#20 エンジェルポークの燻製ジャーキー〜ミノタウルスを討伐せよ〜(2)
ディメンションボックスから、エンジェルポークの塊肉を取り出す。
エンジェルポークは、豚の背中に小さい天使のような翼が生えている家畜だ。
翼は退化しており数センチの高さしか飛べないのだが、それでも飛ぶのが好きらしく体をたくさん動かすため、身が引き締まっているのが特徴だ。飼育の難易度から、通常の豚よりも若干だが高い。
その中でも脂身の少ない部分を少し厚めに師匠からもらったバフ包丁で削いでいく。
塩、醤油、砂糖、ブラックペッパーと乾燥させた香草を砕いて、赤ワインに入れて下味用のたれをつくる。
一度たれを火にかけてアルコールを飛ばす。ふわぁとした甘しょっぱい香りに包まれる。
粗熱がとれたら、先ほどの削いだエンジェルポークの薄切り肉によくもみこむ。
味を染み込ませている間に、大きな網を屋台の裏、日陰になっているところに並べる。
薄切り肉をつけだれから取り出し、網一枚一枚かさらないように並べていく。
「こういう、単純作業は嫌いじゃないぞ。おいしくつくるためなら」
グラニスは独り言を言いながら、薄切り肉を網にセットし終えだ。
冒険者たちに安くて早くてうますぎる料理を振る舞いながら、2日ほど過ごす。
敏捷度向上や攻撃力向上なども試してみたのだが、話を聴くとうまくはいってないらしい。やはり防御力をあげる戦法が必要みたいだ。
2日後の夕方、寒空の下、空気乾燥されたエンジェルポークの乾燥工程が終わった。
「おお、いい出来じゃないスか!」
「ああ、久々につくったが、かなりうまくできた」
「今は寒いっすからね、外での乾燥がうまくいったっスね」
「ああ! ここなら燻製もやり放題だし、キャンプはいいな」
網に乗せたときはピンク色ものぞかせていたエンジェルポークの薄切り肉が、水気がしっかり飛んで、やや黒赤色に変化している。
次は、香りづけとさらに水分を飛ばすために燻製にする。
燻製機に薄切り肉を並べ、まずはチップを入れずに温度を上げる。
60-70度くらいで2時間ほど。
そこから、チップを入れて1時間ほど燻す。
途中で表面に浮いて来た水分も丁寧に拭き取る。
「よし、これで完成でいいだろう!」
そして、完成した! グラニス特製エンジェルポークのジャーキーだ。
かなりハードにつくっているので噛みごたえは抜群。しっかりとした防御力向上効果も期待できそうだ。
下味も塩辛めなので、汗をかく冒険者にもぴったりな携行食ができた。
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