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異世界に呼ばれたオタク女子 スキルが多すぎて使いこなせない件  作者: Melody


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49/49

魔族とドラゴン族と オタク女子

大陸に渡って直ぐに大変な事に遭遇するサクラ。

同じ大陸に住む魔族とドラゴン族は国境を作らなかったが、


自然と、

魔族は大陸の北側に王都を作り、

ドラゴン族は南側に城を建てた、


魔族はヒューマン族とほぼ同じ容姿だが、

ヒューマン族より一回り大きく、

瞳が赤いのが特徴で、

ヒューマンと大きく違うのは魔力だった。

魔族は魔法を得意とし、

魔法の研究にも力を入れていて、

この星1番の魔法の使い手と言える、

後はエルフと同じ様に、

男女共に容姿端麗だ、


魔族は魔王を中心に生活をし、

ドラゴン族はブラックドラゴンの保護下で、

自然の中で自由に生活をしていた。


魔族とドラゴン族は、

お互い困った時は助け合い、

お互い変な干渉もしない、

そんな生活を送っていたある日、


空から変な物が落ちて来た、

その時を境にドラゴン族の様子が少しずつ変わっていく、


気高く温厚なドラゴン達が、

何故か魔族を襲う様になる、


魔王はドラゴンを殺す事を許さず、

瀕死の状態にして、

拘束する様に指示したが、

ドラゴンを瀕死状態から回復させると、

何故か正気に戻る、

その事を知った魔族は、

ドラゴンを瀕死状態にし回復させるという、

大変な工程を100年近くやっていたが、


年々正気を失うドラゴンの数が増え、

対応に追われるようになり、

仕方無く魔族とドラゴン族の住処の境に、

砦を建設し日々ドラゴンを監視をする様にしていた。


砦には3000人の魔族の兵士が配備されていて、

ドラゴンが数匹現れても食い止められるように、

訓練を重ねていた。


魔族は風魔法で空を飛ぶ事も出来るので、

飛びながら周辺の見回りも、

訓練と同様に欠かさず行っている、


ある早朝見回りに行っていた兵士が2人、

慌てて砦に戻って来ると、

「キル隊長は何処だ?」


兵士の様子が変な事に気付いた訓練中の兵士が、

急いでキルを探しに行く、

慌てている兵士の周りにも他の兵士が集まって来て、


「どうしたそんなに慌てて?」


「大変な事が起きてる、

早く隊長に報告しなくては」


そこにキルがやって来て、

「どうした?何があった?」


見回りの兵士は

「とんでも無い数のドラゴンがこちらに向かっています」


「とんでも無い数って…どれくらいだ?」


見回り兵士はガタガタと震えながら、

「数百…、

いや、大小合わせて1000はいるかも知れません」


「1000だと…」


キルは一呼吸置いてから叫ぶ、

「直ぐに魔王様に連絡を入れて、

援軍の要請と、

非戦闘員の避難を伝えてくれ」


1人の兵士が「ハッ」と返事をして飛び去ると、

キルは周りを見渡しながら、


「結界魔法隊と盾部隊は砦の前で待機を、

遠隔魔法隊は城壁の上に待機、

治癒魔法隊と薬師達は二手に分かれて、

結界と遠隔のサポートについてくれ」


兵士達も「ハッ」と返事をした後、

各々散らばって行った。


キルは高く飛び上がり、

遠くを見つめると、

微かに立ち上がる砂埃、


キルは槍を握り締めて、

下に向かって叫ぶ、

「近接部隊、

結界部隊の後ろに待機、

今回は特別な状況に陥っている、

ドラゴンを殺しても良い私が許可する、

責任は全て私が負う、

己の命を優先する様に」


近接部隊に緊張が走る、


キルは街道に降りて聞き耳を立て、

「後数十分でドラゴン達はここに到着するだろう、

土魔法で街道の両脇を固めてくれ、

ドラゴンが通れる場所を狭くしろ、

結界魔法は街道の出口に集中させてくれ、

出来ればドラゴン1匹ずつ結界を通して、

後は近接部隊でドラゴンを撃て」


その場に集まった兵士達は「ハッ」と返事をしながら、

右手を額に添えた、

キルは兵士の姿を見て頷き、

街道を睨みつけ、

(どうかドラゴン達よ正気に戻ってくれ)

そう心の中で願うのであった。



正気を失ったドラゴン達は速度を緩める事なく、

魔族の砦に向かって走っている、

そんな様子を同族の赤いドラゴンが気が付き、

「あれは…まずい事になった」


そう呟くと顔を上げて咆哮しようとすると、

「待て待て、何をしようとしている?」


赤いドラゴンが振り返ると、

そこには黄緑色のドラゴン、

サクラに首を落とされたドラゴンが立っていた。


「何をって、

お前もあれを見ただろ?

