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【十字軍】

「……俺としては、彼女がいない方が楽だからな」


 流石に【黒猫】の正体が彼女なのかを所長に尋ねるのは止めておこう。所長は素直に答えそうな気がする。


「それと【殺戮】を連れて来れなかった。そこは謝っておくぞ」


 今は【道化師】として来てる以上、職員とその上司みたいに敬語を気にする必要はなし。


「彼女の性格……【無法者】メンバーが素直に来るとは思ってないさ。来てくれるならラッキーと思う程度だったよ。勇者を……【黒猫】を助けてくれただけで十分だ」


 所長も【殺戮】が来るとは思ってなかったようだ。ジェフも【無法者】と付き合いはあったからな。


「それより……大丈夫か? 顔色が……目にクマが出来てるぞ」


 所長の寝てないのか、顔色が悪く、目にクマが出来ている。美人秘書なら、無理矢理でも休ませそうだが、そんな状況でもないんだろう。


 早く終わらせるために、同席しなかった可能性もある。


「気にするな。これは当然の報いだ。お前達を危険な目に遭わせただけじゃなく、意味のない事にしてしまった。【道化師】として呼んだのは、その謝罪もある。彼女の回復次第、謝罪と共に報酬もきちんと払うつもりだ。勿論、俺が治療代も払う」


 所長は俺に頭を下げる。


「いや……アレは所長のせいじゃないだろ。本部がやった事だ。何も聞かされてなかった事は分かる。本部直属の精鋭部隊【十字軍】の一人、【剣聖】が来てたぐらいだからな。どうしようもない。【剣聖】なだけ、ましだったよ。下手に【聖典】が来てたら……」


「【殺戮】とヤバい事になっていたかもしれないか。どちらにしてもだ。本部が【剣聖】の部隊を送っていた事も問題だからな」


 俺達が異界【廃坑】から脱出したところから、話を思い出そう。


【殺戮】が見つけた【廃坑】のもう一つの出入り口を使い、外に出た。


 その出入り口は階段等なく、一直線に穴が開いているだけ。広さ的には人が二人入るぐらい。


 浮遊魔法での移動。もしくは、上にロープを垂らしての移動になる。


 あの時は俺が【殺戮】を抱え、【黒猫】がネスティスをおぶった状態で、【殺戮】が浮遊魔法の【フライ】を使用。


 逃げた謎の人物も、【フライ】か別のスキルを使用して、ここから出入りしていたはず。


 そこで待ち構えていた奴等がいた。


 コング兄弟達や異形同士を同化された人物……ではなく、協会のマークを付けた鎧をした集団だった。


 その集団が、出てきた俺達に剣を向けていたわけだ。


 そこに【剣聖】もいた。【剣聖】は【無法者】のメンバーを知っていて、俺や【殺戮】も【十字軍】の事を知っていた。


【十字軍】はハンターではなく、本部だけが持つ最強の精鋭部隊。


 ゴブリンキング戦でも参加して、共闘もした事もある。それだけでなく戦闘も……


 ハンター同士の私闘は禁止されているわけだが、【十字軍】はそれに該当しないようになっている。

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