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第2話:嵐

「楓、おはよっ。」


後ろから、かわいぃ声。あたしの親友、梨絵だ。


梨絵は、あたしの中学からの友達。


入っていた吹奏楽部で同じ楽器だったのがきっかけで、それ以来、ずっと一緒にいる。


おかっぱがよく似合っていて、色白で、目がくりくりしてて、顔がちっちゃくて、いわゆる美人ってやつだ。


「楓、また後ろ寝ぐせつぃてるよ〜。もぅ高校生なんだから、ちゃんとしなぃと…。」


「うん、けど、起きれなぃし〜。」


「もぅ、楓は〜。そんなこと言ってるから、彼氏ができなぃんだよ。後で直してあげるから、おいでよ〜。」


「わかった。」


先生が教室に入ってくる。


あたしは、席についた。一番後ろの席だ。


「静かにしろ。」


担任の的場先生の声が響く。


朝のホームルームの時間は、みんなそれぞれ話をしているから、ガヤガヤしてて、先生の話なんてちっとも聞いてない。…と、言いながら、あたしもなんだけど…。


ホームルームが終わって、的場先生が出ていく。

しばらくすると、チャイムが鳴って、1限目が始まる。


小林先生が入ってくる。1限目は数学だ。

小林先生はこわいから、みんな静かだ。


しーん…。

教室中が、さっきまで騒がしかったのがウソみたいに静かになる。


あ、ダメだ…。



やつが、やってくる。

嵐みたいに…。

こんな時は、教室全体がやけに広く感じる。

あたし、1人だけになる感覚。

教室の空間がおおいかぶさって、迫ってくるような感じになる。

心臓がバクバクいいだす。

手にじっとり汗が出てくる。

両手に力が入る。

目をぎゅっと閉じて、嵐がおさまるのを待つ。


ひたすら、ひたすら。


……。


ダメだ…。


体がしびれてきた。

小林先生の話なんて、もちろん耳に入ってこない。


神さま…。助けて…。




ガタンッ。


「どした?井上。」



「気分悪くなってきたので、保健室行ってきていいですか?」


「腹でも痛いのか?ああ、行ってこい。」


みんなの視線があたしに集まる。


あたしは、平静をよそおって教室を出た。


勢いよく、足音を立てないようにトイレに駆け込む。


バタン。


ふー…。


深呼吸をして、手のひらを広げる。

力を入れていた両手は赤くなっていた。

さっきまで激しかった心臓はウソのように穏やかに鼓動を打っている。



再び目を閉じる。静寂な世界があたしを包み込む。


…保健室行こ。


ドアを開けて歩き出す。

体中にかいた汗が冷たく感じた。

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