あんな数のドラゴンが魔族に向かったら、

魔族が滅んでしまう、

仲間を集めて何とか食い止めなければ」


黄緑色のドラゴンは「ウンウン」と頷くと、

「俺もそう思ったさ、

それで仲間を呼びに行く途中で、

俺も正気を失ったんだ、

呼んだドラゴンが正気を失えば、

正気を失ったドラゴンの数が増えるだけだ」


「じゃあどうすれば良い?

このまま放置はできないだろ…

そう言えばお前も正気を失ったと言っていたな、

どうやって戻った?」


黄緑色は頭を掻きながら、

「偶然会った小娘に首を落とされて、

繋ぎ直したら正気に戻った」


赤いドラゴンは首を傾げ、

「はぁ〜?小娘だと?

首を落とされただと?

そんな小さき者にそんな事出来るか?」


「それが出来ちゃったんだ、

一緒にそこまで来てたんだけど、

アイツら速すぎて見失った、

お前は見かけなかったか?」


「小娘って事は子供か?

そんな者産まれてから今まで会ったが事無い」


黄緑色のドラゴンは「ハッ」として、

「俺もだ、俺も人の子なんか見た事なかった…

あれは初めての出会いだったのか…

子供ってあんななのか?」


赤いドラゴンは呆れた顔で黄緑色ドラゴンを見つめ、

「まぁ、お前の言う事にも一理あるな、

魔族に迷惑かけない様に、

俺は山の方に向かうか、

お前も一緒に来い、

正気を失うと困るだろ」


「俺はさっき戻ったばかりだから大丈夫、

あの小娘を探すよ」


「そうか、じゃあな」

そう言って赤いドラゴンは山に向かって走り出し、

黄緑色のドラゴンは魔族の砦に向かった。


その頃街道を抜けたドラゴン達は、

魔族の結界魔法に阻まれ雄叫びを上げていた。


結界魔法師達の努力で1匹のドラゴンを結界内に通す事ができ、

一斉に槍や剣で攻撃するが、

ドラゴンの鱗は硬く攻撃が効かない、


「氷魔法で動きを封じろ、

その後は雷魔法で攻撃だ、

薬師達は結界魔法師達に、

魔力の補充薬を与えてくれ」


訓練された兵士達は、

キルの指示通りに動き、

結界を超えたドラゴンを仕留めたが、

結界の前に集まるドラゴンの数が増えて行くと、


「キル隊長、

ドラゴンの数が多過ぎて結界がもちません」


次の瞬間、

結界を破って3匹のドラゴンが入り込んでしまった。

氷魔法で破られた結界を塞ぐが、

入り込んだドラゴンがブレスを吐く準備を始める、


「近接はドラゴンの足止めを、

盾は結界師達を守れ」


キルはそう叫びながら兵士いない方に走りながら、

ブレスを吐こうとしているドラゴンの首に向かって槍を飛ばす、

首に槍が当たったドラゴンはキルに目を向けると、

ブレスをキルに向かって吐き出すが、


キルは飛び上がりブレスを避ける、

その瞬間、

別のドラゴンがキルに向かって氷のブレスを吐く、

飛び上がったキルの足に氷が命中すると、

キルは吹き飛ばされてしまう、


「隊長!」


治癒魔法師達がキルに向かって走って行く、

結界がギシギシと音を立て始めると、

飛ばされたキルがヨロヨロと立ち上がり、

大きな声で、

