最終決戦
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「それでは、人類を存亡を賭けた最終ゲーム、THE warをやっていただきましょう」
置かれていたテーブルに駒が現れた。一番最初にレイと対戦したときの、アリカシティアに似ていたが、まったくの別物であった。
さらに、なぜか、小型の木や、建物まであった。
「ターンは、それぞれ15ターン。この駒たちは、それぞれの意志を持ち、勝手に動いていきます。最終的には、負けた駒が相手を攻撃するというふうに、ちなみに駒は基本的には命令して動かすことができます」
つまり、私が、司令官となり、自陣を勝たせることができればいいというわけだ。
クロノが勢いよく手を挙げた。
「それではゲーム開始!!」
ゲームの盤の中に身体が吸い込まれた。それは聞いていない。
気がつくと、テーブルの上に置いてあったあの建物の場所にいた。こちらから、相手の陣地を見通すこともできる。
まず、このゲームでは、どんなことをできるのかを試していかなければならない。ひょっとしたら実際の戦争のようにいろいろな布石を置けるかもしれない。
「駒には、それぞれ名前をつける。呼ばれた駒は、命令通り動くように!!」
駒を記号として呼ばないのは、そっちのほうが士気が上昇して、勝てる確率が上がると思ったからだ。
一ターンをどのようにして区切るのかはわからないが、できることをやってみる。
「敵軍は西方にあり。武器を持ち、行進せよ」
大人しく行進していった。まだ、いろいろレイは、準備しているようで、動いていない。
「敵軍をはさみうちに。敵陣地に近づいたら、三方にわかれて囲め!!」
均等にわかれていった。まずは、少しでも、敵兵の戦力を削ぎ落とすことが先決だ。
——レイ陣地にて――
「敵襲、敵襲。攻撃に備えよ」
駒が、他の駒に語りかける。
「早いじゃないか。でも、きみは、果たして自陣に兵を守護させなくても大丈夫なのかな?」
レイは、狙い通りいっていると思い、ほくそ笑んだ。
だが、狙いが外れた。
「レイ様、敵軍の王がおりません」
「なに、そんなはずは――、まさか」
前線に赴いてきているだと。しかし、あの遠目に見えるのはなんだ?
「レイ様、王が座られていると思われていた場所には人形が置いておりました。どうすればいいでしょう」
「いや、心配しなくても構わない」
だとしたら確実に、前線に出ているはずだ。駒に扮して、どこかに紛れているはず。ならば、それをあぶり出さず、敵軍を一掃すれば良い。
主力となる王は、自陣の味方に対して、命令を下さなければならない。だとしたら、確実に目立つはず、相手の攻撃のタイミングを狙って、上から矢でも降らせれば造作もない。
敵軍が攻撃を仕掛けるのを待った。
――自陣にて――
おそらくレイは、今、私が、前線に出て、味方と一緒に戦っていると思っているに違いない。でも違う。私は、今、一人建物の中にいる。
レイがこちら側の防御が手薄になるのを見越して、兵を寄越してくるのは予測がついていた。だから、自陣に数体兵隊を残しておいた。
だから、レイに連絡したのは、私が声を変えて送っていたものであり、味方のものではない。
戦争は、情報戦がかなめとなる場合が多くある。情報を操ってこそ、相手に勝つことができる。
――レイ陣地にて――
相手の攻撃を待っていたが、なかなか仕掛けてくることはなかった。その理由を考える。こちらの狙いに気づき、どうするか迷っている。――いや、違う。
果たして、あの連絡は、自分の味方からだっただろうか。それに、遠くからでも指示を出すことは可能だ。
だったら、賭けに出る。
相手の攻撃を待つのではなく、こちらから仕掛ける。
「自陣、相手の攻撃を待たずに、出撃!!」
自分の黒い兵隊たちは、その指示を受けて、相手の赤い兵隊たちに向かっていった。赤い兵隊たちは指示がなくとも応戦した。これは、普通のボードゲームではない、それぞれの駒が意志を持っているものだ。
もちろん、死も存在する。
「怯むな!! 相手の王は、おそらく安全なところにいて、遠くから指示を出し、兵隊たちをこき使っている。そんな他力本願な王を打倒しろ!! わたしもすぐに応戦する」
レイは、建物から剣を持って、出ていった。
――自陣にて――
おそらくレイは、戦況を見るに、おそらく私が遠くから指示を送っていることに気づいている。ならば、次の手を打つまでだ。
私は、兵隊たちに指示を出した。
「敵の言葉に惑わされるな。わたしは、相手に勝つために、民を救うために、今この場所にいる。この場所にいるのは、保身のためではなく、最終的な勝利、そのためだけにある、あと少しだ、後少しだけ耐えてくれ!!」
私は、一人の兵隊に、ある指示を出しておいた。これで、レイも終わりだろう。
――レイ陣地にて――
カキン、カキンと剣がぶつかる。仲間たちの士気を上げるのには成功したが、これではどうしようもない。戦況は五十歩百歩で、大きな差は今のところ現れていない。このままでは、持久戦に持ち込んでしまう。それでは、ダメだ。
「一旦、作戦を練るため、わたしは戻る、それまで持ちこたえてくれ!!」
そう言って帰ろうとした次の瞬間に、レイは、大きな傷を負った。
味方の兵士のはずなのに、こちらに向かって斬り掛かっている。
いつの間にか、追い詰められていた。
「やるじゃないか、内乱を誘発するなんて」
レイは、頭を斬られて、死んだ。
私は、ゲームが終了したことがわかった。
前には、クロノと、ルーズが立っている。
「あなたの勝ちです。願いを叶える前に、少しこのゲームをはじめた経緯でも話しましょうか」
遠い昔を思い浮かべているかのようだった。
「わたしは、昔はここではない、天上にいました。けれど、ある日、やってはならないことをしたせいで、天上から神によって追放されてしまいました。
しかし、神がチャンスをくれました。そのやってはならないことは、悪魔によって仕組まれていたことだと納得してくれたからです。
わたしとルーズ、原初の人類であるわたしたちは、このまま残るか、それとも、天上の国へと戻るか、選択を迫られました。
そんなある日、わたしとルーズの子であるレイが生まれました。レイは、幼い頃から、好奇心旺盛で、抜群なゲームのセンスを持っていました。
そこで画策しました。今の人類は、生きるに価するのか、それを試すためにこのゲームをやりました。
その結果として、参加者は、本当にぎりぎりでしたが、レイに一回負けたあなたは、こうして勝つことができました。
わたしは、人類を滅ぼさずに、見守ることに決めました。今の人類は、目に余ることを多く行っていますが、それでも、これからの進歩と発展を願ってここは一つ矛を収めていきたいと思います」
「やはり、ただの人間ではなかったのですか」
その話を聞いて、非常に納得するとともに、自分の子を実験道具のように扱っていたことに不信感を覚えた。
「レイは、死んでしまったのですか」
「強いものが、弱いものを屠る。自然の当然の摂理です。ところで、願いは、ありますか、」
わたしは、冷淡だとは思いつつ、迷わず願いを口にした。願うならば、これがいい。
「わたしが、あなたたちに変わり、始めから、ゲームを開始したい」
「意外ですね。こんなゲームあなたならもううんざりだとは思ったんですけど」
「人生は、遊戯なんですよ。遊戯のように生きなければ」
顔を上げてみると、虹がかかっていた。




