村人大移動準備をさせる オタク女子
サクラの拠点に行く為の準備をする村人達。
呆気なくミノタウロスを倒してしまったサクラ、
サクラは何故か暗くなり、俯きながら太郎の下に行くと、
太郎はサクラを肩車して森に入って行く、
それを見ていた長老タタンが、
「何だ、あの娘は、
倒したのに何故落ち込んでいるんだ?」
ノルが乾いた笑いを浮かべて、
「ハハ…なんか…
動物の死体を見るのが苦手らしいですよ」
タタンは呆れた顔になって、
「は?自分で倒したのに見るのが苦手?
やはりアホな娘なのでは?
お前達は良いのかあんなのについて行っても?」
そのタタンの言葉に村人が反論する、
「アホな娘であろうと、
治療をしてくれて、
見返りなど求めない、
それどころか、食べ物まで用意してた、
そして我々では倒せ無い様な巨大なモンスターを、
あんなに簡単に倒しちゃったんですよ、
私は家族を連れて行きます」
そこに長老達の家族が、
「おふくろも、俺が連れて行くからな、
他の長老の家族も同じ意見だぞ」
長老3人は顔を見合わせて、
複雑な顔をしていた。
そこにシェルパが、
「みんなさ〜
あの巨大な人形が出て来たのは気にならないの?
俺は初めて見た時、凄くビビったんだけど」
村人は、
「ああ、そうね」とか、
「それは驚いたけど…」などと反応が悪かった。
そこにノルの妹エミルが、
「シェルパさん、
あの人形の倍の大きさのミノタウロスを見た後だと、
特に大きいと思わなかった」
ノルの妹は50歳、
エルフの中ではまだ子供、
サクラと同じ位の身長で、
地球人で考えるとまだ小学生位だ、
そんなエミルの意見に、
周りも頷いている。
そこに太郎がやって来て、
「食べ終わったら、
食器をこの中に入れろ」
そう言いながら食器を回収して、
簡易シンク、ウォーターサーバー付きに入れると、
ウォーターサーバーから水を出して、
せっせと食器を洗い始める。
村人は興味津々で、
シンクとウォーターサーバーを見て、
太郎に声をかける、
「そんなに丁寧に食器を洗うのかい?」
「マスターの居た世界では、
これは普通、清潔にする事は、
病気も広めない」
太郎の返事に、
「俺達は水をかけて拭く位だもんな」
そんな雑談をしていると、
森から太郎の肩車されたサクラが戻って来た、
折れた木の修復が大変だったのか、
サクラは太郎の頭に顎を乗せて、
両手は力無くブラブラさせてる、
太郎がサクラを落とさない様に、
両足をしっかり掴んで、
ゆっくりと歩いて来た。
サクラは村人達にガン見されてる事に気付き、
片手を上げて、
「もう拠点に戻るから、
一緒に行く人は貴重品と、
いつも使っている道具とかも持って来て、
後、干からびてても良いから、
残った野菜とかも持って来て」
サクラの指示に、長老3人を残して、
村人達は慌てて村に戻って行った。
サクラはゆっくり太郎から降りると、
ミノタウロスを見ない様にしながら、
太郎に「村人達は何人位だった?」
「100以上は居たと思う、
所でマスター、何で元気無い?」
「いや〜マジ、あれは衝撃的でしょ、
あんな経験は前の世界では一生経験しないよ」
「それで、村人達は助かった。
マスター元気だして、
牛見たから牛が召喚できる、
牛乳でマスターの好きなのたくさん作れる」
サクラは急に明るい表情になり、
「そうだった、牛だよ牛、
バターたくさん作って、
クロワッサンも焼けるね」
そうサクラは単純だった、
思考を別の方向に向けると、
直ぐにいつものサクラに戻るのだ、
デッサン人形だった頃からサクラを見て来た太郎に、
上手く操作されているサクラ、
そんなやり取りを見ていた長老達は、
「おい娘、
ミノタウロスの事は感謝している、
それでこれからの事なんだが…
我々の家族も娘の拠点に行く決心をしてる様だ、
だから我々も仕方無くついて行く、
500年近く送って来た生活を、
ガラッと変えるのは不安もある、
だから拠点での生活については、
この年寄りの意見も少しは聞いて欲しい」
長老アルガがそう言って頭を下げた。
アルガに続いてタタンとストレンも頭を下げる。
そんな長老3人を見つめてサクラは、
「勿論、年寄りの意見は尊重するよ、
だけど、そこまで真剣に考え無くてもいいと思う、
モンスターの巨大化が落ち着いたら、
またこの村に戻って来れば良いんだし、
一時的な避難だと思って気軽に、
一生山に居なくても良いんだよ」
すると村長達は、
「そうか、そうだな、
また戻ればいいんだな」
まだ不安そうなタタンは、
「小娘はモンスターが巨大化した原因を、
知っているのか?
