抜け出し
さて、どうやって抜け出そうか?まず、壁を壊したり、兵隊さんや門番さんを傷つけるのは、禁止として。
ラウンド1
まずは、変装 フードで顔を隠して、でも背丈でバレそうだから、鎧の足の部分に詰め物をして高下駄にすれば、コレなら背丈でばれる事ない! 少し歩きにくいけど。
翌朝、早速試して見た。 門に向かって歩いていく。 門を通り抜ける時に、門番がこちらを見る。(こんな朝早くに、この御仁は、何時、城に入られたのか?)
「待たれよ、そこの御仁!」
(ヤバイ!!)
「失礼ですが、貴方は、何時、城に参られたのですか?」
(どうしょう、”今朝早くに”では、バレるよね。)
「昨夜、だ。」 声色を変えて喋る。
「夜は基本、門を閉じていた筈ですが?」
「昨日の夕方だ。」
「如何なる御用で?」
(シツコイ 警戒するのは、入ろうとする人だろ!出ようとする人を警戒するなよな!)
「極秘だ!事は、国の重大機密に属する!」
「ハァ!申し訳ありませんでした。」
「うむ!では、失礼する!」
門の外に向かって、歩き出した時に躓いた。
「大丈夫ですか?・・・・・足、取れましたけど?・・・・あぁぁ王子!」
「・・・・・・」
転んでバレてしまった。
「危うく王子を、城から出してしまうとこでした。」
「何で?そんなに警戒してるの!」
「王子が!抜け出そうとしているからです!」
「チョットぐらい良いじやん。見逃してよ?」
「ダ~メ コッチが怒られるんですからね!」
1回目はシッパイに終わった。
ラウンド2
昼間に人ごみに紛れて、抜け出す作戦に出る。
数人のグループが丁度良く出てきたので最後尾に付ける。
門の手前まで来ると。 門番がコチラを向いて立っていた。 すぐにバレた。
「だめですよ。王子!」
「いや、門番て、外から入って来る人を、警戒しなくて良いの?」
「いえ、引継ぎ?てか ”王子が脱走”を企てているとの情報が有りまして。」
どうやら、門番の交代時に情報が引き継がれたらしい、警戒レベルが上がった。今日の外出は諦めた。
その晩に次の作戦を考える。 表が駄目なら裏から。 裏門の方は少し小さく、業者の人達が使うための物で、食料や牛乳など、朝から卸しに来る。その荷馬車に隠れる作戦に出る事にした。
ランウド3
朝夜も明けな内から、城の裏手に回り待機する。 裏門には、門番が1人しか居なかった。 朝日が昇りだした頃に牛乳屋さんの馬車が来た。
「おはようございます。 朝早くからご苦労様です。」
「ああ、おはよう。ご苦労さま。」
牛乳屋さんが、荷物を城に運んでる内に荷台に飛び乗り、牛乳の入った大きな缶を移動させ、隙間に入り込んだ、外から見えないように。 しばらくして、牛乳屋さんが戻ってきて、馬車が動き出した。
「それでは、失礼します。」
「待て!積荷を検めさせてもらう!」
「え?普通入る前では?」
「いや、それが、”城から抜け出そう”としている方が、居られるので、念のためだ。」
(そこまで引き継ぐか!!)
「では、荷馬車の中、検めさせてもらうぞ。」 門番が荷馬車の中を覗き込む。
「抜け出そうとしてるのは、何方です?」
「ん?あぁ、第二王子のジークフリード様だ。 城からお出に成るには、まだ早いとの、先々代魔王様のお言葉でな。」
「そうでしたか」
「時間を取らせたな、もう行ってかまわんぞ。」
「はい、では、失礼します。」
荷馬車がゆっくりと動き出した。 荷の隙間から這い出し外をのぞき見る、町の中に入ったところで、荷馬車から飛び降りた。