第十四話 「切り抜き、いっぱい回りました」
「.....はぁ」
家のドアを開けて中に入る。
「ただいまー.....」
誰もいない部屋のはずなのに、いつも挨拶をしてしまう。
靴を脱ぎそのままリビングに入る。
「.....つかれたぁ」
ソファに倒れ込む。
ダンジョンの緊張が一気に抜ける。
「.....でも」
天井を見上げる。
「今日、やばかったな」
ストーンボア戦。
ミオとの連携。
「.....あれちゃんと映ってたよな」
ふと気になり、スマホを手に取る。
配信アプリを開いた。
「.....うわ」
通知が溜まっている。
『登録されました』
『コメントが届きました』
『いいねされました』
「いや、大過ぎだろ.....」
苦笑しながらスクロールする。
その時。
「.....ん?」
見覚えのない通知。
「切り抜き?」
タップすると画面が表示された。
タイトル。
『無名配信者、上位配信者と神連携してボス撃破』
「.....これ俺じゃん」
再生するとダンジョン内の動画が流れた。
自分とミオ。
あのストーンボア戦。
「.....うわ」
思っていたよりも、ちゃんと戦っている。
「こんな感じだったのか.....」
コメント欄。
「連携うますぎ」
「この新人誰?」
「普通にセンスある」
「ミオとの相性いいな」
「.....新人って、俺か」
少し笑う。
再生数を見た。
「.....3万?いや、昨日のだよなこれ.....」
さらにスクロールし、別の切り抜き。
『ダスクウルフ戦で覚醒する新人配信者』
「覚醒ってなんだよ.....」
再生数。
「.....18万。普通に回ってるな.....」
SNSを開く。
タイムラインに自分の名前がある。
「.....え」
検索する。
「朝倉ユウって人よかった」
「ミオと組んでた新人やばい」
「応援したくなるタイプ」
「.....マジか」
少しだけ言葉を失う。
「これがバズるってやつか.....」
通知がまた増える。
登録者を見る。
「.....1200。さっきより増えてる.....」
更新。
「.....1250」
「いや、止まれよ」
思わず笑う。
その時、通知。
『白井ミオ』
「.....あ」
開く。
「切り抜き見た?めっちゃ回ってるね」
「.....見ました」
すぐに返す。
「正直びっくりしてます」
少しの間、返信が来た。
「まぁ、あれは伸びるよ」
「ユウ普通に良かったし」
「.....ほんとですか?」
「うん」
短い一言。
でも。
「.....なんか嬉しいな」
思わず呟いてしまう。
さらにメッセージ。
「次、いつ行く?」
「早めでもいいよ」
「.....早っ」
少し笑う。
「じゃあまた近いうちに」
と返す。
「了解~」
やり取りが終わり、スマホを置く。
静かな部屋。でも。
「.....なんか」
天井を見上げる。
「一気に変わったな」
少し前まで、ただの無名。
今は――
「.....見られてる」
実感がじわじわと来る。
スマホがまた震える。
止まらない通知。
「.....もっといけるな」
小さく笑った。