原因も分からなければ…いつ落ち着くのか」
サクラはいつもの能天気な顔で、
「原因か〜
それを調べるのも多分アタシ何だろな〜、
星神や精霊王達は原因については何も知らないからね、
ただ、星の状況が変な事には気付いてる、
ま〜焦っても仕方ないから、
山でのんびりしてなよ」
そんな話をしている内に、
村人達の準備も出来たようで、
ゾロゾロと村から出て来る。
ノルも大荷物を抱えて来て、
「マスター、山までどうやって行くんだ?
年寄りも子供もいるから、
そこら辺ちゃんと考えて下さいよ」
「ちゃんと考えているさ〜」
ニヤニヤしながらノルを見てから、
「スピード出さなきゃ良いんでしょ、
ま〜見ててよ」
サクラはノルにそう告げると、
街道に向かって目を閉じて、
「たくさんの人が乗れる、
地球での乗り物、
それは2階建てのオシャレなバス、
4台まとめて出て来い」
そうサクラが念じると、
オシャレな2階建ての電車の車両が4台出て来た。
サクラは車両を見て「ふぇっ」って変な声を出し、
「何じゃこれ〜
1階は電車で2階部分がバスになってるじゃん」
太郎も車両を眺めて、
「マスター、バスにするには、
見て無い素材が、あるのでは」
「はっ」としてサクラは太郎に向き直り、
「それだ、何だ見て無い素材?」
サクラは車両を見回して、
「だいたい、電車は線路が無いと走らない、
線路?あああ〜タイヤだ!ゴム見て無い、
あれ?リヤカーの車輪ってどうだった?」
そう言いながら、リヤカーの車輪部分を見て、
ケラケラ笑い出す。
「車輪の部分木だよ、馬車ぽくなってた〜
ちょっとだけ馬車?笑える」
そんなサクラを見ていたノルは、
不安を拭えないでいると、
突然サクラが、
「ノル靴の底って何で作ってる?」
ノルはキョトンとした顔で、
「靴の底?
確か何かの樹液だったと思うけど」
サクラはノルの靴を持ち上げて、
靴の底を指で触って見る、
「ちょっと硬いけどゴムだな」
サクラは車両を見ながら、
「車両は、このままでいいか、
車輪の部分だけ大きめのタイヤ…
4だっけ?8か?
まぁ〜多ければ間違い無いでしょ」
それから目を閉じて念じると、
タイヤが付いた電車の出来上がり、
勿論太郎が引っ張って行く為のハンドル付き、
「さ〜みんなこれに乗って、
荷物は4番目のバスに乗せれば良いから」
そう説明しながら村人を見ると、
大人達はバスもどきを口を開けて呆然として見ていたが、
子供達はバスもどきに乗れると喜んでいる。
馬車にも乗った事の無い村人達は、
戦々恐々とバスもどきに乗って行く、
車内には2階に上がる階段があり、
子供達は楽しそうに登って行き、
2階の席を陣取っていた。
最後部にはトイレもつけてあり、
村人達が初めて見るトイレに、
「これは何だろ?」などと首を傾げていた。
サクラは4番目のバスの横で、
「壊れやすい物はここに乗せて、
他は車内にいる太郎君に渡してね」
などと指示を出していると、
フィーが疲れた顔で戻って来た。
「ミノタウロスの解体終わったよ、
肉は全部アイテムボックスに入れたけど、
頭はどうする?」
サクラは恐ろしい物でも見る様にフィーを見ると、
「なっなっなんで、そんな事聞くの?」
「あれ?ミノタウロスの頭って貴重品じゃなかった?」
「そっそっそんなの知らないよ」
「だって、サクラは錬金使えるって言って無かったっけ?」
サクラの横で荷物運びを手伝ってたノルが、
「確か薬の材料になるって聞いた事あるな、
うちの村には錬金術師は居ないから詳しい事分からないけど、
ジルさんとシェルパさんなら知ってるかも」
そう言って一緒に荷物運びを手伝ってた、
ジルとシェルパを見ると、
「俺達も詳しい事分からない、
何度かモンスターの素材を町に売りに行った時に、
ミノタウロスの頭は薬の宝庫だって聞いただけだ、
持ってた方がいいんじゃね」
サクラはみんなの話に顎をガクガクさせながら、
「そっそんな、生々しい物を、持っていろと?」
冷や汗を流しているサクラを見て太郎が、
「マスター、布でぐるぐるにする、
入れる時も、出す時も全部私達がやる、
だから大丈夫」
サクラは太郎を見つめて、
「太郎君…分かった、一応持っておく」
フィーが呆れた顔をして、
「じゃあ、あっちのジャンボ太郎に伝えておくよ」
そう言ってフィーは飛んで行った。
「頭って何に使うんだ?
