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婚約しましょう、王子様!悪役令嬢の私があなたを立派な魔王にして差し上げます!  作者: 春夜くる佳


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皆に祝福を

 お父様もその後の事態の収集に駆り出され、忙しい毎日を送った。ルシファーは魔族の国と王国を行き来するようになり、ダニエルは無事護衛任務を果たしたこととルシファーの称賛があったことで辺境伯に出世した。ダニエルは私だけでなくルシファーの護衛も担うこととなり、パウロも王族の専属魔導師としてルシファーと政務をこなすようになった。アダムは罪を犯した側室の子ではあったが、子どもに責任はないとして不問になった。


 但し、その時点でアダムが次期国王になる芽は摘まれたと同然だった。側室が犯罪に加担していたと国民に周知されたことで、犯罪者の子どもであるアダムが国王になることは出来ない。しかし国民の心情とは裏腹に、表面上は不問ということになっている。


 いずれはアダムも王族から外れなければならない。これらの理由によって、子爵家以外の下位貴族を含めた上位貴族も摘発されたことで残された貴族を束ねる者が必要だという結論に至った。アダムは十七歳になったのを境に王族から除籍になり新たな公爵位が与えられ、その政務に追われる事となった。側室の尻拭いをするという一種の罰が与えられたのだ。


 こうしてアダムにも処罰が下り、ルシファーが魔王になってから一年が過ぎて十九歳になった時、既に用意されていたかのように、即位式が行われた。国王はルシファーが魔王となった場合、すぐにでも王位を退くつもりだったことが窺える早さだった。


 まるで以前からルシファーが魔王になることを待ち望んでいたかのように……。


 ルシファーの即位式では今後魔族と人間の王国が統合されることが発表された。難色を示す者が大半だったが、ルシファーが魔王の力を有していることを知ると歓迎に変わった。人間の国王が魔族を従えることが出来ると知って魔族に対する不安が払拭されたからだ。


 ルシファーは魔王兼国王である地位を受け入れられ、徐々に魔族が人間の王国にも移住してくるようになった。最初はビクビクと対応していた国民も魔族の人柄を知って次第に友好的な態度を取るようになり、魔族の国と人間の王国の統合が進んだ。


 即位式からさらに一年後、ルシファーが二十歳を迎え、私が十八歳になった時にルシファーと私の結婚式が行われた。


 王族の結婚式は公開式となっている。国民全員が拝謁出来る様に、結婚式はリリスがいた教会、王国で最も大きな教会で行うことが決まっている。私とルシファーの親族とダニエルやパウロ、アダムにリリスを含めた取り巻きの令嬢などの友人が席を埋めている。


 ルシファーが先に入場し、祭壇の前で止まり、後ろを振り返る。その後を私がお父様の腕に手をかけて入場する。赤い絨毯を真っ直ぐ進んだ先にはルシファーが祭壇の前にあるステンドグラスから漏れ出た光で照らされている。


 先代の魔王から受け継いだ後ろが長めに作られている漆黒のモーニングコートを羽織った姿がルシファーの容姿端麗さを際立てている。


 お父様はルシファーとバトンタッチして脇に逸れていった。


「ルシファー……まるで魔王様だわ。似合ってる」


 私はいつか魔王城で見たルシファーに言った時と同じセリフを呟いた。


「クレアもそのドレスは……まるで天使のようだ」


 私のドレスはお母様も結婚式に着ていた物を少しアレンジした。腰から広がるレースがふんだんに使われた純白のドレスに、頭にはふわふわした白いベールを被っている。風が舞うたびにベールが風を帯びて、まるで羽を羽ばたかせているような動きをする。


 私とルシファーが司祭の方を向くと、歌が聞こえ始め、それが終わったと同時に司祭が祈りの言葉を口にした。


 そして司祭はルシファーに問いかける。


「病めるときも、健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」

「誓います」


 ルシファーはハッキリとそう口にすると、私をチラリと見て微笑みかけた。司祭は私にも同じ問いかけをする。私はルシファーと同じように答える。


「誓います」

「あなた方は自分自身をお互いに捧げますか」

「「はい、捧げます」」


 司祭は笑みを浮かべながら続ける。


「新郎から新婦へ」


 ルシファーが私の手を取り、王家に伝わる王妃の指輪を私に嵌める。私も国王の指輪をルシファーに嵌め、お互いを見つめ合う。


「ヴェールをあげてください。誓いのキスを」


 小鳥が啄むようなキスをルシファーが私にすると、司祭による結婚宣言があった。それと同時に、その場で私達は結婚証明書に署名する。続いて司祭も署名をすると、王族はこれを持って夫婦と認められる。


 晴れて私達は夫婦となった。


 再び歌が流れ始め、腕を組んで、来た道を戻る。このまま私達の場合は外に出る流れとなっている。国民にもお披露目をしなくてはならない。


 教会の外に出ると、待ち構えていた多くの人々によりフラワーシャワーが浴びせられる。


 ここには魔族もいるが、原作のように血生臭い光景は広がっていない。虚な目で佇むルシファーもいない。幸せいっぱいの景色が広がっている。リリスは教会の中で今か今かとこれから起こることを嬉々として待っている。


「魔族が天使族に戻っても、俺は魔王として記憶を伝え続けるため、魔王であり続ける。今後は魔族を含めた全ての者の心に巣食う闇を吸収し続けることになるだろう」


 ルシファーは周りに手を振りながら私にだけ聞こえる声で言った。


「つまり、私も女の子を産むまで、天使族の女王として君臨することになるのね?」


 私も同じように手を振って周りに答える。


「そうだ。男子が生まれればその子は次期魔王になる可能性が高い。そして今日が最もクレアの力が高まる日だ。本当に魔族を天使族に戻すのか?」


 ルシファーは申し訳なさそうな顔をして私を見ている。たとえ魔族が天使族となってもルシファーの役目は変わらない。ルシファーはこれからも闇に飲まれる危険性がある。私がルシファーを癒し続ける必要があることに、ルシファーは申し訳なく思っているようだ。


「大丈夫よ、ルシファー。私がずっと隣にいるわ」


 私は首を縦に振り、心配ないことを示す。


 私とルシファーは両手を繋ぎ、向かい合うと二人で魔族を天使族に戻す詠唱を声にした。


「聖なる力よ」

「闇の力よ」

「「私達の愛を持って魔族と人間に祝福を与えたまえ」」


 私達を中心に闇と光が混ざった爆発的な光が広がり、この世界は光に飲み込まれた。


 魔族は再び天使族に姿を変え、人々の心には光が灯された。真っ白になった私の視界にはルシファーだけが見えている。私の視線に気がついたルシファーに私は笑顔を作ると、晴れ晴れとした声で宣言した。


「私があなたを立派な魔王にして差し上げます!」

約一ヶ月半の間、タイムリーに応援して下さった方はありがとうございました!

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どうぞよろしくお願いします!


竜騎士が溺愛するのはつがいだけ〜執着された悪役令嬢は逃げられない〜

ムーンライトノベルでR18も書き始めました。良かったら、こっちもよろしくお願いいたしますm(__)m

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― 新着の感想 ―
[良い点] 57/57 ・わーい、おめでとうございまーす。 [気になる点] ひゅーひゅー  ✨ ✨ ✨ ✨ ✨   ぱちぱちぱち〜 [一言] 終わっちゃったよー。
2021/02/05 19:29 退会済み
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