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第58話 スペースの問題

こちらは本日2話目です。

前話は12時の更新となります。

未読の方は是非ご覧になってください。

「よし、じゃあ拠点を拡大しよう!」



だいぶ曖昧な言い方になってしまった。

周りにいる皆もピンと来ていない表情だ。

ちゃんと説明するからそんな可哀想なものを見るような目をしないでくれ。


そして俺の説明は始まった。


とりあえず物理的に拠点を拡大したい。


今ある拠点は四方50mと、地球だったら1家族の生活スペースとしては十分な広さだった。

けれども、今やここには22人と1匹と1本がいる。

家族単位にすると、OXさん一家、騎士夫婦5組、俺とレインの計7グループ。

残りの独身騎士もグループ化するとして8グループ、別々で考えると11グループも存在する。


無理矢理この人数の居住空間を生み出すとしたら、アパートもしくはマンションを建てないといけない。

仮に材料面の問題をクリアした上で居住用建物を建てることが可能になったとする。

しかし、そうなった場合、今の拠点内にはそんな建物を建てるスペースは存在しない。

今空いているスペースは拠点を9つの区分けした場合、南側と北側から北東側のみだ。


南側に建てるという考えもなくはないが、そうなった場合、食糧生産スペースの問題で詰む。

それこそ人数が10倍以上になったのだから、フバツソラヌンの作付面積も少なくとも10倍にしないといけない。

とてもじゃないが残りのスペースだけでは賄うことはできない。


そのため、拠点そのもののスペース拡大をする必要がある。


「……ぐ、具体的には如何するのですか?」


未だ距離感の微妙な姫様が質問してくれた。


さてと、どうしたものか。


今の拠点を中に入れる感じで拡大することは確定だ。

ここを捨てて、また新たな地に一から拠点を作るのは骨が折れる。

それに、ここ3ヶ月の思い出を蔑ろにしているようで嫌だ。


新拠点に拡大する上でここをどこに組み込むかが問題だ。


俺には抱えている秘密が多い。

リメに関しては後日使い魔や従魔だと言って紹介すれば済む。

しかし、オリ爺に関してはその枠を超えている気がする。

現に昨夜からは念話も止めてもらってただの木に擬態してもらっている。

さらには、月一で来てくれるアイネの存在。

急に来ては、いつの間にかいなくなっている存在なぞ、バレたら追及されることは目に見えている。


ということで、()()()()()()()()()()()()()を選ばなくてはいけないのだ。

隅だとあからさま過ぎそうだから、端程度にしとくか。

壁はそのまま残すとして、北側の壁を拡大した拠点の壁にリユースしよう。


ひとまず東西側にそれぞれ100m、南側に200m伸ばして四方250mの住居用スペースを作るか。

さらに全方位へ50mずつ伸ばしてフバツソラヌン用の畑スペースを用意することにしよう。



「ーーということで大丈夫?」


「え、あっ、はい。」


あれ、納得してもらえてない?

いや、違うなこれは。

何か聞きたかったのはそっちじゃないって感じだ。


「方法を聞きたいんだ、方法を!どうやってこの拠点を作り上げたのだ?」


さすがOXさん、言いたいことはズバッと言ってくれる。


けど方法はいたってシンプルなんだよな。

木を根こそぎ伐採した上で更地にする。

土魔法で壁を作って、そこを崩れないようにする。

自衛のため、壁周辺に魔物撃退システムを張り巡らす。

たったこれだけなのだ。


「なるほど…で納得できると思うか!どれだけ労力を費やせばいいのだ。月単位の計画ではないか!この拠点を作った貴様がよく知っているであろう。」


「えっと、更地にする過程でさん…半日、壁と防衛システムで門を含めて1日半、計2日以内で終わった。」


厳密に言うと、更地にする過程は30分ちょっとで終わったのだが、馬鹿正直に伝える意味はない。

だって、OXさんが額に青筋浮かべながらプルプルしてるんだもん。

火に油注ぎそうな予感がして咄嗟に言い直した。

そのうち《直感》とかいう第六感系のスキルが手に入るかもな。


「そんなわけないだろう!」


OXさんの叫びと共にシーンとした空気が漂う。


おっ、これはまさか、異世界名物の通称俺何かやっちゃいましたかチャンスの到来か?

