n014;銃器屋
徐々に記憶が復活したデリンジャーは、試合の続きを辞退した。
死闘より、生命が大事だと、気づかされたらしい。
私も力加減を学んだので、良かった。
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本日の天気は曇り。だが、私は散歩に出た。それが趣味というもの。
町の出入り口の一つで、バレッタと会い、少し雑談する。
「お前、ちょっと前、お前んトコの魔族と、戦ってたろう? 町の外で」
「戦いたかったんだとさ」
「やっぱりノロに間違いなかったか。大丈夫だったのか?」
「ン……? ああ――それより、その腰にぶら下げているもの」
「これか? 俺が冒険者になったときから世話になっている銃だ。まあ今じゃあ、ゴボルト相手ぐらいしか、役に立たないがな」
ごぼると……って何だ? ゴボルト……、5ボルト、5V。電圧か。確か前世でのUSBだかICだかは5Vの規格だったか? けれども、この世界に電子回路があるとは思えない……また、私の勘違い、か。
「町の名はガンタウン。銃の売買も盛んかと思いきや、全然だ。今は、どこで入手できる?」
「銃器か?」
「もちろん」
「そうだな。案内してやる」
「ヒマなの?」
「いやいや、仕事の合間の休憩時間を、お前さんのために使ってやろうというんだよ」
「サンキューだね」
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トコトコ歩いて数分間。
「ここだ。今じゃあ、この町で銃器屋と言やぁ、ここしかねえ」
扉を開ける、ガチャコーン。
「いらっしゃい」と、親父さんが迎える。
「武器屋のオッチャン、この子が銃に興味があると」
バレッタ、私を前に差し出す。
「へぇ、それはそれは」
「じゃあ、俺は仕事があるから、戻るぜ」と、バレッタ。
「ありがと、バレッタ」と私は言うと、
「俺の名前は、ベレッタだからな、そこんところ、間違えんように」
と、捨て台詞を残して去っていった。未だに名前を間違う。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。【銃器屋】
「ガンタウンという名前の割に、銃器屋はココだけかい?」
「そうなんだ。銃についての知識は、この近くのロンブローゾ宮殿で発掘されてな、昔は銃職人も今よりたくさんいたんだが……、今ではこのとおりさ。――で、お嬢ちゃん、入用の品物は?」
こじんまりした、店内を見渡す。
壁には、数種類の銃器が、掛けられていた。
見たところ、拳銃ならばリボルバー、ライフルならばボルトアクションライフル、――その2種だけが置いてあるようだった。(オートマチックピストルや、サブマシンガン、アサルトライフルなどなどは、なさそう)
※※※※ 大雑把な銃の説明。箇条書き ※※※※
※ 「拳銃」とは、片手でも撃てるぐらいのサイズの銃ね。手のひら大サイズ。大雑把にいうと。
※ 「リボルバー(拳銃)」は、回転式拳銃のこと。弾倉(弾を詰め込むところ)が、レンコンのような形になっている。
※ 「ボルトアクションライフル」は、一発撃つたびに、ガチャコン、ガチャコンと、ボルトというかレバーというか、それを引いたりしないと、いけないタイプね。だから、連射は苦手。
※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※
それらを一瞥してから、聞く。
「店主、この店には、リボルバーとボルトアクションライフルだけかい?」
すると、喜び混じりの驚きを浮かべた、店主が言う。
「こりゃ、驚いた。嬢ちゃん、見た目の割に、通だねっ」
それだけで、通と呼ばれるとは。
「んで?」、先を促す。
「そう――、昔はもっと色々な試作品があったんだけんどなぁ。ぶっ壊れやすくてなー。残ったのは、堅牢な、この2タイプだけさ。ま、タイプは少なくとも、銃自体は色々あんだ。じっくり見てくれ」
「そうか」
「それとも、ワシが、お嬢ちゃん用に、見繕うか?」
「お嬢ちゃんと言うのは、よしてほしいな。私の名前はノロだ」
「ノロか。いい名前だな。ノロ……ノロか、……最近、聞いた名だな」
