『別れの時、天気は曇り時々炎の雨』
最近息抜きの為に本編に出てくる魔物のイラストを描いてます。
魔物の詳細な見た目や設定とかの記録にもなって一石二鳥です。
ちなみに、興味を持たれた方は『謁見』の骨になった亀さんの絵からサイトに飛んでいただけたら見れます。
(一部イラストは、見る人によっては閲覧注意です…
何故閲覧注意なのかは、本作に出てくる魔物を思い出して察して頂けると幸いです。)
「最初は、あのお方と同じ能力を持つお前を『脅威』としか見ていなかった。
『王』からの命令に従って『人質』としてお前を拉致し、有力な情報を引き出す。
ただ、それだけの為にお前に質問を投げかけていたんだ。
…だが、お前は私の正体を知ってもなお、露骨な嫌悪感も見せずに分け隔てなく私に話しかけてきた。
姿を見ても、我々の住処で仲間達に囲まれてからも。
お前は、友好的な態度を変える事はなかった。
…正直、すごく救われたよ。」
『…お前のような考えを持った人間も存在しているのだな。
……いや、お前だからこそ、なのかもしれん。』
俺が初めて彼女と『人間とゴブリンの和平』についての話をした時に、そんな事を言っていたのを思い出す。
もしかすると、あの時の彼女の目には、俺とは『別の誰か』の姿が見えていたのかもしれない。
人と彼らが平和に暮らせる世界を望んだ、彼女の大切な人の姿が…
「…実は…な。
脳筋とお前が睨み合っていた時、私は本当に悩んでいたんだ。
私は『同族』と『人間』、どちらにつくべきなのか。
…癪だが、奴の当ては外れていなかったわけだ。」
「………。」
意外、とは思わなかった。
むしろ、納得がいった。
すんなりと腑に落ちたのは彼女の過去を聞いたからか。
それとも…
「…今しがた、お前の仲間達の足元に到着した。
まあ、要するに…
そろそろ『お別れの時間』、という事だ。
最後に。
何か、聞いておきたい事はないか?」
何気ない様子を装っているプロディティオだが、その声色は先程までとは大きく異なっていた。
(聞きたい事…か。)
目を覚ましてから今までの間、多くの話を聞いた。
しかし、俺にはどうしても解せない事が一つ残っていた。
「…一つだけ、聞いてもいいか?」
「…ああ。」
この真っ暗な影の中で目を覚ました時から、今に至るまでずっと気になっていた。
でも、何故か聞いてはいけない気がしていた。
その質問は…
「『王』が和平を視野に入れると決めたのは、俺の話を聞いたからじゃなくて…」
考えてみればすぐに分かる事だった。
『同族で仲間』のプロディティオの言葉を聞かなかった『王』が、『人間で敵』の俺如きの言葉を聞いて心を動かされたわけがない。
事実、俺が意識を失う直前まで、『王』は忌々しいものを見る目でこちらを凝視していたぐらいだ。
きっと、俺ではない誰かの言葉が、『王』の心を動かした。
では、その誰かとは一体何者なのか。
「俺が気絶した後、あのお方の介入があったからなのか?」
『…もし、あのお方と何かしらの接点がある事がわかったのなら、我を誑かそうとした事は許そう。』と。
『王』は、幾度となく俺があのお方の知り合いか否かを尋ねていた。
あれはきっと、俺がプロディティオのような『あのお方からの使者』の可能性があったからに違いない。
『王』とあのお方の関係性は未だにわからないが、少なくとも敬意を表している事はよくわかる。
そんな相手からの使いを、自らの手にかけるわけにはいかないから、俺に対して湧き上がってくる怒りの情を最後の最後まで抑えていたのだろう。
「ここまで話せば、気がついてもおかしくはない…か。
……そうだ。
『王』は、あのお方からの命を受け、お前を解放したのだと仰った。
『人間の街を攻撃するな』と釘を刺されたとも、な。」
やはりそうだった。
俺の『言葉』で、『王』が動いたわけではなかったのだ。
しかし、まだ何かが引っかかる。
モヤモヤと、胸の奥で何かがつっかえているような、そんな感覚だ。
(…なんだ?
俺は、何か見落としているのか?)
少し考えてみるが、その『違和感』の正体はわからなかった。
「…お前の連れは今もずっと、お前の身を案じてこの場所で待機しているようだ。
私が言うのはアレかもしれないが、いたずらに待たせるのは良くないだろう。
…では、地上に出るぞ。
次こそは、ちゃんと目を瞑っておけ。
…とは言っても、もう日暮れ前なのだがな。」
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「ソフィアさん、もうじき日が暮れます。
やはり、一度ギルドに戻って報告をすべきかと。」
「………。」
「アキラさんを助けられる見込みが限りなく低い現状で、森にとどまり続けるのは悪手です!