「砦の者達は王都に撤退しろ、

ここに残った者は数分、

いや数秒でも長くドラゴンの足止めをする」


治癒師達に傷を治してもらったキルは、

「お前達も撤退しろ」

そう言いながらドラゴンに向かって走って行くキル、

治癒師達は涙を流しながら、


「隊長はああ言っているが、

俺達は残って仲間の兵士を治療して行くぞ」

治療師達が頷く、


入り込んだ3匹のドラゴンと戦う兵士達、

ドラゴンを押さえ込んでいる結界魔法師達と

盾でドラゴンの攻撃を防ぐ盾の兵士、


いくら魔法が得意でも、

ドラゴンの数が多過ぎて対応するのは難しい、


疲労困憊のキルは必死に戦っている兵士達を眺め、

「もう…ここまでか…

魔王様、どうかお逃げ下さい」

そう呟くと、


「キル隊長危ない」誰かが叫ぶ、


キルは声の方に振り向くと、

ドラゴンの炎のブレスが目の前に迫っていた。


そこに風の様に現れた黒装束の者が、

ブレスを吐いたドラゴンの首にアッパーパンチを喰らわす、

パンチを喰らったドラゴンはそのままブレスと共に空に飛ばされ、

それを追いかける様に現れた黒装束の者も飛び上がり、

ドラゴンに回し蹴りをする、

蹴られたドラゴンは遠くに飛ばされてしまった。



そんな光景を唖然と見ていたキルは別の黒装束の男達に気付く、

その黒装束の男達が結界師の前に立ち塞がり、

迫っていたドラゴン達にパンチや蹴りを喰らわせて、

遠くに飛ばしていく、

10メートル級のドラゴンを4メートルの黒装束達が軽々と、

ドラゴン達を蹴り吹っ飛ばしている、


黒装束の男達は100人は居るだろうか、

結界の中に入ったドラゴンもいつの間にか黒装束達に倒されて、

近接の兵士達も立ち尽くしていた。


そこに急いで飛んで来た魔王が眼下で起きている光景を見て、

「何だ?何が起きている?

あの黒装束の者達は誰だ?」


魔王の側近も唖然として眼下の光景を見ていたが、

「魔王様どの事を仰っているのですか?

ドラゴンの数の事ですか?

それともあの黒装束の者の事ですか?」


「ちゃんと聞いていたのか?両方に決まっているだろ…

んっ?何か変な声も聞こえないか?」


側近は聞き耳を立てるが、

「変な声?

私は魔王様程耳は良く無いので聞こえませんな」


魔王は街道の奥を指差し、

「あっちからだ、

この状況にそぐわない変な掛け声みたいな」


そこに微かに聞こえて来る掛け声、

「ハイ!ハイ!ハイ!ハァ〜イ!」


「あっ、私にも聞こえました、

小さい少女の様な声ですな」


魔王は険しい表情で街道の奥を見つめて、

「掛け声に合わせる様にドラゴンの首が落ちている、

一体誰がそんな事をしている?」


側近も目を凝らして眺めるが、

「えっ?そんな事が?

私にはまだ見えませんが」


魔王は地面に降りて行き、

「状況を説明しろ」


兵士が一斉に魔王に振り向き、

「魔王様!」


近くに居た兵士達は跪き首を垂れる、

魔王はそんな兵士達に、

「今はそんな事をしなくて良い、

あの黒装束の男達は誰だ?

ドラゴンは何故こんなに攻めている?

