魔法使いの魔界冒険
勇者は苦労していたが、
魔法使いはどうだろう?
勇者一行は魔王領で装備を新調し、
新たな装備で魔界冒険に挑むことになっていた。
魔法使いも例外ではない、
「さっそくこの装備を試してみるところね!」
魔王領で手に入れた青玉のロッドは、
魔力焦点具としてより簡単に力を集めることが出来、
その威力といったら、魔界に漂う魔力の効果も相まってか!
「抜群!」
並み居る魔物たちを一瞬で蒸発させてみせた。
「あとはこのまま見つから無いように、
突き進むだけ! 透明化!」
姿隠しの魔法でなるべく不必要な戦闘は避けて突き進むこと幾らか、
なにやらキャラバンのようなものが見えてきた。
(あれは何かしら?)
魔族の行商人の群れといたったところか?
(交渉が必要ならしておいて損は無いか! 変身!)
と、魔法使いは魔族の姿に化けて、接触を試みる。
「あのー道に迷ってしまって、地図とか取り扱ってない?」
「おお、迷ってるのか、地図も売ってるよ、いくらで買い取る?」
ここで金貨を出そうかと思ったが、魔界の通貨でなければバレる、
と考えて、砂金で支払を済ませることにした。
「いま、持ち合わせがこんなものしか無くて」
「へえ! 砂金かい? 上質じゃないか! よしよし交換しよう」
魔法使いは魔界の地図を手に入れた。
「ところで、あの大きな荷馬車は何を運んでるの?」
「人間さ! よく働くでね、奴隷として飼ってやってるのさ」
魔界では人間が家畜だというのは軒並み嘘ではなさそうだ。
(いまここでドンパチやるわけにはいけないわね)
今は我慢し、魔界の地図で、高台のほうに駆けていくことにした、
「飛脚!」
足早になるステップを踏んで、魔界の山麓を駆け抜けると、
道中敵にも遭遇しそうになったがそこは隠れ蓑の魔法で回避し、
あっとういまに高台に到着した。
「とりあえず今日はここで一晩かしらね?」
魔法使いは魔法のテントを広げると、
周りには見えない状態でテントの中でぬくぬくと、
保存してあった食糧を斬ったベーコンと乾パンを口にし始めた。
「むしゃむしゃ、
あとはここから姫様の狼煙代わりの爆発とやらを、
確認するだけなのだけれど」
遠見の術で辺りに異変が無いかを四六時中確認していると、
「ん、あれは?」
遠くの方から影が近づいてきている。
(まずいわね、ばれたか?)
もう一度確認すると、どうやら大怪鳥らしい、
鳥がこの高台を泊まり木代わりにしているのは計算外だった、
(だから、先客がいなかったのね、
どうしよう? 退治しようかしら?)
とにかくここで一晩を過ごせなければ、
今後の計画が大きく狂ってしまう、
咄嗟に思い付いたのは。
(支配の魔法!)
魔法使いはテントから出ると、
近づいてくる大怪鳥の影に手をかざしはじめた。
「おいでおいで、わたしの鳥よ!
わたしの鳥よ!わたしの鳥よ!」
言葉に続いて詠唱を始める。
支配の魔法は相当の魔力を必要とするが、
一度支配した魔物や生き物は使い魔として、
使役させることの出来る高等魔法。
魔法使いは今まさに大怪鳥を支配しようとしていた。
「よし今だ!」
パッとジャンプして大怪鳥の足を掴むと、
見事に背に乗り、
これを自分のものにしてみせた。
「オッケー!
これで今日一日のミッションは終わりね!」
しばらく宙を舞い、魔界を高所から見回す。
「どこも薄汚れていて、眺めよしとはいかないわね」
再び、大怪鳥ととも、高台まで急降下すると、
「見張り台と魔界での空の便を手に入れたわ!
私が、一番乗りかもね!」
魔法使いは一日の働きを誇ってみせた。
魔法は便利ですねえ。




