え? うん。危機、大回避っ!!
『ピッ……ピッ……ピピピッ……
ブーーーーーー!!
終ーーー了ーーーーーー!!!
閉会式を行いますので、戦闘継続が認められていない生徒は直ちにグラウンドへ集合してください。
繰り返します。閉会式を–––––––––』
その放送が流れたのは、俺がドラゴンを倒したのとほぼ同時だった。
「ふぃ〜〜〜……あーー終わったぁ……」
地面に寝転がって伸びをするのは、何故こんなにも清々しいのだろうか。
何も考えずにただ休めるからだろうか?
どうでもいいけど。
「本当〜疲れた〜〜。ほぼ何もしてないのに凄い疲労感だよ〜。ユウマ魔力取りすぎ〜」
「マジで。二重の意味で終わった〜」
「うん?」
「ま、仲良く『退学』か〜、不合格だもんな」
嗚呼、空が紅い……
カラスの鳴き声がより一層 アホー に 聞こえる。
ふははははっ……笑うわ……もう、笑いしか出てこんわ……
今目元を抑えてるのも、笑いによるものだ。うん。
「え、ごめん退学ってなんの事、かな? ちょ〜っとわかんないな〜……」
現実逃避か?
悪くない選択肢だ。俺もそうしよう。
ほんと、
そんな真っ青な顔しちゃって。
動きが鈍いぞ。錆びついた機械かっての。
俺は目を手で覆いながら、笑いを含んだ声で告げた。
「あのな。さっきから点数加点音が鳴らないんだわ。
待ってるんだけど。
聞き逃したかなぁ〜? なんて確認してみましたけどね……ふふふっ。
確認してみ?
ドラゴンって、『スカキャラ』だったぽいですよ?」
「……きゅぅ…………」
あははっ
俺も気絶したいよ、ほんと。
俺の元の点数『81点』
現在の俺の点数『81点』
結果
ドラゴンの追加点数『 0 点』
シャレになんねぇってマジで……
「よっ」
妙にバキボキ言っている体を無理矢理起こし
「よっこいせっと」
気絶したハルを背負う。
閉会式はでとかんとなぁ……
つうか、退学かー……
どうしよ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後、山から何百人もの生徒が下山し、戦闘継続組が帰ってくるまでグラウンドで俺たちは待たされ
結局、閉会式が行われたのは夜になってからだった。
《やぁやぁ皆んなおっ疲れーー! ……じゃなかった!
「別にその喋り方でも違和感ありませんが」
「こういうのはけじめだって! ちゃんとするときはちゃんとすんの!」
えっふん!
諸君! 入学試験お疲れ様だ。
結果はどうだったかな? 合格点までは届いたかい?
残念ながら、98点でも99点でも不合格は不合格。
今年中に再試験などは一切行わない。
不合格の君たちには悪いが、また来年、この学院の試験を受けてくれたまえ》
やっぱりなぁ。
でもやっぱりあれはないだろ。
負け確キャラか?
誰も勝てる訳ないから、ポイントも入ってなかったとか?
《そして合格者諸君!
改めてラギア魔法学院入学おめでとうっ!?
私、理事長である ヘラ・アフラン・アヌビと、この学院の教師、在校生が君たちを歓迎する。
ささやかだがこちらで祝いの席を用意した。
今日は多いに飲み食い、騒ぎたまえ!
そして恒例の……MVPの発表でーーーす!!》
一気に声に威厳がなくなったな。
舌を出し横ピースをしている姿が頭に浮かぶ。
《「恒例? MVPの発表など聞いたことが……」
「あっ、ちょっダメだって。シーー!」》
グダグダだなおい。
《ではでは! 本日のMVPは……》
スピーカーからジャカジャカジャカというリズムが流れ出し
夜の空からスポットライトのような光が降り注ぎ俺たちの周りを動き出す。
《この 、 方 、 ですっ!》
ジャン!
耳につくリズムが鳴り終え
俺 (+ハル)にスポットライトが当たった。
あれ?