「オッチャン、ここに試射場はあるかい?」
私は、いくつかの銃を手に取った。ライフルにいたっては、私の身長か、それ以上の大きさのものもある。
「ワシも名乗ろうかと思うが名乗るほどの者でもなし。銃器屋のオヤジとでも呼んでくれよ」
「ああ、それは分かった。で、試射場は?」
「試し撃ちか? 外に的がある」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。【試射場】
そこは、ただの平地だった。
壁などはない。見渡しが良いから、誤射することはなさそうかな、くらいのもの。
心配そうにオヤジは言う。
「でな、銃ってのは、分かってると思うが、弾を消費するのヨ。だからな、あまり無駄打ちをするとな、ワシの涙の量は――」
愚痴っておられる。
つまりは金銭の問題だろうと思い、私は先に金を提示する。ジャラリ。
「試射は大事なんだ。試射に弾をケチってはいけない」
「へ……は、ああ……これは?」、戸惑うオヤジさん。
「まずは弾代だ。銃の代金は別途、払う」
「こんなに? ハッハッハ、オーケーオーケー、お好きに」、笑うオヤジさん。
金の心配は吹き飛んだらしい。
だが、次に、身の心配をはじめた。
「ちょ、ちょちょちょちょちょちょちょっと!!」
「なんだー? チョウチョウなんて、どこにも飛んでやしないよ」
「そんなお花畑ではなくてな。キミの持ってるそのリボルバー、50口径……って言っても分からないか。大きすぎだ。反動がデカくて、銃がオデコにコテンコするぞ。危ない、やめやめ、もっと小柄な銃が良いだろう? ホラ、こっちはどうだ?」
と、差し出されるのは、一回りも二回りも小さいリボルバー。
「そう言うなら、いったんは素直に従いましょ、っと」
オヤジさんから、そのリボルバーを奪い取って、即、発砲。もちろん、人のいない方へ撃った。的にも当たらない。
パシューン!
「……物足りない」。
発砲音も弱々しい。サイレンサーをつけてのステルス目的にはいいかもしれないが。
「ヒューッ……、お客さん、随分、手慣れているね? 素人とは思えませんな」
「素人さ。今度はコイツ」
先ほどの、わりと大きめのリボルバーに持ち替えて、撃つ。
バズウゥン!!
今度は的に着弾。できたてホヤホヤの弾痕が見える。なにしろ、運動エネルギーが熱エネルギーに変わったばかりだから、ホヤホヤあったかい。
オヤジさん、一言。
「よく、腕がブレんもんだなぁー。嬢ちゃん、細腕の割に、筋肉がしっかりしてるね?」
「だから、お嬢ちゃんじゃない、ノロだってば」
「失礼、失礼。で、ノロちゃん、ボルトアクションライフルも撃ってみるか?」
「そうしよう、この機会だからね」
ボズゥン! ガシッガシッ カチャン カラカラッ ボスボスッ
「どうも、合わない」
私は、ボルトアクションライフルの操作が、スムーズにできなかった。なんか、壊れそうで。
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ボルトアクションライフルは合わなかったので、いくつかのリボルバーを試し撃ちしながら、オヤジさんに尋ねる。
「一番、破壊力のあるリボルバーって、さっきのヤツかい。もっと威力のあるの、ない?」
しばし、沈黙してから、答える。
「あるには、あるんだが……」
「じゃあ、撃たせて」
「ひっ……、いや、とんでもねぇ」
恐れるオヤジ。
「なに?」
汗を垂らしながら言う。
「ワシの友人がな、その銃を撃って死んだんだ」
「自殺……か」
「違う、違う! 事故だ。事故死。勘違いしないようにハッキリ言うが、その友達はな、別に被弾していない。銃の反動だけで死んだんだ」
「反動だけ? 当たりどころが悪かったのか?」
「……かもしれんが、そんなモンじゃない。撃ったと同時に、まるで、銃を中心に爆発でも起きてるんだ。アレは、特別だ……」
「爆発くらいで死ぬもんかね?」
「死ぬときゃ死ぬもんだ、ノロちゃん。……ヨシ、いい、見せてやろう」
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■要約
・ベレッタに案内されて銃器屋に。
・ハイパワーなリボルバー拳銃があるらしい。




