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プロローグ

また、お会いしましたね

白い、何もかもが透き通った世界。

そこには、一人の女神が深い溜息をつきながら立っていた。

「……また、貴方ですか」

その視線の先には、一人の少年がいた。

名は、凛。

色素の薄い柔らかな髪に、大きな瞳。女の子と見紛うほどに愛らしい顔立ちをしているが、その体は今、ボロボロの炭のようになっていた。

「女神様……すみません。また、やられちゃいました」

凛は気まずそうに、けれど少しだけ誇らしげに笑った。

今回は、住処を追われた魔族の子供を庇って、神殿騎士団の放った極大聖魔法を正面から浴びたらしい。

「何度……他人の為に命を落とせば気が済むのですか。これで……もう、数えきれない程の死を経験しても、何故?」

女神の問いに、凛は不思議そうに小首をかしげた。

「……僕が、弱くて無力なヒューマンだから、かもしれません。でも、僕の命も誰かに救われた命なんです。だから、見捨てられなくて」

彼は本気でそう言っている。

自分が、先ほど浴びた「神の裁き」にすら適応し、もはや聖属性攻撃では髪の毛一筋すら傷つかない体になっていることに、微塵も気づいていない。

「……凛、あなたは自分のことを『無力』と言いますが」

女神は呆れを通り越し、もはや祈るように告げた。

「今のあなたは、あらゆる毒も、魔法も、剣も通じない。レベルということわりさえ置き去りにした存在なのですよ?」

「えっ? いやいや、そんなはずありませんよ。だって僕、さっき死んだばっかりですし。次は、もう少し丈夫な体に生まれて、もっとたくさん人を助けられたらいいな……」

凛の意識が、新しい生へと吸い込まれていく。

女神は、その背中を見送りながら、最後に少しだけ悪戯っぽく微笑んだ。

「いいでしょう。ならば、その『願望』を叶えて差し上げます。……もっとも、あなたは既に、世界で一番『丈夫』なのですけれどね」

――次に目覚めた時、彼は知らない。

自分が、指先一つで山を砕き、魔王を震え上がらせる「歩く終焉」へと至っていることを。

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