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エピローグ2 紅音のこれから

 エピローグ2 紅音のこれから



 2034年6月


「……」


「……」


 ――私と一騎は、今二人っきりだ。

 二人っきりで今、長い道のりを歩いている。

 その道は、最近はもうあまり歩いてなかった道で。

 五十年前までは、毎日のように歩いていた道だった。


「……」


「……」


 私達は、何も言わない。

 どちらからも話しかけない。

 ただ、昔この道を歩いてたとある学生二人のように、手を繋いで歩いていた。


「……」


「……」


 二人は無言で歩いて。

 歩いて。

 そして、辿り着いた。

 五十年前まで、二人で住んでいた家に。


「……思ったより、綺麗だ」


 一騎は私達の家を見ながらボソリと呟く。

 私も家を見ながら、


「うん。一年に一回は帰って、掃除してた」


「……そっか」


 一騎は小さい声でそう囁く。

 直後、彼は、


「……ごめん。ずっと、一人にさせて、寂しい思いをさせて、ごめん」


 心の底から、悔いるように謝罪をした。


「……」


 しかし、私は何も答えない。

 例え、私が『一騎は悪くない』と口にしたところで、彼が納得しないことはわかっていたからだ。


「……」


「……」


 一騎は、何も言わない。

 私も、何も言わない。

 二人とも無言で、自分達の家を眺める。

 でも、それだけじゃ何も始まらない。

 だから、私は。


「……一騎」


「ん?」


 私が彼の名前を呼ぶから、彼は私の方に顔を向ける。

 そんな彼に向かって、私は、


「おかえり、一騎。……お疲れ様」


 五十年前から、ずっと言いたかった台詞を、口にした。


「……」


 一騎は、一瞬固まる。

 直後、彼は瞳を大きく濡らしながら、ニッコリと笑みを浮かべる。

 そして、彼は、


「ただいま、紅音。……ありがとう」


 五十年前から、ずっと聞きたかった言葉を、口にした。








 ――五十年。

『変わらないものなど何も無い』と、そう言い切ってしまいたくなるほど永い時間。

 だけど、ずっと変わらないものが、確かにあった。

 それがわかっていたから、私達は、五十年以上前のあの日、ずっと一緒に居ることを誓ったんだろう。

 そして、その想いは、今でも。

 ……あぁ。

 ありがとう、一騎。

 生きていてくれて、ありがとう。

 愛してくれて、ありがとう。

 一緒に居てくれて、ありがとう。

 だから、これからも、ずっと一緒に居てくれ。

 ずっと、一緒に。

 ……。

 ……一騎。

 私も、愛してる。











『紅き復讐姫の英雄譚(カタストロフィ)

Fin.






ここまでお読みいただきありがとうございます。

本作には続編があり、続編はこちらになります。

よろしくお願いいたします。


紅き復讐姫の凱旋歌ファンファーレ ―ABENSHEE―

https://ncode.syosetu.com/n6894jv/


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