知っている事だけで良いから説明をしろ」


キルが慌てて魔王に近付き、

「私達も何も分かっていません、

いきなりドラゴンが集団で街道から襲って来て、

結界も破られそうになった時に、

いきなり黒装束の男達が助けに来たのです」


キルが早口で説明していると、

黒装束の男達がいきなり叫び出す、

「マスター、

ドラゴンの数が多過ぎる、

ジャンボ太郎を10体召喚してくれ」


遠くの方から、

「ハァ〜イ!」と返事か返って来ると、

魔王達の後方に、

いきなり身長が10メートルの黒装束太郎が現れた、


召喚された黒装束太郎は、

結界師の前に出てドラゴンの首を掴んで後ろに投げる、

投げる早さが尋常じゃ無く、

兵士達も青い顔で見つめていた、


ジャンボ太郎の登場で手が空いた4メートル太郎達は、

アイテムボックスから何かを出して、

兵士達に配り始める、


兵士が太郎から渡されたコップを見つめ、

「これは何ですか?」


「マスターの拠点で取れた果物をつけた水だ、

飲むと体力や魔力が戻る、飲め」


恐る恐る水を飲んだ兵士が、

目を見開いてコップを見つめて、

「本当に体力と魔力が戻る、

それだけでは無い浄化されたみたいに清々しい感じになる」


兵士の感想を聞いた周りの兵士達も、

次々と水を飲み始める、


次に出されたのは、

果物と拠点で取れた肉や魚料理だった、

「腹が減っている奴はこれを食べていろ」


他の太郎がキルに向かって、

「お前もこれを飲め、

もうドラゴンは大丈夫だ、

みんな正気に戻るから、

お前達は腹ごしらえでもしていろ、

後、怪我をした兵士には、

マスターが作ったポーションを使え」


キルは木で出来た太郎の顔をマジマジ見つめて、

「感謝する、

だがドラゴンに襲われた怪我はポーションでは治らない」


太郎の目がキラリと光り、

「マスターのポーションは、

怪我をどころか、失った手や足も生えるぞ」


それを聞いた魔王とキルは、

『何だって?』


太郎は「フンッ」と鼻を鳴らしてから、

「嘘だと思うなら試してみれば良い」


そう言い捨てて立ち去ろうとすると、

魔王が太郎を呼び止める、


「待て、お前達の助力には感謝するが、

お前達は誰だ?何故ここにいる?」


「詳しい事はマスターに聞いてくれ、

私達は今は忙しい、

お前は元気そうだな、

元気なら手伝え、お前の同族だろ?」


魔王に向かってお前呼ばわりをした太郎に、

兵士達の冷たい視線が注がれる、

キルも不愉快に思ったのか、

「こちらにいらっしゃるお方は魔王様だ、

私達魔族のトップにおられるお方を、

お前呼ばわりはやめて欲しい」


太郎は首を傾げて、

「魔族のトップにお世話になった覚えが無い、

それに敬意を払えと?

それにお前呼ばわりをしたのはそっちだろ、

私は今は忙しい、

そんな話は後にしてくれ、

マスターは何をやるにも早い、

こっちが追いつかなくなる」


そんな事をブツブツ言いながら太郎が遠ざかって行った、

キルは呆気に取られて太郎の後ろ姿を眺めていたが、

魔王が急に笑い出し、


「ア〜ハハハハ、面白い、

あんな態度を取られたのは初めてだ、

あの黒装束のマスターとやらはどんな奴だ?」


「魔王様、笑い事ではありません、

他の兵士達に示しがつきません」


「そんな事はどうでも良いだろ、

兵士達は俺に距離を置き過ぎだ、

俺はもっとフレンドリーな関係になりたい」


それを聞いていた側近が、

空気を読まない発言をする、

「魔王様、寂しかったのですか?」


魔王は側近を呆れた顔で見つめて、

「お前はもう少し俺を敬え」


その時街道の奥から、

「マスター早過ぎる、

頭と体が多過ぎて付ける相手を探すのが大変、

太郎をもっと増やして」


「ハァ〜イ」そう返事が聞こえた後、

10体の4メートル太郎が増やされて、


「そんなに慌てて付けなくても、

後でゆっくりやれば良いよ、

まずは正気を失ったドラゴンを抑えるのが先っしょ」


そう叫びながら小さい少女が次々とドラゴンの首を落として行く、

そんな少女に兵士達も気付き騒めき出す、


「何だあの子は…

首を落としているが出血が無い」


「おい、ドラゴンの頭の方も見てみろ、

瞬きして何か話しているぞ」


兵士達は信じられない光景に驚愕していたが、

太郎に食べ物を配られた兵士達は、

別の意味で驚愕していた、


「おい、これ食べてみたか?

今まで食べた事も無いくらい上手いぞ」


「上手いだけじゃ無い、

体が元気になっていくのが分かる、

こんな飯初めてだ」


喜びと恐れの2色になった砦前、

中央に立つ魔王とキルはただ眺めている事しか出来なかった。


サクラの「ハイ!ハイ!ハァ〜イ」の声が近くになり、

砦までサクラがやって来ると、


「ハァ〜イ!ドラゴン終了!

