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第74話 ポーションの問題

こちらは本日1話目です。

次話は18時の更新となります。

俺を含めた海岸組が帰ってきてから早数日。


まあ帰ってきてからOXさん関係で一騒動あったりもしたが、特に語るほどのことでもなかった。

〈安息の樹園〉内では平穏な日々が送られている。


フバツソラヌンは新しい畑でも順調に育っており、十分な量の収穫が見込まれている。

さらには畑の管理も慣れてきたようなので、最近では新たに増やした果樹園の管理を任せている。

食糧事情の安定化が割と近いかもしれないな。


一方の狩り組も順調に実力をつけ、皆がソロあるいはペアでBランクを難なく討伐できるようになってきた。

本来倒せる実力がないスキル構成の者でも、姫様の《囲い守られる者》による身体能力向上と場数という経験のおかげで倒せるようになったのだ。


ただあくまでも安定して倒せるようになったのは所詮Bランクの魔物までだ。

Aランクの魔物となるとまた話は変わってくる。

戦えなくはないものの、奮戦虚しくという結果に終わるケースが多いのだ。

今この拠点内でAランクを倒せるとしたら、単身だと俺、レイン、OXさん、複数人だと精鋭騎士達だけだ。

まあ、だけと言いつつも、狩り組ではないが双子妻も十分に戦えるに違いない。


そんなわけで平和ではあるものの、狩り組の生傷は絶えないのだ。



「今日はAランク相当のイビルコーンが出やがった。」

「奴の突進にルースがやられちまった。」

「庇いに行ったカインも無視できない負傷だ。」


狩り組が帰ってくるなり、慌ただしく負傷報告がもたらされる。

うーむ、段々と拠点の周辺から低ランクの魔物が減ってきているようだ。

ここ最近Aランクの魔物との接敵頻度が急激に増加している。

そのため、誰かしら負傷するという事態も増えてきている。


しかし、残念なことにこの拠点に治癒できる能力を持つ者がいないのだ。

治癒できる者がいないとなると、ポーションに頼るしか迅速な解決策はなくなる。

そして怪我を治すのには、非常に勿体無いが人命が掛かっているということで、これまでに採取できたポーショネルの果実の欠片を摂取させてきた。

しかし、いよいよその在庫も雀の涙ほどなのだ。


ポーショネルの木は数年に一度の頻度でしか果実をつけることはない。

これまでいくつか樹木を見つけ、そこに実っていた果実を採取し、家の果樹エリアに植えてきた。

ただでさえレアな樹木なのだ。

とてもじゃないが負傷スピードを賄い切れるほどの果実は集められない。


早々に次善策を設ける必要が出てきたのだ。

ひとまず外出禁止令にして考えることになった。




『普通にポーション作ればいいじゃない?』


夜になってから、アイネに相談してみたところ、灯台下暗しのように至極当然な答えが得られた。


ただ、ポーションなんて地球にはなかった。

果たしてどの程度のものであるのかも見当が付かないのだ。


「そんな簡単に言うってことは、容易に作れる代物なのか?」


『んー、上級以上となると話は変わってくるけど、中級以下と言うならそれほど難しくはないわね。』


いい情報が手に入ったな。

どうやら中級レベルまでのポーションは俺でも作ることができるらしい。

ただ上級だの中級だの言われても分からない。


そのことをアイネに伝えると、ポーションについて教えてくれた。



ポーションは下級、中級、上級、超級の4段階が存在する。

それぞれ色が薄い緑色、濃い緑色、濃い紫色、淡い空色であるらしい。


下級は最もありふれたポーションであり、入手難易度は最も低い。

学がない農民でも作成できる代物だとか。

一方で効果は低く、軽度の擦り傷程度しか治すことはできない。


中級は下級に比べ性能が上がり、効果が実感しやすいものとなる。

正しい工程を踏むだけで作れるらしく、知識さえあれば作ることは容易いとのこと。

効果は、打撲や捻挫、深い切り傷程度まで治せるようになる。


上級にもなると、市場に出回ることも少なくなるが、その性能は折り紙付きだ。

ただ作ることは専用のスキルが必要になり、今の俺には作ることができないらしい。

ちなみに拠点内の人員にも該当スキルの保有者はいなかった。

性能も中級とは一線を画し、骨折や軽度の欠損すら治せるようになり、状態異常も回復させることができる。


超級はエリクサーとも呼ばれる代物であり、世界に現存する数も極端に少なくなる。

神が生み出すものであり、それ以外の種族が作り出すことは不可能とされている。

ただ希少価値に反せず、立ち所に全ての損傷と状態異常を回復させ、さらには死後1時間程度なら蘇生させることも可能だとか。


期せずして、新たなファンタジー要素を知れることになった。

新たな知識が手にいるのは心地良い。


中級までの作り方も聞き、その後はたわいもない雑談をアイネと時間の許す限り楽しんだ。




翌日、俺とリメとレインは薬草の採集に向かった。

ほんとは俺とリメだけで向かおうと思ったんだが、レインが許してくれなかった。

クドクドと御高説を垂れていたが、その実一緒にいたいだけと分かり、微笑ましい気持ちになった。


幸いにも、薬草の群生地らしきものは以前目星をつけていたので、探す手間は掛からなかった。

まさか念のためで覚えておいた場所がこんな早く役に立つとはな。


それにしてもな。


チラッ。


薬草を採取しながら、《情報分解》を使う。



[薬草]