こんなあからさまなチャンスをものにしちゃっていいのか?

よし、ならばこの流れに乗ってやろう。


「えっ、俺な「ジョー様はこの地で生活していた方です。それぐらいのこと些事なのでしょう。あら?ジョー様、何か仰って?」…いえ、何でもないです。」


まさかの姫様にチャンスを潰された。

意外と姫様って呆気に取られてからの復活ペースが早いんだよな。

完全に読み違えていた。

またの機会に再挑戦だな。



「まあとりあえずやってみせるよ。樹木とかの植物の解体は俺の能力でやる。その後に土魔法使える人たちで地均しして欲しい。」


俺は門の外に出てから、指示を出す。

地均しの際に使う魔法は、たしか…ステーブルアースだったな。

初級魔法だから、土魔法Lv2もあればできるらしい。

《コア魔術大全:中級》持ちの姫様や《建築》持ちのケングをはじめとして、7人ほど使える者がいた。

いいな、俺も使えたらな。


魔法に対する渇望が止まることを知らない俺は次々と樹木を解体していく。

その際、周りにバレないよう合図を出して、リメに《ストッカー》で収納してもらう。


「空いたスペースから土魔法で均していって。」


俺の伐採作業が終わるまで待っててもらうと、時間がかかり過ぎる。

個人的には今日中に伐採作業の後に土壁を築く作業を終えたい。

土魔法を使えない者が別作業できるようにしたいからだ。


淡々と俺が作業をこなしているため、周りの反応は気に留めなかった。


「……嘘だろ、あの木《剣術》Lv6の俺でも傷つけるのが精一杯だったのに。」

「……そんな木があんな簡単にポンポン倒れていくぜ。ははっ、俺まだ寝てて夢見てるのかもな。」

「……うむ、こればかりは感嘆の意を示そう。儂にも倒せなくはないが、あのように容易くとなると…」

「オー君、素直じゃないね。単純にすごいって言えばいいのに。」

「な、何を馬鹿なことを、ふっ、ふん!」


俺は知らず知らずのうちに通称俺何かやっちゃいましたかチャンスを逃していた。

後からレインから周りの反応を聞いて、悔しがったのはここだけの話だ。


ものの2時間で伐採作業を終えることができた。

前回は8分の1の面積で30分かかっていたから、自分の能力の使い方の成長が実感できた。

まあ権能のレベルは前回から上がっていないんだけどな。



暇を持て余している者達に食材を渡して、昼飯を作るように頼む。


その際意外だったのが、昼食という文化が存在しないことだった。

食材を渡したら戸惑われて、怪訝に思って聞いてみたら判明した。

いずれ文化の擦り合わせも必要になりそうだな。



昼飯を待つ間に、土壁の一辺ぐらいは終わらせよう。


ということでリメさんお願いします。

北側の壁を延長させることにした。


せっかく作った土壁を壊さないように北側の防衛システムの糸を撤去する。

気づくのに遅れて、作った土壁が穴だらけになったため思い出したのだ。

俺に《認識分解》は効かないはずなんだけどな。


土壁を作る魔法は初級魔法のグラウンドウォールが基本だ。

しかし任意の高さや厚さとなると、中級魔法のアースメイクウォールを唱える必要がある。

偉そうに解説しているが、当の俺は初級すらできないからアイネから聞いた受け売りだ。


リメにアースメイクウォールを唱えてもらい、次々に壁を地面から生み出していく。

高さは前回同様の5mで、厚さも3mとこれまた前回と同じだ。

勿論俺も何もしないわけではなく、前回同様に土壁崩壊を防ぐため、《分解結界》を張っていく。


案の定、土壁を一辺作ったところで昼飯となった。

皆慣れない昼飯に最初は遠慮が見られたが、OXさんの息子が手を出したのをきっかけに次々と昼飯に手を出した。

魔物の肉を焼いただけだというのに、今までに比べて断然美味い。

火魔法を使える者がいるだけでこんなにも違うものなのか!



その後、美味しい昼飯でテンションが爆上がりした俺は夕方までに無事土壁を全方位作り終えた。

これで手持ち無沙汰な者にも仕事を割り当てられるな。

次回更新日は明日です。お見逃しなく…


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勇者?聖者?いいえ、時代は『○者』です!
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