後は体に頭を乗せてあげて」


サクラは辺りを見渡して、

疲れた兵士の顔を眺めてから、

奥で食事をしながら元気に会話をしている兵士を見ると、

「みなさん、お疲れの様ですね、

奥に行って水を飲むと元気になるから、

太郎君こちらの兵士達をあそこに連れて行って」


太郎達は「御意」と返事をすると、

結界師の達を脇に抱えながら移動させて行く、

街道では太郎達がドラゴンの頭を持って、

右往左往している、


頭だけになったドラゴン達は正気に戻り、

「俺達に何があった?」

そんな事を話し合っていた、


サクラは満足そうに両手を腰に当てて、

太郎達の働きを眺めていると背後から声をかけられる、


「お嬢ちゃん、君が彼らのマスターかい?」


サクラが振り返ると、

長い黒髪の陶器で作られた様な顔の男が立っていた、

サクラは思わず、

「えっ?黒髪のセフィロ◯?」と呟いてしまう、


声をかけて来たのは魔王、

魔王は「フッ」と笑うと、

「私はセフィロ◯では無い、

魔王ディアンだ、

この度は俺の同族を守ってくれて感謝する、

所で君達はどこから来た誰なんだい?」


サクラは「ふ〜ん」と興味無さそうに返事をした後、

「アタシ達はマウントホーリー、ホーリー山から来た、

星神の下僕で、

星神の指示でブラックドラゴンに会いに来た、

ここ大事だから覚えておいて、

星神の指示で」


魔王は黙ってサクラを見つめる、

魔王の眼差しにサクラは、

「何か疑っていますぅ〜?」


そう言ってあざとく首を傾げると、


魔王は、

「いや…疑うと言うか、

星神様が君の様な子供にそんな事を頼むのかと、

そう考えている」


サクラはこころの中で、

(あ〜またこのパターンか…

何でこいつに説明しなきゃならない?

考えてみたら説明の必要無いじゃん)


サクラはニッコリ笑って、

「え〜っと、

アタシはこの星の生まれでは無い、

星神が召喚してここに来た、

この星の者と比べて小さいが、

私の国では大人、

それと、

黒髪のセフィロスもどきに説明する必要も無いので、

アタシはここで失礼する、

またドラゴンが襲って来ると困るだろうから、

太郎君達はここに待機させておく、以上」


サクラはそう早口で説明すると、

クルッと振り返って飛び立とうとすると、


魔王は慌てて、

「ちょっと待ってくれ、

何か気に障ったのなら謝罪しよう、

ただ俺もこの大陸の管理者の1人、

詳しい情報が欲しかっただけだ、

本当に星神様の指示なら俺にも連絡が来るはずなんだ」


サクラはゆっくりと振り返ると、

「星神と連絡し合えるだと?」


サクラは空中をクルクルと円を描くと、

小さなポータルが開いて、

「星神」と一言告げると、


中から「御意」と返事が返って来て、

数分すると小さなポータルから星神が顔を出す。


ポータルから顔を出した星神が顔を歪ませて一言、

「クサッ、何ですかこの匂いはクサッ」


そう言って鼻を摘んでいる、

サクラは星神に向かって、


「星神、臭いのはいいからこっち見ろ」


星神はサクラを見て、

「あっサクラさん、

ここは何処ですか?

大気が臭過ぎるです」


鼻を摘んだ変な声で星神が答えているが、

サクラは怒った顔で、

「星神、アイツを見ろ」

そう言って魔王を指差すと、


「アアア、魔王さんではないですか、

ご無沙汰しています、

前に会ったのはいつでした?」


サクラは呑気に挨拶している星神に、

「星神と魔王は連絡が取れる仲だと聞いたが、

何故この大陸の情報を聞いていない?

それとも聞いたのに忘れたとか?」


星神は鼻を摘んだまま時が止まる、


サクラは魔王に向き直り、

「ここの状況は星神に連絡したの?」


魔王は首を振って、

「いや、このくらいの状況なら連絡しない」


サクラは大きくため息を吐いて、

「ハァ〜、

星神の顔を見たんだから安心したでしょ、

アタシはブラックドラゴンに会いに行くわ」


そこにまた魔王が、

「星神様が召喚したと言う事は信じる、

だが…星神様は何処から召喚したのか聞きたい、

このお嬢ちゃんが悪では無い証明を」


「ハァ〜?

