魔導書
始まりの村へ付いたのは夕刻だった。
学たちは町長の家に行くと、扉をたたいた。
「学です、こんばんは」
「よう、元気そうだな」
「フローレンスは居ますか?」
「はい、何のようじゃ?」
「これを届けるようサウスシティで言われました」
学たちは魔道書を取り出すとフローレンスに渡した。
「そうか、これで上下巻がそろったな」
「そういえばイザックも魔道書を届けるって言ってましたね」
あやのがそう言った。
フローレンスはもう一冊の魔道書を持ち出して説明した。
「これは二冊で一セットなのじゃ」
立派な本だ。表紙は革張りになっている。
「ここには古代の魔法が書いてある。が、いまのワシには重すぎる」
フローレンスはため息をついた。
「読んでもかまいませんか?」
学がそう言うとフローレンスは力なく笑った。
「読めるものならな」
学がページをめくると本が輝いた。しかし、そこに書いてある文字は読めない。
学は仕方なく本を閉じた。
フローレンスは本の輝きを見て、息をのんだ。
「学殿、より強力な魔法が使えるようになったのではないかの?」
学は首をかしげた。試してみるわけにも行かないし、何かステータスが見える訳でもない。翼が本のページをめくっても、あやのがめくっても、本は輝かなかった。
学はため息をついた。ひどく体が重くなったからだ。
フローレンスはそれを見て、やはり、と呟いた。




