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第60話 戦闘力の問題

こちらは本日2話目です。

前話は12時の更新となります。

未読の方は是非ご覧になってください。

ものの数時間で《分解結界》《認識分解》付与済みの糸による防衛システムを作り直した。


前回以降、ミスリルウィップスパイダーを数匹仕留めていたのでミスリル糸の在庫は十分にあった。

そのため、配備レベルも上がり、より堅牢になった。

予め壁に近寄らないように言い渡しておく。

システムの詳細を省いた上で、見本を見せながら武装関係なく近寄っただけで細切れになることを伝える。


今更ながら、姫様一行はよくこのシステムに引っ掛からなかったな。

脇にいたOXさんに聞いてみる。


「よく無事だったな。」


「いや、なに、ここに踏み込んではいけないと嫌な予感がしただけのこと。その儂の予感に従っただけだ。」


流石にネタまでは分からなかったがね、と補足も受けた。

しかし、《認識分解》で認識できないはずなんだけどな。

実はこの防衛システムに魔物がかかっていたという実績はない。

どうやら魔物も同じように第六感で、避けていたようだ。

因縁のテンペストグリズリーも予め罠が張り巡らされてるとなるとどうしようもないのだろう。




そんな俺は今土均しできない組を引き連れ、森の中へと進む。

土均し組は広さが広さだけにまだまだ時間がかかるらしい。

やはり上級魔法を好きなように使えるリメはかなり凄いんだな。


万が一の拠点人員の保護のため、レインは拠点に残っていてもらった。

結構渋られたが、今度2人っきりで狩猟という名のデートを交渉テーブルに乗せた途端、許可が下りた。

なんやかんやレインもちょろいんじゃないか疑惑が生まれた。


さらに緊急時に意思疎通を図るために《念話》スキル持ちのルースの妻で、同じように《念話》持ちの

ベラにも残ってもらった。

それほど遠くへ行く予定はないからもし仮に何か起こったとしても最悪の事態にはならないはずだ。


子供達も一応ついて来てもらっている。

周りの環境を知ることは大切だし、実際に体験してみれば無謀なことをしようとはならないだろう。

現にポアロは俺なら余裕だと言い放ち、母親のイースにぶん殴られていた。

その動き見てたけど、やっぱり双子妻強いんじゃない?