  ポーションの材料として多用される植物。

  一定以上の魔物が存在する地域に自生してお

  り、魔物から排出される魔素を栄養としてい

  る。

  人工的に生育させることも可能ではあるが、未

  だ実現できた例は確認されていない。



ネーミングそのまんまなのね。

薬草って名前の草なのか。

てっきりいくつかの植物をまとめて薬草なんて呼ぶんだとばかり思っていたよ。


今後も群生地として活用できる量を残し、採取していく。

全体の20%ほど伐採したが、元Aランク冒険者のレインにも止められなかったし大丈夫だろう。


そして帰りの道中は、行きの道中同様にAランクと思われるような魔物と幾度となく遭遇した。

ここ最近狩りに行ってないが、どうやら魔物の脅威度が上がっているのは事実らしい。

俺は《魔糸操作》で一撃です魔物を切り捨てながら、道を進んで行った。




〈安息の樹園〉に戻った俺は、昼直前にテレビから流れてきそうな短時間料理番組のBGMを脳内で流しながら、ポーション作りに取り掛かった。

アシスタント兼今後の作り手として、双子妻を除く女性陣にも参加してもらう。

まさかの姫様とOXさんの愛娘であるルテアもだ。


とりあえず取ってきた薬草を乾燥させる。

本来この工程は薬草を天日干しにする必要があるのだが、今回は急を要するということでリメの水魔法で解決した。

対象から水分を抜く魔法ってよくよく考えると恐ろしいな。

ちなみに《素材分解》で乾燥させることもできなくはないが、その場合完全に薬草が干からびてしまい、持った側からパラパラと崩れていった。



気を取り直して、乾燥させた薬草を急遽作成した薬研のフネに入れ、すり潰していく。

薬研って言われてもピンと来ないかもしれないが、深いV字に窪んでいるフネと、その窪みに入るようなハンドル付きの円盤状ローラーで構成されている道具だ。

よく時代劇を見てると、出てきていた。


ちなみに下級ポーションだとこの工程は要らないらしい。

この工程があるかどうかで下級か中級以上か変わるらしいから、何とも馬鹿げた話である。


一緒に作っている女性陣も驚いたような反応を示していた。

特に、こんな簡単なことで…と元Bランク冒険者のワーネはショックを受けていた。

同様にレインも顔にはあまり出さなかったものの、俺は戸惑いの表情を浮かべた瞬間を見逃さなかった。



そして、細かく粉砕した薬草を予め熱しておいたお湯に入れていく。

木べらでかき混ぜながら、薬草がお湯に溶け込んでいくまで煮詰める。


下級は薬草そのままの状態で煮詰めるから、お湯に溶け込むことなく、出汁みたいになるから効果が薄いんだとか。

しっかりと細かい状態で混ぜることで薬草の効果を十分に享受できることになる。


その事実を知って、またもやワーネは大きなショックを受けていた。

レインも眉間に一瞬だけ皺が寄っていた。



そして、完全に薬草が溶け込み、中級ポーションの色である濃い緑色になったことを確認して、かき混ぜながら冷ます。

こうして冷まし切ると、今より濃い緑色になり、しっかりと効能が溶け込んだ状態になるとか。


ちなみにポーションはそれぞれ色が濃いほど効果は高いらしく、濃い品物ほど高価で取引されるらしい。



出来た中級ポーションの8割ほどをセラミック製の壺の中へ移していく。

可能ならば、異世界ものでよく見るような小分けして瓶詰めしたいところだが、瓶を作る技術がないので断念した。

材料自体はあるので、いずれは何とかしたいところだ。


そして、残った2割を水で割って薄めていく。

元の中級ポーションと水、それぞれ1:4の比率だ。

すると、薄い緑色になり下級ポーションとして使えるようになる。


基本的にポーションは作った状態から段階を上げることも下げることもできない。

しかし、例外的に中級ポーションに関しては、水で薄めることで下級ポーションとして代用することもできる。

この方法だと、下級ポーションが比較的簡単に量産することが可能となる。

その手の道のプロはその方法で、下級ポーションを作って市場に流しているのだとか。




これ以降も度々負傷者を出しながら狩りは行われるようになったものの、ポーションが完備されたため、大事に至る者はいなくなった。


ただやはりというか携帯したいという意見が多数寄せられた。

俺も負傷したその場で回復できるに越したことはないと思う。

うーむ、早々にこの問題は解決にしたいな。

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勇者?聖者?いいえ、時代は『○者』です!
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