表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名無し令嬢の身代わり聖女生活  作者: 音無砂月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/27

22

「ここまで来れば大丈夫かな」

どさくさに紛れて何とか逃げ出せた。

「どうしよう」

死にたくない一心で逃げ出したけど私が今いるのは森の中だ。

薬の過剰摂取で体調も良くない。森の中を下手に動き回れば遭難するし、もしかしたらまだ魔物がいるかもしれない。でも、戻ったところで処刑だろう。

当然だ。

聖女を偽るなんて大罪だもの。きっと公爵たちは私を切り捨てる。ならば、まだ生き残れる可能性のある逃亡を選択するしかない。

一緒に来た騎士の人達には迷惑をかけることになるけど、ディランには私が偽聖女だってバレているから問題はないだろう。きっと軽い罪ですむはずだ。

「気持ちが悪い」

足ももう殆ど動かない。私は偶然見つけた洞窟の中に入って休むことにした。

何の準備もできていないうえでの逃亡なので当然、水も食事も暖を取る為の道具すら持っていなかった。

私は体を丸めて少しでも寒さから逃れようとした。


◇◇◇


ふわふわ。暖かい。

はっと目を覚ますとまず先に目に入ったのは真っ白な毛皮。

「えっ」

体を起こして見てみると三メートルぐらいはある大きな狼がまるで子供を守るように私を包んでいた。

危険な感じはしなかった。だからこのまま休ませてもらおうと思い、私は再び目を閉じた。


◇◇◇

ディラン視点


「ホロ」

『ディランか』

逃げるとは思わなかった。大人しかったから。それにそんな体力も残っていないから。油断した。事後処理に追われて少し目を放した隙に逃げられた。

遠くには行けていないはずだと痕跡を辿ってここまで辿り着いた。

するとなぜか聖獣であるホロが聖女アニスを守るように寄り添っていた。

「なぜあなたがここに?」

『清らかな魂に導かれた故だ』

聖獣が惹かれるほどの清らかな魂。彼女は下手したら罪人として裁かれるかもしれないのに。聖獣に好かれたとなればそう簡単に裁くことはできない。

そもそも聖獣は罪人の味方はしない。

これは面倒なことになったな。

「連れて帰っても?」

『構わんが、かなりの毒物が体内に入っていたので浄化をしておいた』

恐らく魔力回復薬と増幅薬のことだろう。

厳密に言えば毒ではないが、適正量を大幅に超えて摂取していたので毒になってしまったのだろう。

「ありがとうございます」

深く眠る聖女アニスの顔色は逃亡前よりも幾分か良くなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