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第八話:討伐隊、来襲!……のはずが?

第八話:討伐隊、来襲!……のはずが?

「グラド帝国の軍を一人で退けた『白銀の破壊神』……。その正体は、いたいけな少年を装い、無垢な獣人たちを洗脳する恐るべき魔神に違いないわ」

獣人の集落を目指し、街道を突き進む二人組の影がありました。

一人は、聖剣を腰に差し、正義感に燃える瞳をした伝説の勇者・レオン。

もう一人は、神の代弁者として名高い、清楚可憐な聖女・クラリス。

「レオン様、油断しないでください。報告では、将軍の重装甲を『握手』だけで粉砕したとか……。邪悪な魔力のなせる業に違いありません」

彼らは、かつてない強敵との戦いを覚悟し、決戦の地へと足を踏み入れました。

「恐怖」の破壊神、その実態

「……ふんふんふーん♪」

その頃、凛は集落の子供たちと一緒にお花畑を作っていました。

そこに、殺気立ったレオンとクラリスが乱入します。

「そこまでだ、魔神! その穢れた手で子供たちに触れるのは――」

レオンが叫び、聖剣を抜こうとした瞬間。

振り返った凛の姿を見て、二人は凍りつきました。

「あ、こんにちは! また新しいお客様ですか? 今日は賑やかだなぁ」

凛は、泥だらけの手で(といっても彼の肌は汚れすら弾くのですが)、満面の笑みを浮かべて手を振りました。

その背後には、以前よりもさらに「ナイスバディ」に磨きがかかり、凛を執事のように見守る紅が、冷ややかな視線を勇者たちに送っています。

「(……っ! なんて恐ろしいプレッシャーだ! あの紅髪の女、ただ者じゃない! そしてあの少年……魔力が、魔力が見えない!? ゼロ……いや、無限すぎて観測できないのか!?)」

勇者レオンの額に、冷や汗が流れます。

「覚悟しろ! 我が聖剣『エクス・カリバーン』の錆にして――」

レオンが踏み込もうとした瞬間、足元の小石に躓きました。

伝説の勇者らしからぬ失態。しかし、その瞬間、凛が超高速で動きました。

「危ないっ!!」

シュパァァァン!!

「え?」

レオンが気づいた時には、凛に抱きとめられていました。

凛は、勇者が倒れて怪我をしないよう、光の速度で移動し、その柔らかな腕でがっしりと(実際は鋼鉄の万力並みの力で)レオンをキャッチしたのです。

「大丈夫ですか? 剣なんて危ないもの持ってるから、バランス崩しちゃったんですね。怪我はない?」

「あ……あ……」

レオンは驚愕しました。

(今、俺の動体視力ですら追えなかった……。それに、この腕の硬さはなんだ!? 聖騎士の盾よりも硬いぞ!?)

聖女の「真実の眼」が見たもの

一方、聖女クラリスは、凛の正体を暴こうと、万物を見通す『神の真眼』をその目に宿しました。

「魔神め……その化けの皮を剥いで……。……え?」

クラリスの視界に映ったのは、どす黒い魔気ではありませんでした。

凛の魂からは、見たこともないほど澄み渡った、黄金の慈愛の光が溢れ出し、世界を包み込んでいたのです。さらには、彼の背後に、これまで彼が救ってきた数多の魂たちの「感謝の祈り」が、幾千もの後光となって輝いていました。

「……あ、ああ……。な、なんて神聖な……。この方は魔神どころか……『神』そのものではありませんか!」

クラリスはその場に崩れ落ち、祈りを捧げ始めました。

「ええっ!? 神様じゃないですよ! 僕はただの……」

「黙れ、偽勇者レオン! この御方の御手を煩わせた罪は重いわよ!」

「ええっ!? クラリス!? お前、何を言って――」

「さあ、聖下! どうかこのクラリスを、あなたの末席に加えてくださいませ!」

「……あるじ、この女、焼き払っても?」

「紅、それだけは本当にやめて!!」

討伐に来たはずの聖女は一瞬で信者(重症)になり、勇者はあまりのレベル差に戦意を喪失。

凛の「最強無自覚ライフ」は、ついに伝説の英雄たちをも巻き込み始めました。

女神の独り言

「凛……。伝説の聖剣を『危ないもの』扱いして、聖女を『信者』に変え、勇者を『介抱』する。……もう、あなたの行動一つひとつが世界の勢力図を書き換えていることに、いい加減気づいてください。無理でしょうけど」

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