《ではMVPのお二人さん! 壇上にどうぞっ!》
「あ、え、あ、は、はい」
訳わかんねぇな。
俺たち不合格じゃないのか?
ちょ! 寝返りうつなって! 背中に当たってるんだよ!
なにがとは言わないが。
なるべく急いで壇上に上がる。
《MVPおめでとうお二人さん。荒杭 勇魔君に、小寺 春花さんだね?
諸君!MVPに選ばれた二人に拍手を!》
俺たちに惜しみ無い盛大な拍手が送られる。
うわぁーー、なんかあがるな〜
俺あがり症なのか?
わかんねえけど。
基本褒められるようなことしたことなかったし。
《さて、では少し。MVPに選ばれた理由と行こうか。
まずは勇魔君、春花さん
ごめんなさい 》
うん。
いきなり謝られても困るんすけど。
《今回はこちらの不手際で、君達には無体をしいてしまった。
君達が戦い、勝利したあの竜「クレイブル・ドラゴン」は、本日行われていた三年の卒業試験に出されていたはずの魔物なんだ。
今回の受験に出されるはずじゃなかった魔物。
だから当然、ポイントは設定されていないし
システムが反映されていないから、魔物を殺してもその魔物のポイントを受け継ぐこともしない。
強力なだけ強力で、ポイントは給付されない。
大変だったろうに。時間も大量にくったろうに。
それのせいで不合格?
そんなことは認められない! 君達はそれ相応の対価を受け取るべきだっ!?
そう考えて、MVPに君たちを選んだ。
MVPに与えられる商品それは!
膨大なポイントの贈呈!
計・50000ポイント!?》
周囲に動揺が走る
それもそうだろう。
なんてったってその数字は
《そして! 》
男性教師二人がガラガラとホワイトボードを壇上へと引っ張ってくる。
その数字は、俺とハルで半分ずつにしても
《これにて一定ポイントに到達! 生徒ナンバー09872 荒杭 勇魔・ナンバー10753 小寺 春花》
バンッというでかい音がなり、ホワイトボードに一枚の紙が貼られた。
《これより二人は、異例の受験終了から即、初の『2年生』への昇格を許可します!?》
二人で分けても、25000ポイント。
それはつまり。2年生昇格の条件である、20000ポイントを、超えてるわけで……
てぇっ!
「「えぇぇええ!!」」
驚愕の声がハルと重なる
てかお前起きてたのかよ!?
落とすぞ!
《おめでとう! 君達のような例は初めてだ。これは歴史に残る事だろう》
球体のスピーカー装置の中から聞こえてくる拍手の音をきっかけに
拍手喝采は伝染し
ある者達は「凄えぞ!」「ありえねぇ!」などと叫び、ある者達はピーピーと口笛を吹き、あの者達は盛大に拍手し
ワッといった俺たちに向けられた巨大な歓声はグラウンドを揺らした。
マジかよ……
って……
あれ……なんだ……いつもなら
テンション上がってくるシチュエーションの筈なのに……
体がグラグラして瞼が物凄く重く感じる。
あぁ、やばい……
手に力を入れてられずにハルを落とす。
「きゃっ」とか「わっ」とか言ってるが構ってられない
体が面白いぐらいにグラングランと前右後ろ左と回り始める。
あぁ…………も……無理…………
『龍化による反動じゃな。今回は初めてで身体自体をほぼ改造したからの、余計じゃ。
まぁ、たいていの事では起きんから、ぐっすり休め』
反動か……
反動が眠くなるだけって、ちょっと拍子抜けだ……
はぁ……
なんか、慌ただしく一年生活が終わっちまったな……
マジ濃すぎ……2年生からはガチでゆっくりした学園ライフを送ろう……
あぁ〜……これ絶対ぇフラグだっ……
そうだぁ……
師匠……今日はありがと…………
……おや…………すみ……
『……フン』
そうして俺の意識はゆっくりと落ちて行った……