充分な物資もないのに、森の奥地付近で夜営なんて流石のソフィアさんでも無茶…きゃっ!!」
無茶だ、と言い切ろうとしたキースが悲鳴を上げて飛び退く。
見ると、先程まで彼女が立っていた地面がぐにゃぐにゃと歪んでいた。
何も気配を感じないのに、そこだけが確かに歪んでいる。
ソレは、熟練の冒険者であるソフィアでさえも見たことのない、不気味で不可解な現象だった。
未知なる何かの襲来。
だが、流石と言うべきか。
「『魔法障壁』、『魔法反射』」
ソフィアは瞬時にキースと自身に魔法をかける。
そしてキースと共に後ろに飛び退き、すかさず謎の歪みに向けて魔法を放った。
「『炎槍豪雨』!!」
『詠唱』を終えた刹那、無数の『炎の槍』が空中に浮かびあがった。
際限なく湧き出す『炎の槍』が、夏の日に降る豪雨のように激しく地面に降り注ぐ。
雨は地面に無数の穴を穿ち、そのまま土壌を燃やし溶かしながら差し貫いていく。
槍の熱で溶解した地中の岩や鉱物は溶岩となり、煙を上げながら穴からゴポゴポと噴き出てくる。
日が落ちて暗くなっていたはずの森が、止まない炎の雨と、そこに出来た溶岩の水溜まりに明るく照らされていった。
生命を癒してくれる『恵みの雨』とは真逆の、生命を焼き殺す『破壊の雨』に強く打たれて
地面に現れた謎の歪みは、なす術もなく…
「……なん…で…」
その声の主は
「あり……えない…」
今し方、魔法を使ったソフィアだった。
歪みは雨に打たれて消滅することもなく、ソフィアの足元へと移動していたのである。
まるで、何事もなかったかのように…元からそこにいたかのように、ぐにゃぐにゃと蠢いていた。
魔法を使ったのにも関わらず、全く効いている素振りを見せない。
そんな、得体の知れない歪みに依然警戒しつつ、別の魔法の準備をするソフィア。
詠唱のために息を吸い込もうとした、その時だった。
「…先程、今は日暮れ頃だと言ったが、やはり目は瞑っておいたほうが良さそうだぞ。
お前の仲間が、熱烈な歓迎をしてくれている。
快晴にも負けじとも劣らない、眩い雨が降ったようだ。」
聞き覚えのない声が、歪みの中から聞こえてきた。
「…誰?」
恐る恐るソフィアが尋ねると、再び歪みの中から声が聞こえてきた。
「…ここで私が自己紹介をしたところで、むしろ身構えられかねないのでな。
とりあえず、これだけは言っておこう。
私は、お前達の仲間を返しに来ただけで戦う意思はない。」
「一体何を…」
訳がわからず困惑するソフィアが、歪みに対して質問を再度問いかけようとする。
しかし、その必要はなくなった。
「おーい!ソフィア!キース!
俺だよ!」
歪みから、別の声が聞こえてきた。
先程の声とは違う、聞き覚えのある声だ。
「…その声。
まさか…」
「そうだよ!俺だよ俺俺!」
歪みから、一人の人物が出てくる。
それは、今しがた二人が安否を気遣っていた人物。
突如としていなくなった筈の、佐々木明だった。
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無事、ソフィア達との再会を果たす事ができた俺は
「えぇ…」
明らかに森の中にあるべきではない『マグマだまり』を目前にして困惑していた。
絶えず音を立てて沸き立ち、爛々と光を放つそれは、離れていても思わずうだってしまいそうになるほどに凄まじい熱気を放っている。
このマグマの池こそが、プロディティオの言っていた『眩い雨』の残した痕跡なのだろう。
一体何をどうすればこうなるのか…
(ソフィアの凄さは理解していたつもりだったけど、今まで見てきたのは氷山の一角にすぎないという事か…
…それにしても、アレはほっといても大丈夫なのか?
木に燃え移りでもしたら、森全体が火事になりかねない気も…
…って!
既にマグマの付近の木が数本燃え上がってるじゃねーか!!
このままじゃ大変な事になりかねないのでは!?)
