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百折不撓のアルゴリズム-Period-  作者: 一ノ瀬隆
不撓不屈のヴァルファリア

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8/8

0話 鐘のなる何もない日

空は青く、澄み渡っている。


そんな平和な街の片隅で。

僕は、時々「何か」を思い出す。


あたたかくて、力強くて、不器用で、けれど誰よりも頼もしかった背中。

一緒に旅をして、一緒に笑って、一緒に沢山泣いたはずの記憶。


でも、それがなんだったか。......それはもう、いくら頭を悩ませてもわからないのだ。

思い出そうとすると、頭の中にノイズが走り、ぽっかりと空いた心の穴から、理由のない涙だけがポロポロとこぼれ落ちてしまう。


ただ、たった一つだけ。

『誰かを待ち続けていた』ということだけは、魂の奥底で確かに覚えている。


「......いらっしゃいませ。今日は、どのお花になさいますか?」


「あ、えっと......」


今日も、この花屋の前に立っている。

色とりどりの花が並ぶこの場所で、彼が好きだった花を探しているような気がするけれど、その花の名前すらも分からない。


ただ、行き交う人々の波を眺めながら。

いつか、ひょっこりとあの懐かしい足音を響かせて、彼が僕の前に現れてくれるような気がして。


僕は、ユキは。

平和になったこの世界で、今日も、もう名前も呼べない『誰か』を待っています。


叶うかどうかも分からない、この小さな祈りを胸に抱いて。


「......会いたいよ。──────■■」


どこまでも続く青空に吸い込まれていくように。

僕の呟きは、優しく吹き抜ける風に溶けて、静かに消えていった。

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