どう見ても善でしょうがぁ〜」


サクラが返事をすると、

星神は首を左右に振って、

「サクラさんが悪のはずがありません、

何たってぜ…ブゥヒ〜」


星神が全能神の名前を出そうとした事に気付いたサクラが、

慌てて星神の口を塞ごうとして、

勢い余って人差し指が星神の鼻の中に入ってしまった。


指が奥まで入ったせいで、

星神が鼻を押さえながらのたうち回っている、

サクラはポータルの中を覗いて、

小さな声で、


「星神…今余計な人の名前を出そうとしたなぁ〜

そいつの名前をポセイドンが出したお陰で、

海底で酷い目にあいそうになったんだぞ、

その名前を出したら…

星のカーミーちゃんと会えない様にするからな」


星神は鼻を押さえながら、

「サクラさん酷い、

全能神様の名前を出して何が悪いのですか?

それにカーミーちゃんは関係ないでしょ、

サクラさんが悪く思われるのは私は嫌です、

全能神様が選ばれた崇高な存在なのに」


「星神のバカ!

声がでかいんじゃ!

全能神の名前を聞いた途端態度が変わるのが面倒なの、

別にこの黒髪に悪く思われてもアタシはどうでも良いんだよ」


サクラはコソコソ会話しているつもりだったが、

背後の人達には丸聞こえであった。


魔王達は全能神が選んだと言う会話に、

鳥肌が立つくらい驚いていたが、

何も言わずにサクラ達を見守っていた、


サクラは星神に文句を言い終わると振り返り、

「じゃあ、アタシは急ぐので」

そう言って片手を上げて去ろうとすると、


再び魔王が、

「何故ブラックドラゴンに会う必要がある?」


サクラは「へっ?」と変な声が出た後、

腕組みをして考え出す、

「あれ?何でだっけ?

ダンジョンの最深部にブラックドラゴンの影を見て…

アアア忘れてた〜マックロちゃんだよ」


そう叫んでサクラはアイテムボックスを開けて覗く、

中ではテネブルは幸せそうな顔で寝ていた、

サクラはテネブルの腕を掴んで外に出すと、

「こいつの乗り物を返してもらって、

コイツを宇宙に飛ばす、

全ての元凶はコイツが来た事だから」


魔王達はテネブルが出て来た事に驚き、

「お嬢ちゃんを連れて来たのはお前だったのか…」


無理矢理起こされたテネブルは、

魔王に気付いて、

「アアア、コイツだ、

コイツが俺を変な大陸に置き去りにしたんだ、

お前のせいで俺がどんだけ苦労したか…」


サクラもテネブルの話に驚いて、

「はぁ〜?

じゃあ黒髪がマックロを連れて来なければ、

あっちの大陸はあんな思いしなくて済んだの?

このマックロのせいでどんだけの人が死んだと思っている?」


そう言って魔王を睨みつけると、


魔王は表情を変えずに、

「それは申し訳なかったが、

緊急事態だったのだ、

あちらの大陸には星神様や精霊王様達もいるから、

上手く対処してくれると思っていたが…

100年近く状況は悪くなるばかりだった…」


ポータルから顔を出している星神は、

鼻血を出しながら真剣な顔でフリーズしていた。


そんな星神の顔を見てサクラは鼻血が気になり、

「星神、鼻血拭いて来なよ、

真面目な顔されても鼻血が気になっちゃう」


そう言いながら魔王に向き直ったサクラは、

「星神と知り合いだったんでしょ?

精霊王達にも会った事はある?」


「ああ、全員会った事はあるな」


「じゃあさ、星神達の役割も知ってた?」


「役割?