一方のルテアは俺の服の裾をギュッと握りしめながら、後ろをついてくる。

どうやら、それもポアロが俺余裕アピールする要因の1つにもなっているらしい。

OXさんも苦虫をこれでもかと噛み潰しまくったような顔をしている。

これは触れるとレインのお説教案件になる気がするからスルーが正解だ。


今日の同伴者の内訳は、OXさん一家、精鋭騎士をはじめとする騎士達7人、そして精鋭騎士の1人リークの妻であるワーネである。

騎士の妻達は皆非戦闘職だとばかり思っていたが、どうやらワーネは元Bランク冒険者だという。

スキル構成を見たところ、弓使いであったようだ。

嫁いでからも、身体を動かすために簡単な狩りは日常的に行っていたため、それほど弓の精度も落ちてはいないらしい。



歩き始めて数分で初の魔物にエンカウントした。

こいつは…ガーディアンタトゥか。

アルマジロ型の魔物で、高い防御力を誇るものの機動力はないタイプか。

俺の武器を持っての初戦はこいつだったな。

実力を測るのにちょうどいいかもしれない。


「じゃあどれだけ戦えるのか知りたいから、こいつらと戦ってくれ。倒し方は問わないが、無傷で倒すと素材として使えるから気を使えるなら使ってみてくれ。」


レインに聞いたところ、ガーディアンタトゥはランクでいうとBランクらしい。

単体での魔物ランクが低いスタンピードボアといった例外を除いた、この環境の最低基準なのだ。

これを倒せるかどうかで戦闘職なのか否かが決まる。

〈不抜の樹海〉では他の所は基準にならない。

Bランクの魔物を倒せてやっと戦闘職とみなされる。

倒せなかったら、如何に戦闘系スキルを持ってようが非戦闘職だ。

こればかりは譲ることはできない。


いざ戦闘が始まってみると、大概の者は及第点といったところだった。


目立つところで行くと、OXさん。

《自重操作》と火魔法の組み合わせで戦っていた。

《自重操作》を使って貫通力を高めて剣を突き刺したと思ったら、タトゥが口から煙を吐いて倒れた。

どうやったのか聞いたところ、火魔法を使って内臓だけを燃やし尽くしたと返ってきた。

詳しい話は聞けなかったが、オーボエナッシ家一子相伝の秘術らしい。

納得のクオリティーだった。


他の者達も個人あるいはペアで危なげなくしっかりと仕留めていた。

個人で戦えるのがベストだが、ペアで戦えるなら問題はないと思う。

個人的に最も危険だと思う者は、己の力量を理解せず無謀な戦いに挑む者だ。

ペアで戦うという選択ができる時点で、状況判断ができていて己の力量も把握しているということになる。

始めはそのレベルで十分だと思う。


そう、己の力量を把握していないのが困るのだ。

その困ったちゃんなのがポアロであった。

自分だけで戦えると息巻いて、単独で果敢にタトゥに仕掛けるも、傷ひとつ負わせることが出来なかった。

挙げ句は、武器が悪いだの、今日は調子が良くなかっただの言い訳のオンパレードであった。

見苦しいことこの上ない。


案の定、母親のイースに脳天に一撃貰って悶絶していた。

そんな頭ばっか刺激してると、覚えられることも覚えれなくなるぞ?


それでふと視線を下に移すと、ガーディアンタトゥの死骸が2つ落ちていた。


「「気づいたら落ちてたの!」」


容疑者と思しき双子妻はそう供述していた。

しかし、落ちていたとは甚だ不自然な話だ。

死骸を確認したところ、重厚な鎧を思わせる甲羅のほんの僅かな隙間に()()()()加えられていた。

おそらくこれが死因だろう。


止まった状態で辛うじて認識することが可能なレベルの隙間に明らかな刃物傷。

恐ろしく高度なテクニック、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

いや、仕留めていた瞬間は完全に見逃したんだがな。

やはり姫様一行で最も強いのは《暗殺術》持ちの双子妻なんじゃないか?



その後も一度昼食を取りに〈安息の樹園〉に戻ったものの、何度か魔物と遭遇し戦闘を行った。


セイバーマンティスやハガネノサル、ウォタールリザードにグーニーフロッグといった俺が既に戦ったことがある魔物ばかりであった。

所々で危うい場面はあったものの、大方この地での戦闘力は認められた。

これから、俺かレインの付き添いで狩りに行くことはできそうだな。


そして最後までポアロは魔物とまともに戦うことはできなかった。

プライドが高すぎるのも問題だな。

見学だけに留めていたルテアも溜息を吐きながら呆れていた。

少なくとも来年になればスキルが使えるようになるのだから、待てばいいのに。


次回以降はポアロは狩りに連れて行かないことになった。

これは両親と相談の上に下された決定だ。

本人は納得いかないと癇癪を起こしていたが、こればかりは子供のわがままと言えど認められない。


戦闘というものを甘く見過ぎている。

戦いの明るい面や華やかな面しか見えていないのだ。

そんなの早死にするに決まっている。


拠点に受け入れるという決断をした以上は、俺も皆の命を大事にしたいのだ。

無駄死には許さない。




俺?

俺も一応魔物は倒したよ。

一度倒したことはある魔物ばかりだったから、様々なことを試してみた。

練習していた抜剣術も使ってみたし、最低限の動きの《魔糸操作》で仕留めることもやってみた。

意外と実戦でも使えたが、まだまだ向上の余地があったからしっかりと仕上げていくつもりだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ジョーの戦闘の背後であった会話



「……なんだあの剣筋、見たことないぞ。というか早すぎて目で追えきれない。」

「……それに見てみろよ、あの切断面。肉も骨も関係なく真っ平だ。」

「……血も斬られたことに気づくのが遅れるように吹き出してたものね。冒険者やってた頃も見たことなかったわ。」


「……見えたか?今の攻撃、儂には光が一筋走ったようにしか見えなかったぞ。」

「オー君も分からなかったの?気付いたら心臓の所に穴が開いてたもんね。ウェスは分かった?」

「ううん、分からなかったよイース。詠唱した訳ではなかったし、何かのスキルかな?いったいいくつスキル持ってんのよ。」

次回更新日は明日です。お見逃しなく…


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勇者?聖者?いいえ、時代は『○者』です!
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