「な、なあ?ソフィア…」
「アキラ。
…本当に無事でよかった。」
「アキラさん!!お怪我はありませんか!?」
「…あ、ああ、うん。
俺は大丈夫。二人とも心配してくれてありがとう。」
(…まあ、多分大丈夫だから無視してるんだろうし、深く気にする必要もないか。
…本当に大丈夫なのかなぁ。)
視線の先に生えている絶賛炎上中の木々を眺めながら、拭いきれない不安を感じていると
『……感動の再会に水を差すようで、とても心苦しいのだが……
………そろそろ、出てきてもいいか?』
地面の『影』から声が聞こえてきた。
(あっ、そうだった。
プロディティオが足元で待ってるんだ。)
出てきてもらう分には構わないが、ソフィア達が警戒しないで済むよう、予め彼女の説明をしておいた方が良さそうだ。
「ああ。
待たせてごめんな。」
「…アキラ?どうしたの?」
「ん?
…あー、えっと…
二人共、ちょっとびっくりするかもしれないんだけど、さ?
俺を『ここまで連れてきてくれた』奴が、『影』…俺の足元の歪みから出て来たいそうなんだ。
だから、攻撃とかはしないで欲しいんだけど、大丈夫そうかな?」
少し悩むそぶりを見せつつ、二人は頷いて了承した。
それを『影』の中から確認したのだろう。
俺の足元近くにあった歪みから、プロディティオがスッと現れた。
そして、出てきて早々に口を開く。
「再開したばかりなのにも関わらず、水を差すような事をしてしまってすまない。
…どうしても話しておきたい事があったのでな。」
「……あなたは、ゴブリン……なの?」
「見た通りだ。
…もしや、お前が聞きたいのは『何故ゴブリンなのに人間の言葉を話せるのか』だったか?」
「まあ、それもあるけど…」
「…私は、訳あって人間に育てられた。
その頃に、人間の言語を習得した。
…詳しい話は、後からササキアキラに聞いてくれ。
勝手に本題に入らせてもらうが、私は我々と人間との『和平』の話をするべくここに来た。
この『和平』について、前向きに検討してもらえるとありがたい。」
プロディティオの言葉を聞いたソフィアは、怪訝そうな眼差しで彼女を見据える。
「…ゴブリンと人間との『和平』…?
…それは、ふざけているの?」
「…たしかに、我々はお前たちの仲間を拉致し、殺めた。
そんな相手が、このような事を言ったとて信用ならんだろう。
…私とて、逆の立場なら同じような反応をする。
だが、『王』は確かに『和平』を視野に入れると言っていたのだ。」
「今まで散々冒険者を殺してきたあなた達の言い分を、どうやって信用しろと?
…あなた達がアキラにしたように、私達も『人質』としてあなたを街に連れて行けばいいのかしら?」
静かに言い放つソフィア。
その言葉からは隠しきれていない『怒り』が滲み出ていた。
「ソフィアさん、ちょっと落ち着いてください。
えっと…あなたは、ゴブリンさん…なんですよね?
…あなたの正体は兎も角として、アキラさんを返しに来てくれたことと、『和平』の話には関係性があったりしますか?
…それこそ、『アキラさんがあなた達の王様を説得したから、和平を視野に入れ始めた』みたいな…」
キースがかなり核心に近い質問を投げかけたが
「それも含め、全てササキアキラに伝えてある。」
すべて俺に丸投げした。
(掻い摘んだ簡単な説明くらいならすぐに出来そうだけど…
意図的に会話を早く終わらせようとしているのか?)
「伝えるべき事はこれぐらい…いや、言い忘れていた事があったな。
お前たちの仲間を無断で拉致し、心配をかけてしまって申し訳なかった。
身勝手な言い分な事は重々承知しているが、『和平』について前向きに考えてもらえるとありがたい。」
プロディティオはそう言うと、深々と頭を下げた。
「これ以上、邪魔をするのは野暮…いや、今更か。
兎も角、そろそろ失礼させてもらうとしよう。」
「待ちなさい!まだ話は…」
ソフィアが呼び止めようとしたが、その時には既にプロディティオは『影』に潜り込んでしまっていた。
『……ではな、ササキアキラ。
……息災で。』
最後に一言、俺にだけ聞こえる声でそう言い残して。
『あのお方』に逐一点々を振るのがめんどくさい…
それにしても、地面の中にある鉱物を溶かしてマグマだまりに変えてしまうほど熱い炎の雨とか、使ったら森が全焼しかねないと思うんですがどうなんですかね?
今回の後書きという名の補足説明はプロディティオの髑大ョ夂オ先棡について。
プロディティオは鮟偵?蝗?蟄舌r譛峨☆繧句ュ伜惠縺ァ縺吶?
髑大ョ壹☆繧九%縺ィ縺後〒縺阪∪縺帙s縲
蜃コ縺ヲ縺阪◆縺薙→縺ョ縺ェ縺?腰隱槭′蜃コ縺ヲ縺阪※縺励∪縺」縺ヲ逕ウ縺苓ィウ縺ェ縺?〒縺吶?…




