう貴女の傍を離れません
ですがどうやら私にも終わりの時が来たようです
不思議と怖くはありません
私は幸せでした
貴女に拾っていただけたこと
貴女と過ごせたこと
そして最後にもう一度貴女を見つけられたこと
それだけで私は十分に幸せでした
ただ一つだけ願うことが許されるのなら
どうかもう一度だけ貴女の元へ
どんな姿でも構いません
どんな形でも構いません
もう一度貴女の傍へ行かせてください
それが私が生きてきた意味なのですから