日本じゃ牛の脳って食べちゃ駄目って聞いてたけど」
ノルが首を傾げながら、
「モンスターって捨てる所無いって聞いたけど」
ジルが頷いて、
「そうだな、素材は全部使うな、
今朝のスネークだって、
太郎が全部アイテムボックスに入れてたぞ」
ジルの話にギギギと聞こえそうな首の回し方で、
サクラが振り向いて、
「なんて言った?あの頭も入ってるの?」
「入ってるな、スネークの頭も確か…
傷を治す…ポッポッポーなんとかってのを作る」
「それってポーション?」
「そうそうそれ!」
サクラはガックリと肩を落として、
「この世界にポーション有ったんかい!
何で知らないのさ…
他のエルフ達と、全然違う生活送ってる?」
ノルが
「ここは1000年変わらない生活を送ってる、
エルフの本質は森と共に生きると聞いてるな」
「森と共には良いけどさ、
良い物は取り入れてこうよ、
ポーション有ったら傷治せたじゃん」
シェルパが肩をすくめて、
「まずこの村には錬金術師がいない、
ポーション買えるお金も無い、
お金をたくさん得るには、
エルフの王政に加わる必要がある、
それは自由が損なわれるという事で、
ポーションは買えない」
サクラは顎に手を当てて、
真剣な顔になり、
「何で、お金をたくさん得るのと、
王政が何で関係あるの?」
「ここら辺でモンスター狩って、
素材を売っても対した金にならない、
塩や胡椒を買ったら金も無くなる、
稼ぐなら商人とかにならないと稼げない、
商人になるなら、町で暮らす事になる、
町に住むには…家賃と税金を国に払うって聞いた。
それって王政に加わるって事だろ?
ノルのが詳しいんじゃ無いか?
町からこの村に移って来たんだから」
ノルはシェルパを見て苦笑いをして、
「あまり詳しく無いよ、
オヤジは、この先の町の兵士だったんだ、
母さんを守る為に兵士になったんだけど、
ある時ビックバットが群れで町に入って来て、
凄い騒ぎになったんだ、
オヤジは母さんと俺を守る為に帰って来たかったけど、
兵士の仕事は町と領主を守る事だって言われて、
帰れなかった、
母さんは俺を守る為にちょっと怪我をしちゃって、
オヤジが帰って来て、
母さんの怪我を見て、
俺は何の為に兵士になったんだって悲しそうにしてたよ、
そんな事があってから、
母さんが妹のエミルを妊娠して、
この町に居たら家族を守れ無いってオヤジが言って、
ここに移って来たんだ、
だから町での生活はあまり良い印象は無いし、
家賃や税金の事もよく分からない」
「ノルも色々大変だったんだね…
多分だけど…税金は兵士のお給料とか、
町の修繕費だと思う、ああ領主って人の給料もか、
町を守るのもお金がかかるんだよ、
あれ?ここは魔法が使える世界じゃん、
町の修繕とかは魔法で何とか出来るか」
ノル達は呆れた顔でサクラを見て、
「魔法ってさ、攻撃魔法だけだよ、
馬車とかは自分の手で作るのが常識さ」
ジルがやれやれみたいな態度で言って来た。
何が言いたいのか、
何と無く分かったサクラは、
(アタシだってスキルが多すぎるは、
どれが魔法で、
どれがクラフトなのかも理解して無いんだよ、
教えてくれる奴も居ないから苦労してるのに…
ここはスルーで)
「何が言いたいのか分からないけど…
アタシはこの世界の事、
な〜んにも知らないんだから、
大目に見て欲しいね」
一同唖然とする、
サクラに出会ってから、
常識から逸脱してる出来事だらけで、
どう突っ込んでいいのか分からない、
そんな場が静まり返った時、
長老タタンの怒鳴り声がした。
「小娘、いつまで待たせるんだい、
こっちはもう準備出来てるんだよ、
そこでお喋りしてないで、
早くしておくれ」
サクラはタタンを睨みつけると、
「何だ、あのババア、
行く気満々じゃん、
ちょっとむかついたから、
スピード出しちゃおうかな〜」
サクラの呟きにノル達は青くなり、
声をかけようとしたが、
サクラはスタスタと行ってしまった。
そこに荷物を乗せ終わった太郎が降りて来て、
「お前達も早く乗れ」
ノル達にそう言って、
親指立てて、ニヤリと笑う。
読んで頂きありがとうございました♪




