目覚め
「ん、あれ」
目を覚ますとそこは真っ白な空間。
何もなく、まさに虚無だ。
「ここどこ……」
上も下も右も左もわからないこの状況で冷静になれって方がおかしい。
「……歩くか」
平衡感覚がおかしくなりそうなこの空間にいつまでも居てはいけない気がした。何よりずっとこんな所に居るなんてごめんだ。
たまったもんじゃない。
「出口、なんでもいいからドアとか……」
それからはただひたすらに走った。転けそうになっても、足が悲鳴を上げても
がむしゃらに走った。
何かから逃げるように。
何が怖いか分からないが、私は現に泣きそうである。
誰もいない、何も無い。
いっその事幽霊でもいいから出てきて欲しかった。
「こんな、所……っ、早く出てやる!」
足や体力には少しながら自身はあったものの、これだけ走ると流石に辛い。
もう、ざっと2時間は走っているだろうか。
如何せん携帯をつけようとしてもつかない。
うんともすんともいわない。
「はぁ、ッ……〜っもう!!」
携帯をその場に投げつけたい衝動に駆られたがこの中には私の大事なものが色々入ってる。
だから、寸前でなんとか手を抑えられたが
苛立ちが収まらないのも事実だ。
「早くドア出てこいッ!!」
山びこのように響いた私の声
……ちょっと待ってよ、どれだけ広いのこの空間は。
絶望しかなかった。
もう出られない、それしか頭に浮かばない。
カチ、
そんな時、なにか一つ、物音がした。
それに縋るように振り向くと、そこには光を放つ板。
「……え、?」
その板にはドアノブのようなもの……
「ドア!!」
ドアノブのついた板なんて扉以外ない。
走ってそれに手を掛ければ前のめりになる体。
目を閉じて衝撃を待つが、一向に訪れないソレ。
不思議に思い目を開ければ
「……__は?」
そこには見知らぬ光景。
そして異様。
私の前や横には跪く男女。
そして口を揃えてこう言った。
『おかえりなさいませ、我が主君』
と。




