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価値

「何よ。私が悪いみたいじゃない。別の支部から職員が来る事なんて聞いてないし。話さなかったゼンさんが悪いんだから」


「ゼンさんは止めて、ここでは所長と呼んでください。一応、持ってきた物を確認しましたが、一つは未発見の文字だと思いますよ。オークションとして増やすのなら」


 ゴイゼン所長は無数の本を抱えていた。異界から発見された書物なのかもしれない。それを【妖艶】がゴイゼン所長に【鑑定】してもらったんだろう。


 彼は元学者であり、所長になって機会が減ったとしても、【妖艶】が持ち込む事で、調べる事は出来てそうではある。


「……あげるわよ。オークションの品じゃなくて、祭の出品物だから。先に私が高値で買った物だし」


「それは悪いよ。せめて、後から代金を」


「所長の給料で払える値段じゃないから。学者時代も全然なかったよね?」


 嫌がらせというのが、異界の素材の大量の持ち込みだとしたら、明らかにゴイゼン所長のためだな。


 組合の若い子達も苦笑いしながら、二人のやり取りを見てる。


 オジサン職員もそうだ。ゴイゼン所長が寮母のハンナさんに好意を向けてるのを知ってる分、申し訳ない顔をしているように見えてくる。いや……逆に【妖艶】を応援してるオジサン職員もいそうな感じだ。


「うっ!! それを言われると……他に何か別に頼み事があれば引き受けるよ」


「所長……そんな安易に言わない方が。私達は【鑑定】をするのは好きだし、教えるのも嫌いではないですけど……」


「今回の仕事でチャラだと」


「始業時間もありますし、御二人に教える事も」


 アキテール支部の仕事もあるのだから、職員からしても負担は減らしたいわけだ。


「それなら……今日一日借りていい? それと開店しても、【鑑定】の指導をしてやってよ。コイツにも簡単な【鑑定】ぐらいは教えてやれるから。そっちの仕事のためにはなるでしょ?」


「……はっ!?」

「えっ!!」


【妖艶】が選んだのはフレアじゃなく、俺!?


 フレアだったら、オークション関連の話をするとか、納得する理由はあるのに? しかも、腕を組んできたのはゴイゼン所長に見せびらかすため……じゃないよな?


「ちょっ……ゴイゼン所長!! そんな事は駄目だと言ってくれないと駄目だから。レイさんも拒否しないと」


 俺よりも先にフレアが反対してる。流石に初日から一人にさせるのは可哀想ではあるんだが……


 ここはゴイゼン所長やオジサン職員達も反対してくれるはず。

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