この星を守る存在だろ?」


「まぁ〜それも間違いじゃ無いけど…

守っているのは目に見えないエネルギーみたいのを、

一定の状態に保たせるのが仕事、

だから恐怖や不安みたいな感情にならない様にしていた、

って事は?」


魔王は首を傾げて、

「って事はって…分かるか、

どうゆう意味だ」


「星や森や水を安定した状態を保たせる、

例えば水の精霊王が不安みたいな負の状態になると水が濁る、

星神が悲しみに襲われると、

その悲しいエネルギーが星中に充満する、

だからこそ、人々の生活に深く関わらない、

自分達が不安定になると世界も不安定になる、

そんな存在達が空から降ってきた厄災みたいな存在を、

排除や浄化なんか出来ないでしょ、

関わる事も出来ないし、

モンスターも倒せないんだから、

星神と精霊王達の存在意義はここで平常心を保ちながら過ごす事、

星の異変に気付いても何も出来ないから、

アタシを召喚して丸投げにした、

早く言えば問題が起きても何も出来ない役立たずって事」


魔王は口を開けて呆然としていた、

星神は悔しそうな顔で、

鼻血を拭きながら、


「サクラさん、役立たずって…

そんな悲しい事言わないで下さい」


魔王は星神に問う、

「星神様、今の説明であっているのか?」


星神は苦笑いをしながら、

「まぁ…そんな所です、

私達はいつも心を安定させて無いと、

世界に影響してしまうので、

魔王さんの意図にお応えできずに、

100年近く苦労させてしまって、

申し訳ありません」


星神は頭を下げて謝罪をすると、


魔王は頭を掻きながら、

「いや…

俺こそ勘違いで変な者をそちらの大陸に投げ込んでしまい、

申し訳ない事をした…」


サクラはパンッと手を叩いて、

「過ぎた事は仕方ない、

先を見つめて進もう、

さぁ〜ブラックドラゴンに会いに行くぞ」


そこにポータルから変な声がして来る、

「星神どいて、

僕もマスターに会いたいから」


星神はあたふたしながら、

「あっカーミーちゃん、ごめんね」


カーミーがポータルから出て来て、

サクラの前に飛んで行くと、

魔王はカーミーの姿を見て驚き、


「なっなんだ、ピンク色の仲間がいたか、

大きさが違うがそこの黒いのと同族だろ?」


カーミーはそこの黒いのを見て、

「やだな〜、一緒にしないでよ、

その子闇の存在だよね、

僕は100%光の存在だよ、

見た目も僕の方が可愛い、

おじさんの目は節穴なの?」


おじさんと呼ばれた魔王は「えっ?」と言っていたが、

そんな事も気に留め無いカーミーは、

「マスターずるいよ、

ユニペガちゃんだけ連れて行って、

僕だってマスターと一緒にいたい」


完全無視された魔王はキルに何かブツブツ言って、

サクラは魔王のその反応に笑いを堪えながら、

「カーミーちゃんは凄いな、

なんでユニペガちゃんが一緒って知ってるの?」


カーミーは偉そうな態度で、

「僕は何処に誰がいるか感知出来るからね、

でもユニペガちゃん何処にいる?

ここに居るのは確かなんだけど」


サクラの三つ編みがモソモソと動いて、

中からユニペガが出て来る、

「ハハハ〜流石に気が付かなかったか、

僕はここだ!」


「あ〜そんなに小さくなって一緒にいたのか?

ずるいよ、マスター僕も小さくして一緒にいさせて」


「カーミーちゃんが拠点からいなくなると、

悲しんでうるさくなる人がいるから」


サクラはそう言ってポータルを指差すと、

鼻血を拭いていたハンカチを口に咥えて、

悲しそうにしている星神がいた。


カーミーはそれを軽く見てから、

「あれは関係無いよ、

マスターと一緒にいたい」


目の前で起きている子供劇場の様な光景を、

魔王はどう反応して良いのか分からず、

「色々な者が登場して、

何が何だか分から無いが、

星神様の事は理解した、

お嬢ちゃん達がブラックドラゴンの所に行くなら、

俺が案内しよう、

多分お嬢ちゃんは勘違いしている、

ブラックドラゴンの所に行けば、

今まで起きた事全てが理解出来るはず、

そして俺からもお願いしよう、

この星を助けてくれ」


魔王は真剣な顔でサクラに告げるのであった。











読んで頂きありがとうございました( ̄▽ ̄)/

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