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道中2
「ねえ、町長さん」
あやのが話しかける。
「なんだい、あやのさん」
「町長さんはなんであんなにやる気が無かったの?」
馬車がガクンと揺れた。
「俺だって若い頃はやる気もあったさ」
「ただあのスライムの奴が何度倒しても湧いてきて嫌になっちまったのさ」
「それにしても学達はお人好しだな」
学は眼鏡をかけ直し答える。
「そうですか?」
ススキの中を馬車は進む。
「だってよお、急にわけわからん世界に呼び出されて町を再建しろだのスライムを倒せだの」
「勝手なこと言われて、本当に実行しちまうんだもんよ」
その時若い男性の声が聞こえた。
「助けてくれ!」
声の方向を見ると学達と同じくらいの年齢の青年がゴブリンに襲われていた。