設定資料
『霊式戦記・陸軍編:泥濘に嗤う蜘蛛』設定資料集
人物紹介
本作の悲劇を担う、軍という巨大な歯車に組み込まれた二人の少年少女。
田上一等兵
• 役割: 特種霊式多脚戦車『オニグモ』操縦士(操縦体)。
• 特性: 霊感皆無(高適合者)。
• 人物像: 北満州の最前線で消耗品として戦い続ける少年兵。最大の特徴は、周囲の兵士が発狂する荒御魂の呪詛や死者の怨念を、単なる「雑音」としてしか感じない絶望的なまでの霊的鈍感さ。軍上層部からはその欠陥を「適合力」と評価され、怪物的な機体『オニグモ』の座席へ送られる。無口でぶっきらぼうだが、内心には人間としての温かさをかろうじて残しており、ユキとの間に交わした「信州の林檎」の約束が、彼の最後の人間性の支えとなる。
ユキ
• 役割: 特種霊式多脚戦車『オニグモ』付き巫女(制御体)。
• 特性: 祟り神の制御。
• 人物像: 田上の魂を機体に繋ぎ止め、祟り神の侵食を抑える役割を担う巫女の少女。感情を磨り潰された硝子玉のような瞳を持ち、己の死を前提とした任務を淡々と受け入れていた。しかし、田上との交流を通じて、戦が終わったら「故郷の林檎を食べる」という、ささやかな、そして叶わぬ夢を抱くようになる。その微笑みは田上に安らぎを与えるが、彼女自身もまた、軍に管理された「生贄」に過ぎなかった。
メカニック紹介
科学と呪術が歪に融合した、大日本帝国陸軍の負の遺産。
特種霊式多脚戦車『オニグモ』
• 型式: 特種霊式多脚戦車(試作)
• 動力源: 古の祟り神(霊核)
• 概要: 従来の『ヨモツイクサ』を遥かに凌駕する性能を目指して開発された最新鋭機。蜘蛛を模した四基の歩行脚を持ち、大地の霊脈(龍脈)を直接掴むことで圧倒的な機動力を発揮する。心臓部には、古戦場の残穢などではなく、古の時代に封印された『祟り神』の欠片が『霊核』として搭載されている。その破壊の意志は強烈で、巫女の祝詞なしには起動すら不可能。操縦士と巫女の精神を極限まで削り、その命を燃料とすることで、唯物史観の兵器を圧倒する。
『ヨモツイクサ』
• 型式: 特種霊式二脚戦車
• 動力源: 荒御魂(藁人形)
• 概要: 帝国陸軍の主力霊式兵器。装甲板の下には、注連縄で縛り上げられた人型の「藁人形」が収められている。この藁人形に古戦場の残穢(荒御魂)を憑依させ、呪力によって駆動する。ソ連軍のBT-7軽戦車を踏み潰し、IS-2重戦車の砲弾を装甲の神代文字で弾き飛ばすなど、数値上の性能は高いが、生還率は五割。生還しても操縦士の魂は荒御魂に喰われ、廃人となる、文字通りの消耗品である。
『チェルノボーグ』(ソ連側兵器)
• 型式: 超弩級陸上戦艦(魔導複合型)
• 動力源: 西洋魔術と唯物史観の融合
• 概要: 満州侵攻の主力として投入された、ソ連軍の動く要塞。共産主義の唯物史観と、西洋の闇の魔術が歪に融合した、文字通りの「黒い神」。その巨体はあらゆる物理攻撃を寄せ付けず、口から放たれる負の熱線は、ヨモツイクサを一瞬で藁屑へと変える。唯物論を信奉するソ連が、逆説的に「神」を造り出した、恐怖の象徴。




