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道連れ

「貴方も、これを飲みなさい」


 大街道で見付けた代替品により、遂に花吹雪が夢にまで見た秘薬が完成したのだ。月読に飲ませる前に本人の目の前で、しっかりと花吹雪は秘薬を飲み干していた。


「な、何の薬なのですか?」

「今知る必要はありません」


 薬の効果は想像を絶するものだ。下手に知ってしまっては、旅の途中で態度に出てしまうだろう。しかし、中々飲もうとしない月読にイライラする花吹雪。


「一度死を受け入れたのに、環境が変わってもう怖気付いたのですか?」


 そこまで言われてはと、月読は目を瞑って一気に飲み干した。


「か、体が……熱い、目が……回ります……」


 大街道に沿って流れる支流の土手に身を隠すように月読を寝せる。寝かせた月読の顔を見つめる。ボロボロの衣装にボサボサの髪でもやはり武家の娘である。美しいのだ。そんな月読の着物をゆっくりと脱がせ、ちいさな胸を露出させる。


「痛いかな? ごめんなさいね」


 花吹雪は月読の胸……心臓に短刀を突き刺した。心臓の鼓動はすぐには止まらない。短刀を抜くと心臓のリズムに合わせて血が吹き出してくる。流石に短刀が突き刺されば、月読も目を覚ます。


「な、何を……。信じてたのに……」


 何を信じていたのだろうと花吹雪は考えた。どこに信じられる要素があったのだろう?


 苦しいのか口をパクパクさせながら、花吹雪の着物を必死に掴む。それが、どのくらい続いたのだろうか? 月読も何かがおかしいと思い始め、自分の傷口を恐る恐る触った。


「き、傷が……ない?」


 先程の強烈な痛みも、窒息するような息苦しさも、何も感じないと月読は何が何だかわからないでいた。


「はい、今度は私を刺してくださいな」


 雪のような白い肌と真っ平らな胸を月読に曝け出した花吹雪。本来は教えるつもりはなかった不老不死の効果。しかし、好奇心が理性をふっ飛ばしてしまったのだ。


 この後、血塗れになった花吹雪が傷跡一つ残さずに復活する奇跡を見て、自分が妖しげな何かに変わってしまったことを理解した月読であった。


「死にませんが捕縛されれば終わりです。拷問なんて最悪ですね。絶対に死なないため終わりがありません」


 花吹雪の説明に納得する月読。


「そのような事にならない、案でもあるのですか?」

「今のところありません。不老不死は採取後の切り札です。絶対に他人に知られては駄目ですよ」


 独りで永遠という時間を生きる勇気がなかった花吹雪は、月読を無理やり不死の世界に引きずり込んだ。そこには悪いという気持ちは全く無かった。何だかんだで月読とは馬が合いそうだと勝手に思っていたからだ。


「この不老不死は、まだ未完成です。痛みもあるし、眠気も空腹もあります。早く完成形にしなければなりません」


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